朝の気温は高めで、コタツは電源を切ったままでも湯たんぽ二つと ねこ と飼い主一人で十分に温かかったのだが。


一日を通して春雨ともいえばいいものか、ごく弱いながらも雨模様で、気温は9度Cまでしか上がらなかった。


ねこ はこのところコタツに湯たんぽを二つ入れていて気持ちがいいのか、ほとんど家にいて、ことにコタツの中にいつの間にかいて、不意に出てきては驚かされることがよくある。


今日は少し前に較べれば格段に暖かくはなっているものの、やはり雨の一日だったせいかほとんど屋内にいて、何かの折に「ニャー」などと声をかけてきた。退屈をもてあまして手持ち無沙汰だったのかもしれない。


夕方になり、陽射しが出て雨はやんだ。


いつものようにニワトリたちを小屋に入れたり餌を補充したりしていると、ねこ も外に出てきた。柿の木にあっという間に登り、どちらかというともろくて折れやすい柿の木の枝の、こちらがはらはらするような枝の先のほうに向かって枝の上を歩いていく。 ねこ の重みで枝がゆらゆらするのを面白がっているようにしか見えない。


枝の先の方角にいた飼い主は、幹をはさんだ反対側へ移動して ねこ の名まえを呼ぶ。飼い主に近づこうとすれば、枝の元のほうへ、幹に向かって歩くことになるように。


こちらの心配をよそに、ねこ はその気になればあっという間に幹を走り降りて地面に下り、またあっという間に隣の木に登っていく。こちらは付き合っていられないわねぇ、と。


ニワトリの世話や外回りを終えて家に戻ると、ねこ はもう居間にいて、今度はブラッシングをねだる。真冬にはさすがにあまり木登りをしなかった ねこ も、やはり暖かくなって運動をするのが心地よいのかしら、特に今日は昼間の間ずっと屋内にいて、眠っていたようなものだったから、などと。