気持ちよく晴れて暖かな春本番を思わせる陽気になった。


ねこ は気ままに出かけていったり戻ったりを繰り返している。手作りゴハンもドライ・フードもよく食べ、外では果樹園の中の草むらに寝そべって、モグラか野ネズミをじっと待っているのか、いつまでも同じところにいるのを見かける。。


飼い主は午前中から午後にかけて外出し、帰宅し手すぐに二食目の手作りゴハンを作っていたのだが、一度帰宅して飼い主の帰宅を確かめたのか、また出かけて行ってなかなか帰らない。


夕方近くになって ねこ は帰宅し、あっという間に二食目をきれいに食べてしまった。そのあと、ペットのニワトリを小屋に入れたり「趣味の菜園」の手入れをしたりしていると ねこ は隣の家の方角から帰ってきて、筆者に「ニャー」と呼びかけて挨拶をした。


庭ボウキと塵取りを持ち、鶏たちの落し物を集めて回っていると ねこ は全速力でそばの柿の木に登った。


柿の木は枝が折れやすいのではらはらしながら眺めていると、ねこ は枝の先の方へどんどん歩いていく。ユラユラしているのが下から見ていてわかるのだが、スリルを楽しんでいるようにしか見えない。ねこ のいる高さは、少なくとも二階の窓ぐらいはあるので落ちればどうなるか、と思うのだが。


細くなっているところまで行くと、あっという間に方向転換して幹の方を向いてこちらを見下ろしている。得意なのだろう。


そのまま無傷で降りてきてよ!と願って、ねこ から見ると幹の向こう側の方角に位置を変えた。ねこ が筆者の呼ぶ声の方に来ようとすれば、幹を伝って降りるか、自分のいるところから幹を挟んで反対側の枝を伝ってくることになるように。


幹に戻ったところで、ねこ は木から降り、隣の木に駆け上っていく。ヤレヤレ、と果樹園を引き上げることにした。


室内に戻ると、ねこ はすでに居間にいて、出しておいたドライ・フードを食べている。神出鬼没だね、元気そうで何より、と。