すでに夜になっていたかしらん。筆者が居間に戻ってくると ねこ がストーブのそばに座り、もの欲しそうな顔でこちらの顔を見上げながら甘えるような声で鳴く。「ブラッシング?」と話しかけながら柱から猫ブラシを取ると「ニャーーーーーーー」と。
逆毛を立て始めると、家族が「さっきやってやったよ」と。
すでに抜けに抜ける時期は終わっているようだけれども、それでも何となく家の中には ねこ の抜け毛が絡まったものが、綿の切れ端のようにふわふわしている。逆毛を立てるといくらでもふわふわと毛が抜けてくる。ならば、軽く掛けておこうかな、と。
ねこ は二度、三度ぐらいなら、ある程度の時間が空けばいくらでも毛皮の手入れは大歓迎らしい。
さすがに、二度目ならば、と筆者も背中をかけただけで手に水をつけて抜け毛を取り、仰向けに抱き上げて終わることにした。
ねこ はすぐに隣の部屋に行き、外へ出かけていったのだったかどうか。