夕方、風呂場の掃除をしていたら、ねこ は脱衣場兼洗面所に置いてある洗濯機の上に座っていた。風呂場に入りたかったけれども扉が閉まっていたのと、風呂場の床が水浸しなのをよく知っているからだっただろうか。

やがて、風呂場の掃除が終わったので居間で休もうとして ねこ の名まえを呼び、居間へと促した。

三度ぐらい「こっちへおいで」を繰り返すと、ねこ は立ち上がり、洗濯機から飛び降りて飼い主の足にからまりながら居間へと入ってきた。

掃除の間ずっと待っていたのは、たぶん毛皮の手入れがして欲しいのだろう、そんな時間帯でもあるから、と。

柱の釘にかけてある猫用ブラシを取って見せながら「これ?」と話しかけると、ねこ は「ミャァァァァァァァ」と長く鳴いて、すぐに体を預けてきた。床に座って背中をこちらに向けて。ときどき「動いたらできないでしょ」などと文句を言われながらも、ブラシにはすでにずいぶん抜けた毛がからまっている。

毛皮の手入れが終わるころには、ねこ の体はヘベレケのグニャグニャになり、ゴロゴロ云いながらされるままになっている。今日は忘れられなかったね。

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