華籐えれなさんの2006年リンクスロマンス作品。
『花隠れ』のスピンオフですが、前作は持ってません。

ナギ、えれなさん大好きなのですが
(商業BLにハマるきっかけがスレイヴァーズシリーズでしたから!)
まだまだ読んでない本があるんですよね。
積読にもあと2冊あったかな。
買ってないのはどれだけあるのか。

入手できる既刊本全部読破したい作家さんの一人なのです。

花の檻 著者:華籐えれな イラスト:佐々木久美子
リンクスロマンス BL小説 2006年3月
★★★★
花の檻 (リンクスロマンス)/幻冬舎コミックス
¥898
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◆あらすじ(裏表紙)
男との醜聞で二年前に故郷の京都を追われ、東京に移り住んでいた美貌の能楽師・左近。 だがある日ふいに京都に呼び戻され、宗家の息子の橘平と舞うことになる。 こうして再び京都で舞台を踏むことになった左近だが、凛々しく成長していた橘平に「子供の頃からあなたを手に入れることだけど考えてきた」と、身体を求められる。 二年前の事件で恋人を失い、心がうつろな左近は、請われるままに身体を許すようになるが――。 ◆

600年続く能楽の流派を題材に描かれる愛憎の物語は、
仄昏く濃密でまさに華籐えれなの世界。

心を隠す左近・27歳。
辛くても苦しくても、それをかすかな微笑みに変えて面に乗せる。
嬉しいことは能面のように消した表情の下に…。

愛する人を護りたいが為の言動が、
その生い立ちにより形成された性格ゆえに
相手に捩れて伝わってしまう左近の心情が辛かった。

10歳という年の差や、流派での立場、
そして、左近と兄たち、宗家だけが知る事実などが、
愛し愛されることを願う左近の心をさらに閉じ込めています。

光の中に生きる若き攻・橘平の秘める翳りが、
やがて狂おしいほどの愛執となり
左近を追い詰めていく展開に引き込まれました。

17歳という年齢に似合わずとても大人びた人物ですが、
話が進むと彼の心情を推し量ることができ、
そこから見えてくるのはやはり年齢なりの未成熟さでした。

橘平が左近の身体を激しいHで責めるのは、
彼の心を手に入れたいがためだったのではないかと。

左近の心が欲しくて欲しくて、
でも、その術がわからずただ快楽で左近を乱し、
愛の言葉を引き出そうとした。
それでもやはり心には手が届かない現実。
若さゆえの暴走とも言えるのではないでしょうか。

左近の元カレ・慎也がとてもいい人なのですよ。
左近が肩を痛める原因となった人ですが、
二年後の今も変わることなく左近を愛しています。

橘平の激しい恋情と、慎也の穏やかな愛情。
どっちの愛も捨てがたいと、読んでるナギがフラフラしちゃいましたが(笑)

終盤の胸に迫り来るような左近と橘平の描写には
息を詰めるようにして読んでたのか、
読了した瞬間思わず脱力してしまい、フーっと大きく息が洩れたほど。

血の業で繋がったふたりが、
罪を背負い恋の檻に向かう…。
深い余韻を味わいました。

情景や能楽の演目に絡めた心情描写もとても素敵。
えれなさんの京都・和モノ、最高!

雑誌掲載作『花の檻』と書き下ろし『花の影』とで
一つの物語として仕上げられてるのも満足感増量です。
とても読み応えのある作品でした。

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