はい。タイトルにあるように、リバーシブルです!
攻め受け逆転Hあります。

「リバが苦手な人でもOKなリバにトライする」が
今回の沙野さんのクエストだとあとがきにありました。

流れも理由も無理なく納得できるリバシーンだったと思います。
でも、那義はリバ大丈夫なので、苦手な人がどう思うかはわかりませんが。

そして山岳テイストH。
H中のセリフに登山用語が出てきます。
クライマーの当人たちは違和感ないのだろうけど、
読んでるこっちはちょっと笑っちゃいそうになったりwww
うん!山を攻めるのも男を攻めるのも、山男の浪漫よねー!(そうなのか?)

いえ。お話はシリアスですよ。
3人の男が出てきますが、そのうちの一人の死によって、
遺された者の生と死の観念が均衡を失い、
精神的に追い詰められたりしながらも、
自分を見つめなおしていきます。

この世とあの世を跨ぐトライアングルといった雰囲気もありw
(だから、シリアスだってば!)


リバーシブルスカイ 著者:沙野風結子 イラスト:和鐵屋匠
リンクスロマンス BL小説 2010年11月
★★★★
リバーシブルスカイ (リンクスロマンス)/沙野 風結子
¥898
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◆あらすじ(ノベルズ裏表紙)
高校時代、クライマーを目指していた医者の蒼一は、弟の親友・陸に夢を託し、活躍を密かに見守っていた。しかし、登山中に弟が死亡し、陸が重傷を負ってしまう。彼を救いたい一心で、ともに暮らし面倒を見るが、肉体は回復しても、陸の心はズタズタなままだった。 毎晩悪夢にうなされる陸を起こしていた蒼一は、ある夜夢うつつの彼に、突然襲われ…。 相手への想いに葛藤しながらも、頂上を目指す二人の運命は――。 禁断のリバものが遂に、登場!! ◆


兄・蒼一と弟・昇、そして昇の親友・陸。

昇の死を隣で見届けた陸が壊れてしまっています。
元々、山から還りたくないという厭世観に近いものを持っていた陸。
彼をいつも地上に連れ戻していたのが昇だった。

生へと引き戻してくれていた昇を亡くし、
陸の心は命をなくしてしまったような状態なんです。

現在進行形で陸を救おうとする蒼一というエピソードの展開に、
思い出や夢といったカタチで過去が織り込まれ、
そこには昇の、口には出さなかった心情が垣間見えてくるんです。

『俺は兄貴とはザイルを結べない』
この言葉は昇の自分への拒絶だと思い傷ついていた蒼一ですが、
実はもっと別の深い意味があったんですよ。

掘り起こされる過去のエピソードには

兄を想っていたのではないかと推測できるようなセリフもあり、
それと現状の蒼一と陸の姿が絡み合って
読むほどに切なさが増していきます。

かつて、陸を死から生へと引き戻してくれていた
昇という存在の幻影が、今度は陸を死の世界へと誘う。

それを知った蒼一は陸をこちら側に引き戻そうとするのですが、
その蒼一と陸を繋ぐザイルもまた昇であり…。

兄弟、親友、恋人…明らかに違う関係を担う感情が混沌とする中で、
遺された二人が繋がり、求め合っているのに、
すれ違ってしまうのがもどかしいです。

リバHは、時空を超えた異次元メンタル3ぴー(なんだそれ?那義語ですw)
みたいなテイストもあり、良かったですよー。

攻めがイクときの急降下の体感に、
咄嗟に受けのちんこに掴まったとか、
噴き出しそうになったけど≧(´▽`)≦

終盤は『ええっ!』っていうようなトンデモな展開もあったりするけど、
空に飛び出す前のキスシーンとか良かったし!

ラストのHで、「バリエーションルートだ」って言って、
攻めのオシリに受けが手を伸ばし…ってのも楽しいし!

いえ。何度も書いてますがシリアスですからね!


少し前に沙野さんがブログで、
最近のご自分の作風について書かれてました。

確かに痛さや重さといったハードな描写は減ったけれど、
心情を深く追求している部分は変わっていないし、
沙野さん独特の美しい文章描写も健在ですよね。

那義は、やはり作家さんが書きたいものを、
その作品にとってベストだと思う形で書いてくれるのが一番だと思います。

沙野さんのブログ記事に書かれてるように、
それを受け入れる受け入れないはファンの自由でもありますしね。
私は今の沙野さんの作風も好きなのでこれからも読み続けます。

那義は今年に入ってから
『タンデム』で沙野さんを知ったという日の浅いファンなので、
今のも昔のもどれも沙野さんといった感じで、
違和感なく読めるんだろうなと自己分析していますが。


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