夜光花さんの2005年作品です。

夜光さんにしては硬質な雰囲気のお話。
もちろん夜光さんらしく、
サスペンスであり、エロも多めにありますが
攻めが狂犬っぽいので甘さはあまりありません。
暴力的なHもありますし。


灼熱を呼べ 著者:夜光花 イラスト:ひたき
ラヴァーズ文庫 BL小説 2005年2月
★★★★
灼熱を呼べ (竹書房ラヴァーズ文庫)/夜光 花
¥600
Amazon.co.jp

◆あらすじ(文庫裏表紙)
「お前が俺と付き合うなら、もうこんなもの造るのはやめる」 連続爆弾魔事件が世間を騒がせている中、裕也は親友の竜治の部屋で造りかけの爆弾を見つけてしまう。責める裕也に竜治が持ちかけてきた取り引きは、思いもよらないものだった。 裕也がその条件をのみ、竜治に抱かれた後も爆弾間の犯行は一向に途切れる様子はない。 竜治が犯人であるはずがない。 そう信じたい反面、疑いを隠せない裕也の心を竜治もまた敏感に感じ取っていた。 果たして竜治は犯人なのか。 本当の恋人ではない、友人にも戻れない、二人のもろい関係が崩れ始めていく――…。 ◆



竜治と裕也は高校時代の同級生。
高校時代の竜治は、
家庭の不和により心が荒れていて
そんな現状をぶち壊したいという
願望を持っていました。

その憂さを晴らす行動が爆弾作りに向かってしまい
それは徐々にエスカレート。

それを止めたのが裕也だったのです。
でも竜治の破壊願望が治まったわけではなく…。

大人になった現在、
裕也は絶対音感を生かし調律士に
竜治は何故か刑事になってますwww

物語は竜治の家で裕也が
造りかけの爆弾を見つけてから
サスペンス色が強くなっていきます。

取り引きとしての身体の関係。
でも竜治の心はなんとなく伝わってくるのですよ。
ただ、裕也には恋愛感情はない。
あくまでも親友として爆弾作りを止めたいが為の
肉体関係だと思っています。

そんないびつな関係に
高校時代竜治に懐いていた喜多村の姿が
不穏な要素として見え隠れしていきます。

展開は予想がつきますが
竜治と裕也のすれ違った心情が
危ういバランスで進展していくので
物語に引き込まれました。

竜治の心の中にずっと巣食っている破壊衝動。
これがいつ爆発するのかわからないという
タイトロープな心の均衡。

そんな竜治を止められるのは自分だけだと
自身を追い詰めていく裕也なのです。

読んでいて頭の中に浮かんできた単語があります。
それは、『共依存』。

お互いがお互いの存在により
自身のアイデンティティを保っているような依存関係を感じます。

竜治も裕也も他に心を開く人間がいない。

そんな閉じた世界の中でのつながりなのに
裕也は竜治を信じきれないでもいます。

竜治にとっての自分の存在意義は自覚していながら
竜治の自分への感情の真実に気づいていないという鈍感さもあり…。

竜治とのHは取り引きのため、
としか思っていない裕也。
読んでると竜治の気持ちがわかるだけに
ちょっと竜治が哀れに思えたりもします。

でも、キレて無理矢理ヤっちゃったりする竜治も竜治なんですけどね。

ダメ男×ダメ男で
割れ鍋に綴じ蓋的なカプですwww

一応、竜治はワンコ攻めですw
裕也曰く、竜治はシベリアンハスキーかドーベルマン。
まさに凶暴な犬って感じの竜治なのです。

ですから、ハァハァと尻尾振って甘えていく姿はなく、
ガブリっと裕也に噛み付きながら腰振ってる感じですwww

終盤は、裕也が爆発に巻き込まれたりと

ハードな展開もありますよ。

あとがきで続きを書きたいとありましたが
続きって出てるんですかね?
出てたら買おうと思っています。



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