秀香穂里さんの今月の新刊です。

秀さんは、BLゲーム『STEAL!』の
シナリオを書かれてますが、
私、作品を読むのはこれが初めてなんです。

表紙の奈良さんの絵がすごくかっこよくて
思わず手に取ったのでした。

STEAL!のシナリオは二人で書かれてるので
どこまで秀さんが関わっていたのかを
私は知らないのですが、
ボブゲのシナリオにしては

情景描写が美しく、
文章表現も素敵なモノがたくさんあったので、
さすが小説家が担当したシナリオだと思ってたんです。


で、秀さんに興味を持ち、読んでみたこの作品。
ダークです。濃厚です。ラヴァーズ文庫らしいというかw

なんたって実の親子モノですから!

私、実の兄弟とか双子とか好きなんで
よく読んでますが、さすがに親子は初めて。

父ちゃんが息子にヤられちゃうんですよ。
でも、このパターンでよかった。
守られるべき立場の息子が父親に…ってのは
ちょっと痛すぎるから。


血鎖の煉獄 著者:秀香穂里 イラスト:奈良千春
ラヴァーズ文庫 BL小説 2010年2月
★★★★

血鎖の煉獄 (ラヴァーズ文庫)/秀 香穂里
¥620
Amazon.co.jp


◆あらすじ
「他人に軽々しく触らせてんじゃねぇ。父さんはもう俺のもんだってこと、今からたっぷり教えてやるよ」。 心療内科医の国友は、16歳しか歳の離れていない息子とふたり暮らしをしている。 穏やかで優しい性格の国友と違い、クールで野生的に育った息子の悟は、仕事のモデル業にふさわしく、他人を惹きつける絶対的なカリスマ性を持っている。 しかし、その悟が異常なほど独占欲を示すのは、父親の国友に対してだけだった。 国友の周りの人間を嫌う悟の独占欲は、ある出来事で更にエスカレートし…。 乱暴な執着愛によって寝室で壊される親子関係。 ◆



高校の2つ年上の女の先輩に遊ばれちゃった国友。
16歳の時に、その女性から
「あなたの子供だから育てて」
ってな感じで生まれたばかりの赤ん坊を
押し付けられてしまったんですよ。


国友も、国友の両親も呆然としたものの
赤ん坊に罪はないと引き取って育てたんです。

読んでいると、国友がどれほど悟を愛しみ、
大切に育ててきたかがわかります。

16歳ならば国友自身遊びたい盛りだったけど
両親に手伝ってもらいながら、育ててきた。
自分を信頼してすべてを任せてくる悟が可愛くて可愛くて
母親がいない分、自分が母親の代わりもと
ことあるごとに悟に触れ、抱きしめ
スキンシップを絶やさず育ててたんです。


悟が思春期を迎えてからは
親子の会話もなくなってますが、それも当然の成長。
20歳になった今は、親離れしたのだと
国友も理解していたのですが、

現実は、もっと深刻な状況だったんです。


心から愛していた息子に、
その欲情をぶつけられ、
無理矢理体を繋げられてしまう国友。

父親の国友は、線の細い優しげな美形。
一方、悟はガタイもでかく野性味溢れる美形なんです。
父親がいくら抵抗しようとも
息子の力にはかなわないんですよ。

もう、父親としてのプライドをズタズタにされてます。
息子に挿れられてしまうって
身体の痛みよりも心の痛みの方が大きいでしょうね。


息子との関係に思い悩む国友は
自分がスクールカウンセラーをしている高校の
男子生徒を家に預かるんです。

この男子生徒・田端は家庭に問題を抱えていて
こころのケアが必要だと国友が判断したんですけどね。

その田端の存在が
悟の歯止めになるかと思った国友ですが
甘かった…。

田端がいても毎晩2階のトイレに連れ込まれちゃうんです。
(これが後でとんでもない事態を引き起こすんですが)

「父さんの濃くて美味しい。
もっと出せよ、たくさん。
ずっと咥えててやるよ」

はぁぁ…とんでもない執着っぷりですよ。


親子でこんな関係は間違ってる。
それでも、国友は悟を憎むことが出来ないんです。

それは親子だからなのか、
それともまた別の感情が芽生えてるのか。


悟の執着は、父への
ものっすごく深い恋愛感情からなのですが
父親の方は、息子への肉親としての愛情と同時に、
ここで息子を拒絶しようが受け入れようが
いつかは悟が自分から離れていってしまうことに
対する寂寥感を感じてしまっていて
自分でもどうするべきか判断できなくなってます。


ドロドロです。

でもそのドロドロの中に、
悟の心にも国友の心にも
深い愛情は、確かにある。

血の繋がりをも飲み込んでしまう深い情…。

血鎖の煉獄…タイトル通りのお話でした。


そして奈良さんの絵がイイ!
特に悟!
獰猛でエ/ロ/くてめっちゃカッコいい!
奈良さんの絵だからこその獰猛さです♪

口絵はトイレのシーンですが
これがまた大変エ/ロくて美味しゅうございました。


あとがきで秀さんが告白してます。
「親子モノ」と提案したのは、秀さんの担当さんだったとのこと。

秀さんは、その担当さんの神経を真剣に疑ったそうです。
ァ '`,、(๑´∀`๑) '`,、'`,、


この作品の秀さんの文章や雰囲気が気に入ったので
他のも読んでみたいと思います。

ラヴァーズ文庫で奈良さんの絵のが他にもあるから
それから読んでみようかな♪



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