Blue Rose 著者:榎田尤利 イラスト:金ひかる 2001年2月発売
Sleeping Rose    〃         〃    2001年11月発売
雄飛アイノベルズ(絶版)
★★★★
Blue Rose (I novels)/榎田 尤利
¥893
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Sleeping Rose (アイノベルズ)/榎田 尤利
¥893
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雄飛の作品なので残念ながら絶版です。
ブックオフで見かけて買ってみたのですが、いい作品だと思いました。

榎田氏の初期の作品のようですね。
いつものコミカルな文章ではなく、すごく落ち着いた雰囲気です。
ただ、内容が精神的な描写が多く、かなり胸が痛くなります。

裏で娼館をやっているバー『フィラメント』の最高級な男娼・青薔薇(ブルーローズ)。
名を百瀬青という少年のような透明感を持つ美貌の男。
彼が売るのは『愛』

1週間という契約期間で愛を売るというのは、どうやって?と思って読み始めました。
客が自覚なく心の奥底で求めてるものを、青は察知できるんですよ。
体の繋がりはあってもなくてもかまわないし、SでもMでも客の望みどおりに。
三人の客とのエピソードで、青の持つ脆さや儚さが見え隠れしてハマってしまいました。

一人目の客の時に、青の幼馴染と偶然再会してしまい、そこから青が少しずつ壊れていきます。

青はもともと自分を痛めつけようとする傾向を持っていたらしいのですが、幼馴染と出会ってから、ますますそれが強まり、読んでてかなり痛いです。


続編のSleeping Roseで青の背負う過去が徐々に明らかになっていきます。
先が読めてしまう時もありましたが、青の危うさがビシビシ感じられて、すごく重くなります。

愛を売るといいながら、一番愛に飢えてたのは青自身。
母のこと、義理の父のこと、後悔と自責の念と、忘れられない思いと。。。
欲しくて欲しくてたまらなかったのに自分の手からすり抜けてしまったもの。
辛く重い過去を抱えた自分を誰かに壊してほしくてしょうがない。

ちゃんと青を愛してくれてる人たちがいるのに、それに気づけない青はますます自分を追い込んでしまう。。。
歯がゆいやらもどかしいやら悲しいやら。


無理矢理だとか、SMだとかの肉体的苦痛の描写と、青の自虐的な思考の心理的描写があります。
特に精神的なものは読んでて心が痛くなる作品なので、読者の好き嫌いが別れそうです。
私はこゆ読み応えのある重い作品は大好きです。
絶版なのがもったいない気もする。



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