歴史ある銘酒場中の筆頭クラス~~

言葉にならない素晴らしさ

 

 

 

久し振りに私としての思いの中にある、銘酒場を訪れる事が出来ました。

 

名古屋市の中心部、地下鉄・伏見駅に程近い、広小路通り沿いにある銘店です。

 

実はこのお店はもう数年以上前から行きたいと思っていたのですが、この所の名古屋での仕事では、当日に日帰りする事が多かったのと、良く行く日曜日がこのお店・・・・休みなんです。

 

と言う事で、土曜日だった今回、念願叶って漸く行く事が出来ました。

 

 

突然、料理の写真で恐縮なんですが、このお店の魅力については、語ると山の様にあるのですが、このお店に惹かれた理由の一つに、早朝から多くの料理の仕込みをされ、上写真の様に大皿から小皿に盛り付けられ、自分で好きな小皿料理を取って席に戻る。お盆も貸してくれる。

 

そしてゆっくりやる。そんなスタイルはほぼ他に無い~~。失礼な言い方かも知れませんが、さながら昔懐かしい「めしや」的居酒屋・・・・とでも言いましょうか。

 

さて肝心の、店の表構えは下写真の様になっています。歴史を感じる造りになっています。少々写真がピンボケで申し訳ないのですが、私がお店に着いた時間は午後5時半。この写真を撮ったのは閉店前~。暖簾はその為、既に巻き揚げられていました。

 

着いた当初は、店の前には6~7人(4組・人)が待っておられました。えぇ~~と悩みましたが、折角来たのだから~~と待つ事に~~。

 

 

入店を待つ人達は礼儀正しき(?)名古屋人、いや飲み場のルールでしょうか、特にしゃべらないのですが、皆さん暗黙の了解で順番に自然な流れで入店される。

 

ちょうど人の入れ替わりがある時間帯だったのか(午後4時から営業)、意外と10分程待てば、すっと入られました。まあ私は一人でしたからね。

 

で、一階席は土間の様に入った所がテーブル席のみ。その奥には小上がり席が広くそれなりに数ありました。しかしこのお店では間違いなく入り口のテーブル席が良い~~。その理由は、先程の小皿に盛られた料理が目の前に見えるからです。

 

二階にも席がある様ですが、この時は二階には上がっていないので状況が判りません。席は概ね禁煙なのですが、一部席は喫煙が可能な様です。ただこの混雑した店内、タバコを吸われている人は殆どおられませんでした。環境的にも優れていると言うべきでは無いでしょうか。美味しいお酒と料理にタバコ臭は敵です。

 

 

そんな中、座るなり注文を聞かれたので瓶ビ-ルをと言うと、「キリン??、サッポロ??」から始まり、黒ラベル瓶ビールをチョイス~~。そして選んで来たアテ料理2品で先ず開始。シンプルな野菜とキノコの煮物とほうれん草のお浸し~~。決して淡白でも無く、そして濃い味でも無い、程よい味付けがビ-ルにでも日本酒にでも合う・・・・。

 

上写真の左側が厨房であり、大皿に盛られた料理が出され、そこから店主やアルバイトと思しき店員が、小皿に盛り分けて、先程のテ-ブルに色取り取りに並べられる。韓国や中国、台湾関連の留学生を積極的に採用して、日本の文化を教えているらしいです。これも素晴らしい事です。そして決して安価な賃金で無く、日本人と同様に全て扱っているとの事でした。

 

提供する料理が無くなるまで小皿の数が減ること無く、順次盛られて行く。それでも開店時間から3時間も過ぎると、日によっては何十種類もの料理が、ほぼ無くなってしまうことがあると言う。そうなると早い閉店~~。

 

 

続いて二品、こう言う料理をチョイスすると、後は日本酒と言うことになる。お皿の形状で値段が決まっている様で、注文票など無い。

 

さてこのお店の事は、わざわざ私が多く解説しなくても、色々な雑誌やメディア、テレビ、ネットでも、余りにも沢山の記事がヒットするので、私は自分なりに感じた事を書こうと思います。

 

創業が明治40年(1907)と言いますから、もうすぐ110年の年月が経つのです。しかし聞く所に因ると、創業当時からお酒や料理の提供方法を全く変えていない・・・・と言います。

 

しかもこのテ-ブル・・・・厚さは15cmはあろうかという一枚板。長年多くの酒豪達がこの上に、同じ様に酒と肴を置いて肘をつき、肩を並べて語らったのかと思うと、本当に歴史を感じざるを得ません。

 

 

ところで、日本酒の方ですが、「賀茂鶴」の樽詰め特注品と、「菊正宗」の二種類でした。

 

私が戴いたのは「賀茂鶴」の樽酒。木の香りがとても良く、燗酒大徳利を戴いたのですが、それも「大甚」特製の徳利と猪口で戴きます。

 

下写真の様に、このお店の女将が、左隣に見える釜に湧かした湯を用い、肌でその熱さを確かめ、予め少し温めた徳利を再び湯に浸け、手早く提供される。お店の状況を読み、素早く対応出来る様に、キリットした眼でお店を切り盛りする女将の目は流石でした。

 

 

店内の壁には、多くの古き時代のポスタ-や額が掛かっていました。その中に先代の女将の写真もありました。その息子様がこの店の今の店主。

 

私が何度か立って料理を目定めに行く時、料理を手にしようとした時、その店主が横でそれぞれ「お、ネバネバシリ-ズ」とか、「煮こごりもあるよ~~」なんて声を掛けてくれる。勿論料理の中身が判らない時は、全て解説してくれたりもする。常連さん・一見さんを隔てない。

 

たまたま私の前に座られていた、このお店に何十年と通い詰められた大先輩が、色々とこのお店の見えないル-ルを教えてくれました。こう言う繋がりが嬉しいですね。

 

 

ついついそんな初対面の方と、昔からのこのお店の変遷を伺ったりしていると、心も通じて、ついお猪口にお酒を勧めようとすると、「あ、それは禁止なんです~~、女将が怒るから(笑)

」~~と。真偽は判りませんが、どうやら周りの状況を見ても、交わし合っている人は(同行者は除く)いませんでした。自分の飲む物は自分で管理~~が原則~~。

 

そして会計の時になって見えて来た、その方が仰るル-ル。テ-ブル上に食べたお皿と瓶・徳利が幾ら一杯になって来ても下げない理由が、その場で計算する所にありました。そう、また交わし合うと、徳利の計算も大変な訳なのです。

 

「お会計~~」については、「切符を~~」と言うそうです。すると何と昔懐かしい大きな「五つ玉そろばん」(二枚上写真・会計レジ前に置かれている物)で、手際行く皿等を数え、そろばんを弾く。

 

「三十九ね~~」。そう言ってテ-ブルで会計・・・・。

 

3900円也。店内には古い一部のメニュ-については料金が書かれているけれども、それ以外は何も判らない~~。でも大徳利3本、中瓶1本、料理あれこれ・・・・でこの値段でした。

 

 

 

さてどうでしょうか・・・・歴史を感じる、そして居酒屋の神髄を感じざるを得ないこんなお店。それでも最近は若い女性客が増えた~~と言います。歴史の流れはそれでも現在の流れには勝てないのでしょうかね。これも歴史の一ペ-ジでしょうか。

 

ご馳走様でした!!!。また直ぐに行きたくて仕方ないです~~。

 

 

 

 

「大甚本店」

〒460-0008  名古屋市中区栄一丁目5-6 

TEL 052-231-1909

営業時間 16:00~21:00  席によっては予約可(要確認)

定休日  日曜日

 

 

 

 

 

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