【北朝鮮】経済制裁の抜け穴【中国】 | 独立直観 BJ24649のブログ

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 北朝鮮に対する経済制裁は必要だ。

 経済制裁は「メッセージ」としての意義を有する。

 

 

安倍晋三 「美しい国へ」 (文藝春秋、2006年) 57~60ページ

 

 「経済制裁効果なし」の根拠なし
 二〇〇五年七月、北朝鮮が一年ぶりに六カ国協議に復帰するまで、慎重論者たちは、北朝鮮を協議の席上に引き出すためには経済制裁の議論をするべきではない、とさかんに主張した。
 しかし、それはまったく逆だ。外交というのは、まずメッセージが先になければならない。交渉はその先の問題である。出すべきメッセージを出さなければ、そもそも交渉にならない。制裁するかもしれないと思わせることによって、困った相手は、はじめてテーブルにつくのである。最初から制裁の可能性を否定してしまったら、せっかくのカードは効力を失い、向こうのペースで交渉するしかなくなるのである。
 「慎重派」が決まってもちだす理屈がある。経済制裁に踏み切った場合、相手の報復を受ける覚悟があるのか、また、相手がどう出てくるかについての綿密な計算があるのか、というものだ。
 一見もっともらしく聞こえるが、覚悟が必要なのはこちらではなく、北朝鮮のほうである。あなたたちが誠意ある回答を示さなければ、日本は最終的には経済制裁をしますよ。生活が苦しくなるし、政権がゆらぐかもしれない。これを受けて立つ覚悟があなたたちにありますか――日本のほうがそう彼らに突きつけているのであって、けっしてその逆ではない。
 二つ目の、綿密な計算があるのかどうか。これもわれわれよりは、北朝鮮のほうに突きつけるべき問いだろう。日本に経済制裁されたとき、あなたたちに成算はあるのか、と。
 日本は北朝鮮に経済制裁をおこなっても、エネルギーは困らないし、生活にも困らない。社会がひどい混乱におちいる危険もゼロである。
 だが過去におこなってきたように、かれらはまたミサイルの試射をおこなう可能性がある。しかしミサイル攻撃をする可能性は、きわめて少ない。なぜなら、日本をミサイル攻撃すれば、安保条約によってアメリカがただちに反撃するからである。湾岸戦争でイラクの要人を狙ったときがそうであったように、おそらくピンポイントで狙うだろう。
 わたしは日朝交渉で金正日委員長にじかに接し、その交渉のしかたを観察したが、一部の評論家がいうような愚かな人間でもなければ、狂人でもない。合理的な判断のできる人物である。では、金正日委員長にとっての合理的な判断とは何か。それは自分の政治的な権力を保持することにほかならない。そうであるなら、海産物と自分の命を引きかえにするわけがないではないか。
 いずれにせよ、この問題の解決にあたっては、「対話と圧力」の両輪で対処するというのが政府の基本方針である。その意味では、経済制裁は最終的な圧力となるが、もとより経済制裁自体が目的ではない。ほんとうの目的は彼らに、政策を変更しなければ、ただでさえ困難な現在の問題を解決することはできない、と認知させることにある。いま日本が国際社会に働きかけたり、また、日本に寄港する船にたいして厳格な法執行をおこなうなど、圧力を強めつつあるのは、そのためなのはいうまでもない。」

 

 

 日本のみならず、国連も北朝鮮に対する制裁決議を行ってきた。

 アメリカも韓国も、それぞれ北朝鮮に対する経済制裁を行っている。

 

 

「北制裁、安保理が決議採択…貨物検査を強化」 読売オンライン2016年3月3日

http://urx.blue/ytMh

 

「【ニューヨーク=水野哲也】国連安全保障理事会は2日午前(日本時間3日未明)、北朝鮮による4回目の核実験と事実上の長距離弾道ミサイル発射を受けた新たな制裁決議を全会一致で採択した。

 

 貨物検査の強化や北朝鮮産の鉱物資源の輸出禁止を盛り込み、従来の制裁を大幅に強化する内容だ。

 北朝鮮の核実験やミサイル発射を受けた安保理制裁決議は5回目となる。

 今回の決議は、〈1〉北朝鮮に出入りする全貨物の検査を義務化〈2〉北朝鮮による鉱物資源の輸出を禁止し、資金源を遮断〈3〉国際的な金融取引を遮断――が柱だ。

 貨物検査について、これまでの決議は「禁輸品積載の疑いがある場合」を実施の条件としていたが、今回は北朝鮮のすべての貨物を各国が空港や港で検査することを義務づけ、違法取引の監視を強化した。鉱物資源については、金やチタン、レアアースの北朝鮮からの輸出を全面的に禁じ、北朝鮮の主要輸出品となっている石炭や鉄鉱石についても大幅に規制した。航空用燃料の北朝鮮への輸出も禁止した。

 金融制裁では、北朝鮮の銀行が他国に支店を開設したり、他国の銀行が北朝鮮に支店を開設したりすることを禁じた。このほか、決議違反行為に関与した北朝鮮外交官の国外退去や、武器取引の全面禁止も盛り込んだ。

 米国のパワー国連大使は決議採択後、「北朝鮮による核ミサイル能力の向上は地域だけでなく、世界への脅威だ。北朝鮮は21世紀に核実験を行った唯一の国だ」と意義を強調。日本の吉川元偉(もとひで)国連大使は「北朝鮮は、この決議が、安保理だけでなく、国際社会全体からのメッセージだと受け止めるべきだ」と述べた上で、「今日の決議は終わりではなく始まりだ。我々はこの決議に盛り込まれた措置を完全に履行しなければならない」として、加盟国に決議順守を呼び掛けた。

 安保理は1月6日の核実験を受け、新たな制裁決議を採択することで合意。度重なる決議違反を受け、米国はこれまでにない強力な制裁を要求した。北朝鮮に最も大きな影響力を持つ中国は、北朝鮮の暴発を懸念して国民生活に影響が及ぶ制裁には慎重で、協議は長期化した。最終的に両国は合意し、「包括的で強力かつ前例のない制裁」(パワー国連大使)となった。」

 

「対北朝鮮措置」 首相官邸HP平成28年3月2日

http://urx.blue/ytMl

 

「 今回の大変厳しい決議は、北朝鮮に対する国際社会の明確なメッセージです。この決議には、日本の考え方も相当盛り込むことができました。日本は国際社会と協力をして、厳格に実施をしていきます。
 また、決議には人道問題についても触れられています。拉致問題の解決は、安倍政権にとって最重要課題です。拉致問題の解決、そして核問題、ミサイル問題、その解決を北朝鮮に強く求めてまいります。(平成28年3月3日)」

 

http://urx.blue/ytjf

 

http://urx.blue/yti3

 

 

 それにしても、経済制裁の実効性について、あまりに実感が乏しいように思う。

 北朝鮮は、9日に5回目の核実験を行った。

 さらに、ミサイルに用いる新型エンジンも開発している。

 北朝鮮は相変わらず核ミサイルの開発を進めている。

 「政策を変更しなければ、ただでさえ困難な現在の問題を解決することはできない、と認知させる」という経済制裁の「ほんとうの目的」が達成されているとは思えない。

 

 

「「核弾頭、爆発成功」…北朝鮮が5回目核実験」 読売オンライン2016年9月10日

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「【ソウル=井上宗典、ニューヨーク=水野哲也】北朝鮮は9日午後1時(日本時間午後1時半)、朝鮮中央テレビで「核弾頭の威力判定のための核爆発実験が成功裏に行われた」との声明を伝え、核実験の実施を発表した。

 

 北朝鮮の核実験は今年1月6日以来で、通算5回目となる。核弾頭の実験実施に言及したのは初めてだ。核弾頭を搭載した弾道ミサイルの実戦配備に近づいた可能性が大きく、日本や韓国などにとって脅威は一段と増大した。

 国連安全保障理事会は9日午後(同10日未明)、緊急会合を開いて対応を協議する。日米韓は新たな制裁も視野に強い対応を求める方針だ。

 韓国気象庁は9日午前9時半頃、北朝鮮北東部・豊渓里(プンゲリ)の核実験場がある咸鏡北道(ハムギョンプクト)吉州(キルジュ)郡付近を震源とするマグニチュード(M)5・0の人工的な揺れを観測。日本の気象庁や米地質調査所(USGS)などではM5・3の揺れを観測した。」

 

「北朝鮮 新型エンジンの燃焼実験に成功か」 NHKニュースウェブ2016年9月20日

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北朝鮮は、事実上の長距離弾道ミサイルに使う新型のエンジンの燃焼実験に成功したと、20日朝発表しました。実験に立ち会ったキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は、ことし2月に続く事実上の長距離弾道ミサイルの発射を準備するよう指示したとしており、関係国が警戒と監視を強めています。


北朝鮮は、北西部のトンチャンリ(東倉里)にある「ソヘ(西海)衛星発射場」で、「静止衛星運搬ロケット用の大出力エンジンの地上噴出実験が行われ、成功した」と、20日朝、国営メディアを通じて発表し、キム・ジョンウン朝鮮労働党委員長の立ち会いのもと、事実上の長距離弾道ミサイルに使う新型エンジンの燃焼実験を行ったことを明らかにしました。

20日付けの朝鮮労働党の機関紙「労働新聞」に掲載された写真には、ことし4月に新型のICBM=大陸間弾道ミサイルのエンジンの燃焼実験が行われたときと同じく、屋外の実験用の施設に取り付けられたエンジンの噴射口から、オレンジ色の炎が真下に向かって勢いよく吹き出している様子や、軍の幹部らとともに笑顔を見せるキム委員長の姿などが写っています。

実験では、「推力80トンのエンジンを200秒間燃焼し、性能を最終的に確認した」としていて、終了後、キム委員長は、「わが国を数年内に静止衛星の保有国にすべきだ。今回の実験の成果をもとに人工衛星の発射準備をいち早く終わらせ、人民に勝利の知らせを届けよう」と述べ、ことし2月に続く事実上の長距離弾道ミサイルの発射を準備するよう指示したとしています。

ことしは、北朝鮮が掲げる「国家宇宙開発5か年計画」の最後の年にあたるとされるうえ、来月10日の朝鮮労働党の創立記念日に向けて国威発揚を図るとともに、アメリカなどを強くけん制する狙いがあるとみられ、関係国が警戒と監視を強めています。
北朝鮮が事実上の長距離弾道ミサイルに使う新型エンジンの燃焼実験を行ったと発表したことについて、韓国の国防省は、20日の記者会見で、「北が発表した内容を根拠にすれば、エンジンの出力が向上したと見られる」と述べました。ただ、「実験に成功したかどうかはさらに分析が必要だ」として、慎重な見方も示しました。
そのうえで、北朝鮮は来月10日、朝鮮労働党の創立71年を迎えることから、警戒と監視を続けていくとしています。


防衛相「兆候含め調査する」
稲田防衛大臣は閣議のあとの記者会見で、「事実関係については兆候などを含めてしっかりと調査する。北朝鮮はことしに入って21発の弾道ミサイルを発射し、能力も上がっており、日米、日米韓で協力し、情報の収集に努めたい」と述べました。」

 

 

 北朝鮮は、度重なる経済制裁にもかかわらず、なぜ「メッセージ」を聞き入れずに、核ミサイル開発を進められるのだろうか。

 察しの通り、中国が抜け穴になっている。

 制裁に協力するどころか、禁輸の対象となっている物品の取引量が増えているというのだから驚きだ。

 一時は金正恩と中国の不仲が伝えられたこともあったが、経済制裁が強まれば強まるほど、北朝鮮は中国依存を深め、中国の北朝鮮に対する影響力が増しているようにも思える。

 

 

「『制裁になっていない中国の北朝鮮に対する経済制裁①』田村秀男 AJER2016.9.19(5)」 YouTube2016年9月18日

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「【お金は知っている】北の核実験阻止に必要なのは中国金融機関の締め上げだ」 zakzak2016年9月16日

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「 北朝鮮は9日の5回目の核実験に引き続き、次の実験準備を進めているという。国連制裁などどこ吹く風だ。中国の習近平政権は口では嘆きながら、金正恩政権にカネも石油も提供している。国際社会は中国に見切りを付け、対中圧力を強化すべきだ。

 グラフは今年の中国の北朝鮮からの石炭、鉄鉱石の輸入量の推移である。これら2品目は1月の4回目の核実験を受けた3月の国連安全保障理事会による対北制裁決議2270号によって、北からの輸入が禁じられている。一目瞭然、3月以降、鉄鉱石は輸入が2倍以上に増え、石炭は減少したのはつかの間で7月には再び増加している。

 一見すると中国による「制裁破り」なのだが、上記制裁決議には抜け穴がある。北の輸出による収入の用途が核やミサイル開発など軍事ではなく、民生向けであれば、制裁対象にはならないというただし書きがある。カネに色はないのだから、中国が支払うカネが民生に限定されるはずはないのだが、中国はそれを盾に白昼堂々と禁制品を輸入している。

 国連安保理は常任理事国中国が拒否権を行使すれば制裁案が成立しない。そこで、米国も日本も妥協せざるをえない事情があるという。ならば、資金の流れを徹底的に明らかにするよう、輸入国中国に義務づけるべきだろうが、外務官僚は金融には疎い。「かつてなく強力な制裁」という外見に満足し、成果を強調したのがこの3月だった。」

 

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「 石炭、鉄鉱石などの輸入のみならず、中国資本の対北投資、北朝鮮企業の中国内での活動などで北の外貨稼ぎに協力するばかりではない。原油や重油、ガソリンなど石油製品を確保できなくなると、北朝鮮軍は無力化するのだが、北京は、北がミサイル発射や核実験を繰り返してもおかまいなしに供給を増やしてきた。

 日本などがいくら制裁強化に乗り出しても、金政権が一向に動じないのは、習政権の後ろ盾があるからだ。北京は金正恩氏をもてあまし、その首のすげ替えを狙っていると、ドラマ仕立てで見る向きもあるが、経済データをみれば根も葉もない噂に過ぎない。

 米国も甘い。先の5回目の核実験について、カーター国防長官は「中国の責任は重大」と指摘したし、米メディアでも中国に対する批判が高まってはいるのだが、行動はしない。

 昨年12月にはシンガポールの海運会社が武器を密輸する北朝鮮の貨物船の運航資金を送金していたとして、シンガポールの裁判所が有罪判決を下した。この海運会社は北朝鮮のダミーで、中国銀行が協力していた。米国が中国銀行を制裁しドル資金取引を制限できるチャンスだった。他にも、北朝鮮の企業や金融機関は中国の金融機関を通じて、外貨資金を獲得していると、米専門家はみる。

 米国はこれら中国の銀行が米金融システムにアクセスできないようにすれば、北は確実に干上がる。今必要なのは、中国への強硬策であり、日米は結束すべきだ。 (産経新聞特別記者・田村秀男)」

 

「北朝鮮を止められるか 国連が制裁決議」 日本経済新聞2016年2月8日 (2016年3月3日更新)

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「 国連安全保障理事会は2日、核実験と事実上の長距離弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮に対する制裁決議を全会一致で採択した。安保理はこれまで何度も制裁を決議してきたが、北朝鮮の核・ミサイル開発は止まらなかった。今回の決議は狙い通りの効果を発揮するのだろうか。

 

■ヒト・モノ・カネを遮断

 

『今回の安保理での決議は米国主導で作成し、53カ国が共同提案した。北朝鮮に出入りするすべての貨物の検査義務化、航空機燃料の供給禁止などに加え、鉱物資源の輸入制限など北朝鮮の外貨獲得手段を遮断する「前例がないほど強力な内容になった」(米国のパワー国連大使)。』

 

『資金・物資両面にわたる多彩なメニューのうち、北朝鮮専門家の注目を集めるのは(1)生活目的を除く北朝鮮産の鉱物資源の輸入禁止(2)北朝鮮に出入りする全ての貨物の検査義務付け(3)航空機燃料の供給禁止――などだ。』

 

『石炭や鉄鉱石などの鉱物は北朝鮮の主要輸出品で、石炭だけで年10億ドル(約1100億円)を稼ぎ出している。全面的に停止した場合、経済成長率が4%程度低下するとの試算がある。鉱物輸出を手掛ける企業は軍や労働党とつながっているとされ、軍事面の資金運営への影響は確実だ。』

 

     北朝鮮制裁、党・軍に照準 米が安保理提出 (2月27日)

 

■日米韓、独自の制裁「上乗せ」

 

 米国では2月18日、北朝鮮への独自制裁法が成立している。

 

『米国は独自制裁の対象を北朝鮮の政府関係者や企業に限らず、北朝鮮による核・ミサイル開発や資金洗浄、サイバー攻撃などに関わった第三国の企業に広げた。』

 

『米金融機関との米ドル建ての取引を禁じ、北朝鮮の核・ミサイル開発につながる資金の遮断を狙う。』

 

 日本も独自制裁で米国と足並みをそろえた。

 

『政府は2月19日の臨時閣議で10日発表した独自制裁策を決定し、制裁措置を実施段階に移行させた。北朝鮮に寄港した第三国船舶の日本への入港を禁止したほか、資産凍結の対象も新たに1団体と10人を増やし、計40団体・29人とした。』

 

『韓国政府も2月10日、南北協力事業で唯一残っていた南北境界に近い北側の開城(ケソン)工業団地の稼働中断を決めた。15年の韓国と北朝鮮の南北交易(貿易)額は約27億ドル。ほとんどが開城工業団地関連で、北朝鮮には痛手だ。』

 

     対北朝鮮、資金を遮断 米の独自制裁法成立(2月20日)

 

■繰り返された決議、効果は……

 

 北朝鮮への制裁決議は2006年、09年、13年にも出されたが、結局は核・ミサイル開発を阻止できなかった。今回の決議を控えた2月29日に明らかになった国連安保理の北朝鮮制裁委員会の報告書は、これまでの制裁の「効果に深刻な疑問が生じている」と述べている。

 

報告書は「北朝鮮は国際金融システムや航空・海運網を利用し、禁輸品を取引し続けている」と断定した。外交官や一部友好国との長期にわたる貿易関係を通じて制裁を逃れているという。

 

『また、北朝鮮の船舶が外国の旗や別名を掲げて海外の港に入港している実態も明かした。』

 

■中国の出方がカギに

 

 北朝鮮の最大の貿易相手である中国は1日、石炭を含む北朝鮮産の鉱物資源の輸入禁止に着手したとされる。制裁決議を先取りした形だ。これがこのまま続くのか、国際社会が注目している。

 

制裁の実効性を高めるうえでカギをにぎるのは中国の動きだ。北朝鮮は貿易額の9割を中国に依存しているとされる。中国がすべての貨物を検査すれば北朝鮮への打撃は計り知れないが、制裁を履行するには中国も検査体制の整備などを迫られる。中国がどこまで真剣に制裁を実行するかは不透明な部分もある。』

 

 

 経済制裁を有名無実化させる中国は厄介だ。

 しかし、悩ましいのは、経済制裁には「抜け穴」が付き物だということだ。

 「抜け穴」がないと、それこそ暴発を招いてしまうおそれがある。

 経済制裁の主眼はあくまで「メッセージ」にある。

 

 

高橋洋一 「バカな外交論 「的外れな主張」にダマされるな!」 (あさ出版、2014年) 76~78ページ

 

「経済制裁」にこそ抜け穴が必要

 

 ある国が、国際社会から批判されるような行動に出た場合、よく「経済制裁」というものが行われる。

 具体的には、その国との貿易を制限したり、人やお金の行き来を禁じたり、その国の要人の対外資産を凍結したり、あるいは相手が貧しい国であれば、救援物資や経済支援を中断したりなど、多岐にわたる。

 要するに、武力を使わず、経済を通じて、”悪いこと”をした国をこらしめるという手法だ。これも経済外交の一つといっていいだろう。

 

 この経済制裁について、よく取りざたされるのが「効果の程度」だ。

 たとえば日本が北朝鮮に経済制裁を行うといった場合、必ずといっていいほど、「その効果はどれくらい見込めるのか」と問う人がいる。

 たいていの場合、そう問う人たちは「必ずどこかに抜け穴があるから、効果的とはいえない。それでは経済制裁の意味がないではないか」、もっといえば「より強い経済制裁が必要ではないか」と主張したいのだ。

 同じように思ったことがある読者も多いかもしれない。しかし、私にしてみれば、それこそビックリ仰天、ショッキングな考え方なのである。

 では問うが、もし本当に経済制裁の効果が発揮されたら、いったいどうなると思っているのか。

 人間は、ヤケを起こしたら何をするかわからない。国だって同様である。

 少しの抜け穴もなく救援物資を断たれ、貿易を断たれ、いよいよ国が二進も三進もいかなくなったら、どんな行動に出るかわからない。

 仮に北朝鮮だったら、韓国や日本に向けてミサイルを発射するかもしれない。

 もっと悪くすれば、「死なばもろとも」とばかりに、核ミサイルのスイッチを押す可能性だってある。

 経済制裁は、たとえていえば、いたずらをした子どもの手やお尻を、ピシャリと叩くようなものだ。痛いことは痛いが、ケガはしない。「怒っている」というメッセージは受け取れるが、憎しみには発展しない。でも、もう痛い思いはしたくないし、もう怒られたくないから反省し、もう同じいたずらはしない。

 あまりに卑近なたとえだと思ったかもしれないが、実際、こういうことなのだ。

 経済制裁は、本当に相手国を経済的に困窮させることが目的ではない。

 「私たちは怒っている」「行動を改めなさい」という政治メッセージを送り、相手国の為政者に間違いに気づかせ、方針を改めさせることが目的なのだ。

 経済制裁に抜け穴はあって当然なのである。たとえば、貿易を制限しても、第三国経由なら取引ができる。むしろ、こうした抜け穴を見過ごし、相手国の逃げ道を残しておくことが重要だ。だから、経済制裁とは外交の一種なのだ。

 

 このように、経済制裁は、決して壊滅的な事態には及ばないことが一番の効果といえる。したがって、決定的には追いつめず、「ちょっと困らせて反省させる」というさじ加減において、一国の外交手腕が問われることになる。」

 

 

 とはいうものの、北朝鮮の至上命題は核ミサイル開発であり、北朝鮮にいくら「メッセージ」を送ったところでこれを阻止できるとは思えない。「反省」などありえない。

 経済制裁によって核ミサイル開発の進展を遅らせることはできても、止めることはできないのではないか。

 我々としては、北朝鮮が核ミサイルを持つことを想定して、備えをしておくべきだと思う。

 韓国は、着実に準備を進めているように見える。

 米韓は、北朝鮮に対する「先制打撃」を決めた。

 「韓国を見習え」というマスメディアは、こういうことを国民に伝えるべきではなかろうか。

 

 

「韓米  北韓の核使用兆候に先制打撃へ」 KBS WORLD RADIO 2016年9月20日

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韓米両国が、北韓が核兵器使用の兆候を見せた場合、先制打撃をすることを決めました。
大統領府青瓦台と韓国軍当局が19日、明らかにしたところによりますと、韓米両国は最近協議を行い、北韓による核の危機を「脅威」、「使用逼迫」、「使用」の3段階に分ける韓米共同の段階別抑止戦略を実際の作戦で実行することを決めたということです。
これは最近、北韓が5回目の核実験を行ったことで北韓の核脅威が現実化しているという判断のもと、計画の段階でとどまっていた抑止戦略の実行を決断したものです。
まず、1段階となる「脅威」の際には、アメリカが戦略爆撃機と弾道ミサイルを搭載した原子力潜水艦などの核戦力と在来型精密打撃戦力を韓半島周辺地域に配備し、2段階の「使用逼迫」の際には、韓国とアメリカ両国の精密誘導兵器で北韓の核戦力を先制打撃し、アメリカの核兵器による北韓の核戦力打撃を準備します。
そして3段階の「使用」の際には、韓国とアメリカの国家指揮最高部が対応措置を取ることになります。
韓国とアメリカは、来月開かれる予定の韓米安保協議会議でこの段階別抑止戦略をより具体化していく方針です。」

 

 

 ところで、北朝鮮ではひどい洪水が起きたらしい。

 

 

「北朝鮮、洪水で138人が死亡・400人以上が行方不明」 朝鮮日報2016年9月18日

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「 北朝鮮で今月はじめ、中国との国境に近い咸鏡北道北部を中心に大規模な洪水が発生し、138人が死亡、400人以上が行方不明になっていることがわかった。

 米政府系メディア「ボイス・オブ・アメリカ(VOA)」は16日、平壌に駐在する国連関係者の話として「今回の洪水はここ数年で最も大きく、深刻な被害が発生している」とした上で「洪水により14万人の被災者が発生し、60万人が飲み水や衛生問題で苦しんでいる」と報じた。被害の原因について国連緊急援助調整官室(OCHA)関係者は「台風10号による豪雨の影響で豆万江の水位が上昇したことに加え、1回あるいは2回にわたり川の水が平野に放出されたからだ」と説明する一方「ただし大量の水がなぜ放出されたのかはまだわからない」と伝えた。

 北朝鮮も国営メディアを通じ、咸鏡北道地域における洪水現場の映像や写真を相次いで公表している。北朝鮮の対外宣伝用ウェブサイト「ネナラ(わが国)」は今回の洪水について「(1945年の日本による植民地支配からの)解放以来、最も大きな災害」と表現し「死者・行方不明者を含む人命被害は数百万人に達し、6万8900人が住む家を失った」「1万1600棟の住宅が破壊され、2万9800棟が莫大な財産被害を被った」などと伝えた。

 このように北朝鮮が被害状況を詳しく伝える背景には、国際社会からの支援を引き出したいという意図が見え隠れする。また北朝鮮はすでにアジア9カ国や国際機関などに救援の要請を行っているという。しかし関係する韓国政府筋は「5回目の核実験を強行した北朝鮮に対しては制裁の強化を求める声が高まっているため、簡単には支援を行いにくい雰囲気だ」とコメントした。

キム・ミョンソン記者」

 

 

 国連は、北朝鮮支援に向けて動いている。

 

 

「北朝鮮洪水で14万人支援=国連」 時事ドットコム2016年9月14日

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「【ベルリン時事】世界食糧計画(WFP)は13日、洪水で被害が出た北朝鮮北部の住民14万人以上に食料を配給したと発表した。実際の被災者数はさらに多い可能性があり、支援強化に向け、国際社会に資金拠出を訴えている。

 

WFPは、住民らが住居や食べ物、医療面のサポートを求めていると指摘。「(被災地では)厳しい冬が近づき、深刻な食料不足が予想されている」として、事態の緊急性を強調した。」

 

 

 これに対し、日韓は共に、北朝鮮には支援しない方針だ。

 

 

「北朝鮮洪水支援せず=核実験理由に-岸田外相」 時事ドットコム2016年9月14日

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「 岸田文雄外相は14日の衆院外務委員会で、洪水被害を受けた北朝鮮への支援について「核実験や弾道ミサイル発射は従来とは異なるレベルの脅威になっている。このような状況を踏まえれば、現時点で支援を行う考えはない」と述べ、核実験などを理由に支援に慎重な姿勢を示した。生活の党の玉城デニー氏への答弁。」

 

「朴槿恵政権が対北水害支援に否定的 核実験への報復を優先「住民の生命を軽視」と非難」 産経ニュース2016年9月19日

http://urx.blue/ytMQ

 

「 韓国統一省報道官は19日の会見で、北朝鮮北東部で今月初めにかけて起きた大規模な水害による深刻な被害の復旧支援について、要請があっても「現状では(支援の)可能性は低い」と述べ、否定的な考えを示した。

 韓国では南北交流に関わる民間団体が支援物資を送りたいとの意向を示しているが、朴槿恵(パク・クネ)政権は核実験に制裁強化で報復することを優先する姿勢。ただ、今後国際機関の支援が本格化した場合、同じ民族の韓国が難しい立場に立たされる可能性もある。

 統一省報道官は、今月2日までの豪雨で水害が起きた後、北朝鮮が9日に「莫大な費用がかかる5回目の核実験を敢行した」と述べ、北朝鮮体制が住民の生命を軽視していると非難した。(共同)」

 

 

 国連と足並みを揃えることなく、北朝鮮に対して支援しないことは、核実験等を強行した同国に対して怒っているという明確な「メッセージ」となろう。

 現状で支援してしまうと、「メッセージ」が不明確なものになってしまうと思う。

 

 外務省のホームページを検索したら、過去の北朝鮮の洪水へのわが国の対応が出てきた。

 河野洋平外務大臣が、洪水に遭った北朝鮮への支援を表明するという、悪夢のような時代があった。

 なんだかんだ言って、対北朝鮮外交は随分と改善されたのだと思う。

 

 

「河野外務大臣談話 北朝鮮の洪水被害に対する緊急援助およびコメ支援問題について」 外務省HP平成7年9月19日

http://urx.blue/ytMU

 

「1.北朝鮮においては、本年夏の豪雨により、広い地域にわたり大規模な洪水が起こり、国連人道問題局等の国連諸機関の調査の結果、人的・物的に多大な被害が生じていることが判明した。政府としては、今般の洪水の犠牲者、被害者の方々に対し哀悼とお見舞いの意を表する次第である。

 

2.こうした事態に対し、国連人道問題局等の国連諸機関は、自ら行った調査に基づき緊急援助を実施するため、国際社会に対して支援を要請した。わが国としては、この要請を受け、国際社会の一員として、国連諸機関の努力を支援するため、総額50万ドルをこれら諸機関に拠出することとする。(以下略)」

 

 

 安倍総理大臣は、国連総会に出席すべく渡米した。

 ここで北朝鮮に対して圧力を強めることを国際社会に呼びかける。

 

 

「安倍首相がニューヨーク到着 国連総会で演説へ」 NHKニュースウェブ2016年9月19日

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「安倍総理大臣は、国連総会での一般討論演説や、深刻化する難民問題への対応を話し合う会合などに出席するため、日本時間の19日朝、アメリカのニューヨークに到着しました。

 

安倍総理大臣は日本時間の午前6時半ごろ、政府専用機でニューヨークに到着しました。
安倍総理大臣は、日本時間の19日夜遅くから、対日投資セミナーや訪日観光セミナーに相次いで出席し、アメリカの企業関係者らに日本への直接投資を呼びかけたり、観光客の増加に向けて日本の魅力を紹介したりすることにしています。
また、日本時間の20日未明には、シリアをはじめ世界的に深刻化している難民問題への対応を話し合う「難民と移民に関する国連サミット」に出席し、貧困や格差、若年層の雇用問題の解消などに取り組む考えを表明することにしています。

 

そして、安倍総理大臣は日本時間の22日に、国連総会での一般討論演説に臨み、核実験や弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮に対し、国際社会が結束してきぜんと対応することが重要だと訴えるほか、拉致問題の解決に向けた協力を呼びかけることにしています。

 

安倍総理大臣はニューヨーク滞在中、ヨーロッパや中東など、各国の首脳とも個別に会談し、日本が実現を目指す国連の安全保障理事会の改革などをめぐって意見を交わすことにしています。」

 

 

 これはこれで必要なことだと思う。

 しかし、北朝鮮が核武装へ向けて進むのは止められまい。

 わが国としても、北朝鮮が核武装した時のための対策を進めていくべきだと思う。

 わが国も核武装すべきだという意見も根強いが、下手にやると日米関係悪化に繋がり、中国を利するおそれがあるという意見もある(http://urx.blue/ytN4)。

 核武装を進める中で反米が勢いづくことは避けたいが、そもそも「核の傘」への不信感が核武装推進論の根底にあるので、反米なき核武装推進は難しい気もする。

 なお、安倍政権には今のところ核武装への意欲は見られない。

 

 と、書いていたら、北朝鮮が核ミサイルを実戦配備する可能性があるという観測が識者から出ていたことを知った。

 しかも、わが国が標的になる可能性にまで言及している。

 経済制裁には「抜け穴」が必要だと説く高橋氏も、中国が北朝鮮から鉄鉱石を輸入することを批判している。

 いくら「抜け穴」が必要だと言っても、経済制裁の目的を達せられなくするほど大きな「抜け穴」は塞がねばならないということだろう。

 米中両国の当局が、北朝鮮の核開発を支援してきた疑いのある企業の捜査を始めたという報道も出てきた(http://urx.blue/ytQ8)。

 

 

「2016/9/20 ザ・ボイス 高橋洋一×青山繁晴 ニュース解説「安倍総理 国連サミットで2,800億円規模の難民支援を表明」「年金強制徴収の対象 所得300万円以上に拡大へ」など」 YouTube2016年9月20日

http://urx.blue/ytN8

 

http://urx.blue/ytNb

http://urx.blue/ytNg

 

「北の核は日本へ発射する 現実味帯びる「使用」の脅威 中国に鉄鉱石輸入止めさせよ」 zakzak2016年9月16日

http://urx.blue/ytNj

 

「 北朝鮮がミサイル発射や核実験を繰り返している。核問題で攻勢を強める計算は何か。米国は大統領選に入り動けなくなることが予想されるほか、国連も有効な抑止力を持っていないように見えるが、エスカレートする北朝鮮を抑止できるのだろうか。

 9日の核実験で北朝鮮は、「核弾頭」という言葉で表現しており、核爆弾が実戦配備間近であることを示唆した。この意味で、日本に対する脅威はこれまでの段階とは違ったステージになっている。

 先日、NHKテレビで日本への原爆投下の経緯を探るドキュメンタリー番組があったが、「軍から原爆開発で多額の予算を使ったので、なんとしても使用せざるを得なかった」という証言が強く印象に残った。今の北朝鮮も同じ事情なので、そのための「使用」が現実味を帯びてくる。

 前出の番組では、原爆投下候補として、第一が京都、第二が広島であったが、決定に関与する大統領側近が京都に行ったことがあり京都を回避したという話もあった。これを今の北朝鮮に当てはめれば、核爆弾を使用する場合、中国や韓国ではなく、日本になる公算が大きいだろう。

 北朝鮮のミサイルや核開発の意図は単純で、体制維持にある。米国はこれまで核保有国に対して攻撃してこなかった歴史がある。フセイン政権時のイラクが、核開発をしていることを理由に体制が崩壊したことを北朝鮮はよく知っているので、一刻も早く核の実戦配備にまでこぎ着けたいと思っている。」

 

http://urx.blue/ytNk

 

「 北朝鮮を取り巻く国際情勢は、イラクの時よりも複雑である。中国やロシアは北朝鮮の体制崩壊に否定的であり、結果として米国や国連の北朝鮮包囲網を壊している。

 こうした国際社会の足並みの乱れも北朝鮮は計算して、今の時期ならば、国際社会からの圧力を回避できると踏んでいるのだろう。

 国連による制裁も10年間にわたって行われているが、実効性がないようだ。国連制裁は、「モノ」では石炭、鉄鉱石の一部を除き輸入禁止、「ヒト」では非合法活動の外交官の国外退去、「カネ」では北朝鮮当局や関連団体の資産凍結となっているが、中国やロシアの輸入は事実上抜け穴となっている。

 特に問題は中国である。北朝鮮の石炭や鉄鉱石の輸入を禁止すれば、かなりの実効性があるが、そこまで踏み込めない。というのは、石炭や鉄鉱石の禁輸は北朝鮮の体制崩壊につながるからだ。

 北朝鮮は、中国が議長国を務めた20カ国・地域(G20)首脳会議中にミサイルを発射、中国のメンツをつぶす形で暴走している。ただ、中国にとっては北朝鮮の脅威は、ほぼないので、むしろ体制崩壊のほうがデメリットが大きい。国連が機能せず、北朝鮮が止まらないのはこのためだ。

 そもそも中国経済はかなり落ち込んでおり、北朝鮮からの鉄鉱石の輸入があるのは不可解だ。G20では中国に対して「鉄鋼生産の削減」が課されたが、その政治的な意味は「北朝鮮から鉄鉱石を輸入するな」である。中国がポイントだ。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)」

 

 

 「(北朝鮮が)ミサイル攻撃をする可能性は、きわめて少ない。なぜなら、日本をミサイル攻撃すれば、安保条約によってアメリカがただちに反撃するからである。湾岸戦争でイラクの要人を狙ったときがそうであったように、おそらくピンポイントで狙うだろう。」

 10年前、安倍総理大臣はこう述べた。

 北朝鮮の核攻撃を抑止する鍵は、日米連携の強化だ。

 日本が核攻撃を受けた場合の「反撃」の中身が問題で、金体制崩壊となる攻撃でなければ抑止力として不十分だと思う。

 「おそらくピンポイントで狙うだろう」という曖昧な期待ではなく、「金正恩の首をピンポイントで狙う」という確約が必要ではなかろうか。

 また、わが国は「先制打撃」についてどうなっているのだろうか。

 そもそも自衛隊には敵基地攻撃能力がないため、これをわが国が行うことはできないのだが、アメリカが単独でこれを行うという取り決めは存在するのだろうか。

 日本を標的にした場合に先制打撃のおそれがないならば、北朝鮮にとっては韓国よりも日本の方が標的にしやすいはずだ。

 

 金体制崩壊の緊張感があってこそ、経済制裁は核武装を止めさせる「メッセージ」たり得るのだろう。

 ところが、「抜け穴」が大きくてかかる緊張感がない。国連も北朝鮮に対する経済制裁の効果に「深刻な疑問」を示している。

 にもかかわらず、北朝鮮が核武装を達成した時のための備えを怠っていたら、わが国こそ「間抜け」ではなかろうか。

 「メッセージ」には、金体制を崩壊させる力の裏付けが必要だと思う。