【尖閣防衛】水産庁より外務省・財務省が問題じゃない?【水島総】 | 独立直観 BJ24649のブログ

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流行に浮かされずに独り立ち止まり、素朴に真っ直ぐに物事を観てみたい。
そういう想いのブログです。

 頑張れ日本!全国行動委員会およびチャンネル桜が、水産庁叩きに精を出している(https://www.youtube.com/watch?v=86F-VbNirqEhttps://www.youtube.com/watch?v=7AhqHK35j5sなど)。
 何があったのかはよく知らないが、水島氏たちの尖閣諸島海域での漁業活動を水産庁が法的根拠なく妨害したらしい。
 一応これは本当だと信じることにしよう。
 水産庁に抗議をすることもよしとしよう。
 しかし、それだけで足りるのだろうか。

 まず持っておくべき視点だが、最低限、現状維持をすれば尖閣諸島が中国に奪われることはないということだ。
 安倍政権は、民主党政権と異なり、尖閣諸島を守る意思がある。
 中国はAPECで日中首脳会談を開くにあたり、実質上、尖閣諸島領有権の放棄を求めてきたが、安倍政権はこの条件を拒絶した(http://www.sankei.com/politics/news/141111/plt1411110016-n1.html)。
 こういうところにも尖閣諸島を守る意思を見ることができると思う。諸外国はそう見るだろう。
 民主党政権においては民間防衛の必要性が高いと言えたが、現政権ではその必要性は相対的に低くなっている。


上念司、倉山満「説教ストロガノフ 「日本の敵」を叩きのめす!」(PHP研究所、2014年)80,81ページ

倉山 (中略)これまで安倍外交が成功しているのは、尖閣諸島で静謐を保っている点が大きい。ノモンハン事件後にソ連の挑発を受け流し、手出しさせなかった梅津美治郎関東軍総司令官のごとく、敵の挑発に乗らず静謐を保っています。かつ梅津大将は、ひとたび中国で反日行動が起これば、初動で全軍を挙げてこれを撃退する即応態勢をとっていました。いまの政府も同じで、普段は無用な動きをしない。
 ところが、いま領土問題を「解決せよ」と騒ぐ日本人がじつに多い。負ける戦争に突入した昭和初期の日本人も、「支那問題を解決せよ」といっていたわけです。いわば「問題を解決しなきゃいけない病」で、解決を図る拙速さが、より大きな問題を招くことを理解していない。インターネットで保守的な番組を流している某チャンネルの人が、船をチャーターして尖閣諸島の周辺へ行き、「守るぞ尖閣!」とオダを上げているのがまさにそう。
上念 その例、いま絶対に口にすると思った(笑)。
倉山 日本が実効支配する尖閣諸島においては、引き分けイコール「日本の勝ち」を意味することがわかっていない。加えて、仮に尖閣諸島沖で中国人民解放軍が武力攻撃を展開して、海上自衛隊や航空自衛隊を出動させたとしたら、それこそ日本側のパーフェクトゲームという、日本海海戦の再現になります。向こうもバカではないから、そのような無謀な真似はしないはずです。そうなれば日本にとって、最も都合のいいシナリオですからね。
 私が中国共産党の人間だったら、尖閣を奪うために次のような手順を踏むでしょう。まず日本の景気を悪化させて安倍内閣と自民党に対する支持率を劇的に下げ、次の総選挙で「自民党だけは嫌だ」という空気を醸成する。ポピュリストに金をやり、マスコミを味方に付けて総選挙で風を起こさせる。そして政権交代した瞬間から、外国人参政権など中国に好都合な政策を次々と発表し、最後は日本の首相に「尖閣は日本人だけのものではない」と語らせる。
上念 何か、強烈なデジャブ感がするんだけど。
倉山 どこで聞いたような話ですね。某民主党とか(笑)。
上念 某鳩山由紀夫元首相とか(笑)。
倉山 昔はよく「日本の国会こそ安全保障の最前線である」といいました。顧みて、中国が一度でも正々堂々とした戦いを行ったことがあるだろうか、と考えることでしょう。
上念 一八四〇年のアヘン戦争にしても、一カ月で正規軍が壊滅したあとからが勝負で、便衣兵(民間人に偽装した兵士)に次々と相手を襲わせていましたからね。
倉山 そう、二年間で二十三カ月ぐらい不正規軍が戦ってる、みたいな。」

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 水島総氏たちは、平成24年8月19日、尖閣諸島の魚釣島に上陸した(https://www.youtube.com/watch?v=fe1GnttsGdY)。
 これは良かったと思う。
 民主党政権は尖閣諸島を守る意思がなく、また、同月15日に香港活動家が同島に不法上陸しており、これに対抗する意味合いがあったと思う。
 つまり、「引き分け」の状態が破られようとしていたところ、水島氏たちは「引き分け」を維持するのに貢献したということである。

 さて、水産庁に抗議をすれば、尖閣諸島海域で自由に漁業を営むことができるようになるのだろうか。
 仮に水産庁に、頑張れ日本に自由に漁業をさせる意思があるとして、その通りにできるのだろうか。
 私は、石原慎太郎衆議院議員(次世代の党)の経験談が頭をよぎる。
 外務省が妨害するのだ。


石原慎太郎「新・堕落論 我欲と天罰」(新潮社、2011年)78,79ページ

尖閣を守れるのか

 そしてついに尖閣諸島で起こるべくして事が起こった。
 尖閣に関して私はかねてからこれらの島々に関する領有権の問題を強く明確に主張してかからぬと、近い将来必ず厄介なことになると主張してきました。
 その手立てとして、前にも記したがある企業に醵金させさらに青嵐会の仲間からも資金を調達して、関西の冒険部の大学生たちに頼み尖閣最大の魚釣島に上陸させ、ポールを立て上に電球を取り付けバッテリーに繋ぐ簡単な灯台を作らせたものです。ある日時化が来て、その明りを頼りに島陰で風待ちした漁船から翌日感謝され感動したという学生からの熱い報告もありました。現地の海上保安庁は最初は狼狽して退去を迫ってきたが、次第に協力的ともなりました。彼らとて同じ日本人だ。
 その後日本青年社が名乗り出て豊富な財源で立派な灯台を建設してくれ、私から運輸省の水路部に計って専門家を派遣させ正式な灯台としての不足部分を指摘させ、青年社もそれに応えて灯台は完成し、海図に正式に記載される段階となった。ところが日本の外務省から「時期尚早」という横槍が入り、新しい灯台は海図に登録されることがありませんでした。
 まだGPSが普及されぬ頃、暗礁の多いあの無人の島々に海図に記載されていない発光物が点滅しているのは逆に危険を招くことになるのです。しかし外務省はそれを無視して何に、誰に気兼ねしてか灯台を認めようとはしなかった。近年何をきっかけにか、周辺で密漁する中国の漁船の安全のためにでもあるまいが、最近ようやく日本人の手に成る灯台は日本国海上保安庁認可のプレイトを付して海図に正式に登録されはしましたが。」

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 外務省は日中間で利害が対立するとき、簡単に譲歩しがちだ。
 それでいて強大な権力を持っている。

 平成14年、来日したブッシュ大統領が靖国神社参拝を希望したが、波紋を恐れた日本側が断ったという報道があった(渡部昇一「渡部昇一、靖国を語る 日本が日本であるためのカギ」(PHP研究所、2014年)128ページ)。
 「日本側」の詳細がわからないが、外務省が無関係ではあるまい(https://www.facebook.com/koichiro.yoshida.jp/posts/198702800297264)。
 「波紋」とは、対中関係が主要であると考えられる。靖国参拝を問題視するのは、中国・韓国・北朝鮮くらいのものだ。

 私は安倍政権になって尖閣諸島海域での漁業活動の必要性は低下したような気はする。
 しかし、実効支配の証明をするのに越したことはない。何かの間違いで安倍政権が倒れ、親中派政権が成立してしまうということもあり得る。
 そもそも、自国の領海で漁業を営めないというのもおかしな話ではあると思う。
 なので、水島氏たちが尖閣諸島海域での漁業活動に熱心なのは分かるし、尖閣防衛に警鐘を鳴らすのは分かる。
 たとえ水産庁や海上保安庁の妨害で漁業活動ができなくても、ここにわが国の行政権が及んでいることの証明になり、実効支配の証明になっていると思う(魚が獲れなければ大赤字になるが)。
 とはいえ、「引き分け」でよいという基本から外れていないかは注意する必要があると思う。
 また、水産庁に抗議するのもよいが、尖閣諸島およびその海域の管理にも外務省が強い影響力を持っているとしたら、水産庁に抗議するだけでは何も進展しないのではなかろうか。

 と思って記事を書いていたら、チャンネル桜が外務省に電凸をしていた。
 APECでのいわゆる「日中合意文書」の件である。
 マスメディアの報道ではかかる文書があるということになっているが、外務省に問い合わせたところ、こんな文書は存在しないということである。
 「日中合意文書」なるものの実態は、日中両国の外務省が互いの意見を交換しただけの覚書きであり、両国代表者の署名も押印もなく、第三国の言語による訳文もないとのことである。
 つまり、何も合意していないということだ。それぞれが念のために覚書きをしただけで、文書すら作っていない。


「【スクープ!】「日中合意文書」は無かった!外務省電話取材報告[桜H26/11/15]」 YouTube2014年11月14日
https://www.youtube.com/watch?v=oo_UXEOcqgM



 チャンネル桜は「尖閣諸島」の文言を盛り込んだことを問題視しているが、判断に迷うところだと思う。
 私としては、外務省の説明は筋が通っているように思う。尖閣諸島の領有権の帰属については問題になっていない。
 問題なのは、文言そのものよりも、この覚書きを使って中国が尖閣諸島に領有権問題ありとする宣伝に対して、外務省はしっかりと反論しているのか、反論する用意があるのか、ということだと思う。

 ところで、既に10月から始まっていたらしいが、この頃、小笠原諸島および伊豆諸島周辺海域に大量の中国漁船団が出没し、サンゴの密漁が大々的に行われている。もはや密かな漁ではない。
 中国は便衣兵を使って侵略ないし戦争をする常習犯だ。
 この密漁は尖閣諸島侵略(沖縄県侵略)に通じていると考えてよい(http://www.sankei.com/column/news/141106/clm1411060001-n1.html)。
 この危険な状況の中、16日、沖縄県知事選挙で親中派の翁長雄志が当選してしまい、本当に残念である。沖縄県民は選択を誤ったと思う。
 ちなみに、尖閣諸島沖漁船衝突事件でも、衝突された海上保安庁の船の方が凹み、他方で中国漁船は装甲が分厚く擦り傷程度で済んでおり、工作船だったと見られる(石原同上81ページ)。そういえば、北朝鮮の工作船も、漁船に偽装していた(https://www.youtube.com/watch?v=3jKBotnUNDM)。偽装漁船は支那朝鮮の常套手段である。

 100隻もの漁船団を組まれると、海上保安庁にしても海上自衛隊にしても対処に困る。
 警備・防衛体制の強化が求められる。
 そのための費用が必要になる。
 そこで思い出されるべきが、財務省であり、木下康司前事務次官だと思う。


倉山満「増税と政局 暗闘50年史」(イースト・プレス、2014年)77~79ページ

「 この時期に増税の黒幕として動いていたのが、六月の人事で財務事務次官に昇格した木下康司です。
(中略)
 さて、増税の黒幕、木下財務事務次官はどういう人物か。
 以前からとにかく予算を削ることで”定評”がありました。とりわけ防衛費の削減に熱心で、主計官だった平成一六年度の予算では、前年度の防衛費の削減幅が三〇億円だったものを、一気に五〇〇億円減らしています。
 第二次安倍政権下の平成二五年度予算では、主計局長として防衛省が陸海空合わせて約一万八〇〇〇人の増員を求め、また防衛予算に約一二〇〇億円の上積みを求めましたが、増員は二八七人(純増二一七人)、予算上積みは四〇〇億円に削りました。
 そもそも防衛予算は平成一五年から減らされ続けていました。中国や北朝鮮など日本の安全の脅威は年々高まっているのに予算を減らされ続けた結果、必要な定員が足りず、訓練も十分にできない状態が続いていました。しかし、そんなことには関係なく削りに削ってきたわけです。
 こんなふうに防衛費を削る一方で、わずか数日間で約九兆円の国費をドブに捨てたことがあります。平成二三年一〇月三一日から一一月四日まで総額九兆九一六億円に上った為替介入のときのことで、木下次官は国際局長として直接かかわりました。
 当時は円高が進み、一ドル七五円台になっていました。そのために円売り介入を行ったということなのですが、日本が単独で為替介入しても効果がないことは、財務官僚ならば知らないはずがありません。なんの役にも立たないことを知りつつ、指示されるままに唯々諾々と九兆円以上もの国費をドブに捨てたことになります。気骨のある官僚ならありえないことです。
 実際、木下は陰の総理と呼ばれるほどだったエースの勝とは異なり、実力派の大物次官とみなされてはいませんでした。むしろ小心翼々としながらも愚直なまでに上司に仕え、評価を得て出世の階段を上っていくタイプの官僚と目されていました。
 しかし、木下はみずからが勝のような卓越した豪腕ではないからこそ「予定どおり」の増税に向けて最強の勢力を呼び込む手を打ちました。大蔵元老院への働きかけです。」

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 尖閣諸島を危険に晒している戦犯の一人が木下康司であることは確実だろう。
 防衛費を削りまくる財務省に大いに問題があることは疑いあるまい。中国が軍事費を増やすのを見ながら、わが国の国防費を減らすというのは正気ではない。
 財務省はわが国の経済に打撃を与える消費税増税を推進し、失われた15年を現出し、税収を減らし、さらに今も再増税を推進しているhttp://www.sankei.com/politics/news/141117/plt1411170054-n1.html)。財務省は日本経済衰退に奔走しており、狂っている。
 こいつらがきちんと予算配分をしていたら、サンゴ密漁への対処も違っていたかもしれない。尖閣防衛ももっと充実していたかもしれない。
 しかし、水島氏は、木下批判や財務省批判を避ける(https://www.youtube.com/watch?v=UzSF9UUt4bU)。
 尖閣防衛に熱心で、消費税増税にも反対するのなら、こいつらこそ強く批判すべきではなかろうか。

 そういえば、水島氏は昨年9月、安倍総理が消費税増税するか否かの結論を示す前から、増税派に負けても戦うみたいなことを言っていたけど(https://www.youtube.com/watch?v=YghIq7KfR5g)、結局、戦ったの?
 財務省に突撃せずに水産庁に突撃する光景しか思い出せないんだけど。
 あと、消費税増税を推進する有力国会議員である、麻生太郎(財務大臣)野田毅(自民党税制調査会会長)二階俊博(自民党国土強靱化総合調査会会長)とか、糾弾したのだろうか。