私はこの解説に疑問を持った。素直に納得できなかった。
一体どういう経路でチャイナマネーが入り込み、朝日新聞を存続させるのだろうか。
意外とこの解説に疑問を差し挟まずに真に受けている人が散見されるので、今回はこの話題を取り扱う。
これに示唆を与える内容が「歴史通 2014年11月号」に載っていたので紹介する。
渡部昇一、堤堯「天敵朝日新聞 我ら、かく戦えり」(歴史通2014年11月号、ワック)31,32ページ
「堤 (中略)朝日は一貫した戦略の下で仕掛けている。
終戦直後、ソ連は日本を共産主義の国家にするために、朝日新聞の買収を画策した。新聞社を乗っ取る、放送局を占拠する、というのはレーニンも言うとおり共産革命の第一歩ですからね。ところが占領軍の主体はアメリカだ。力ずくで乗っ取るわけにもいかない。だからダミーを使って株を買おうと画策した。ところが社主である村山家が頑として売らなかった。これは村山家に出入りした古手の社員から聞いた話です。
のちに中国も同様の手口で朝日の株を買おうとした。さらに朝日が田中角栄を叩きに叩いたとき、角栄の「刎頸の友」小佐野賢治が株を買い取ろうとした。いずれの場合も村山家がハネつけた。新聞社とか出版社というのは社主がいたほうがいいんだな。ヘタに民主主義的な会社になると、「意思決定のゴミ箱モデル」で、愚論が大勢を占めることもあるから、ボヤボヤしていると会社を乗っ取られかねない。過半数の株を奪われるということは会社が乗っ取られることだ。だから村山家が居て良かったんですよ。
ところが、それを朝日社内の左翼勢力が崩しにかかる。「資本と経営の分離」を旗印に、労組が主体になって作ったのが株式受託委員会とやらで、社員やOBの株集めに必死になった。一万株を預けた奴を部長にするとか、ポストをエサに掻き集める。朝日は親子二代の社員が多い。子供の出世を願ってOBも株を預ける。さらには村山家の分断を図った。それもこれも社主の村山藤子(本名・於藤)への対抗手段。いわゆる「朝日騒動」という奴です。「於藤さん」が死んで、社主家の影響力が薄れてからですよ、朝日がますますひどくなってきたのは。」
歴史通2014年11月号/ワック
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「堤 (中略)朝日は一貫した戦略の下で仕掛けている。
終戦直後、ソ連は日本を共産主義の国家にするために、朝日新聞の買収を画策した。新聞社を乗っ取る、放送局を占拠する、というのはレーニンも言うとおり共産革命の第一歩ですからね。ところが占領軍の主体はアメリカだ。力ずくで乗っ取るわけにもいかない。だからダミーを使って株を買おうと画策した。ところが社主である村山家が頑として売らなかった。これは村山家に出入りした古手の社員から聞いた話です。
のちに中国も同様の手口で朝日の株を買おうとした。さらに朝日が田中角栄を叩きに叩いたとき、角栄の「刎頸の友」小佐野賢治が株を買い取ろうとした。いずれの場合も村山家がハネつけた。新聞社とか出版社というのは社主がいたほうがいいんだな。ヘタに民主主義的な会社になると、「意思決定のゴミ箱モデル」で、愚論が大勢を占めることもあるから、ボヤボヤしていると会社を乗っ取られかねない。過半数の株を奪われるということは会社が乗っ取られることだ。だから村山家が居て良かったんですよ。
ところが、それを朝日社内の左翼勢力が崩しにかかる。「資本と経営の分離」を旗印に、労組が主体になって作ったのが株式受託委員会とやらで、社員やOBの株集めに必死になった。一万株を預けた奴を部長にするとか、ポストをエサに掻き集める。朝日は親子二代の社員が多い。子供の出世を願ってOBも株を預ける。さらには村山家の分断を図った。それもこれも社主の村山藤子(本名・於藤)への対抗手段。いわゆる「朝日騒動」という奴です。「於藤さん」が死んで、社主家の影響力が薄れてからですよ、朝日がますますひどくなってきたのは。」
村山藤子氏が亡くなったのは平成元年(西暦1989年)だ。
確かにこの頃から、従軍慰安婦強制連行のデマ報道が勢いを増してきた。
朝日新聞が従軍慰安婦強制連行の証拠が見つかったとして、「慰安所 軍関与示す資料」という記事を発表したのは、平成4年(西暦1992年)1月11日の朝刊1面だった。
朝日新聞が証拠としていたのは、「軍慰安所従業婦等募集に関する件」という昭和13年(西暦1938年)3月4日付にて陸軍省から派遣軍へ出された通牒だったが、これは、慰安婦を斡旋する業者の中には悪徳業者もいるので取り締まる必要があるという趣旨のものだった。
いわば、朝日新聞は、強制連行とは真逆の内容の文書を、強制連行の証拠だという捏造報道をしたのだ(松木國俊「ほんとうは、「日韓併合」が韓国を救った!」(ワック、2011年)184~187ページ)。
堤先生によれば、「労組が主体になって作ったのが株式受託委員会とやらで、社員やOBの株集めに必死になった」とのことなので、株式の保有比率を見てみる。
なんと、朝日新聞社従業員持株会が平成25年3月31日時点で17.75%を保有し、保有比率1位である(http://goo.gl/ywhxZ)。平成20年時点では12.76%で3位だったが(http://kingendaikeizu.net/sougyou/murayama.htm)、じわじわと比率を上げ、1位になっている。
テレビ朝日が保有比率11.88%なのは相変わらずだが、2位になっている。平成20年時点では4位だった。
いつの間にか朝日新聞社の株主構成に大きな変化がある。
社主家である村山家は、村山美知子氏が11.02%、村山恭平が5.00%、村山富美子が3.57%、おそらく村山家に含めてよい財団法人香雪美術館が10.00%で、合計29.59%である。平成20年時点で美知子氏は14.61%を保有していたが、減りが目立つ(当時の合計は33.15%)。
同じく社主家である上野家は、上野尚一氏が11.02%、上野克二氏が2.44%である。ウィキペディアには上野信三氏の保有比率が出ていないが、10位の朝日放送が保有する2.31%よりも少ない比率なのだろう。平成20年と比較すると、克二氏は1.1%増えたものの、尚一氏は1.8%減り、信三氏は少なくとも1.03%減っている。
社主家両家の支配力が年々落ちていることがわかる。
「村山家の分断を図った」というのは、昭和38年のクーデターのことを指すと思われる。それまでは社主家両家が支配力を握っていたが、その後、上野家と従業員・OB株主らが支配力を握ることになったという話がある(http://blogs.yahoo.co.jp/oyosyoka803/39084046.html)。裏を返せば、村山家以外が支配力を握り、同家の支配力はなくなったということだと思われる。この構図は今も続いているらしい。
従業員・OB株主らは、親中派だと見てよいだろう。
他方、中国からの買収の申込みを断った村山藤子氏はこの世になく、また、村山家はとっくの昔に支配力を失っている。
とすれば、朝日新聞社は既にチャイナマネーに乗っ取られたに等しい状態になっていると言えよう。
現に、朝日新聞は中国共産党の機関紙である人民日報と歩調を合わせるかのような論調になっている。むしろ、靖国問題を思い返すに、朝日新聞が人民日報の砕氷船となっている感すらある(中国が内閣総理大臣の靖国参拝を批判するようになったのは、朝日新聞が反靖国キャンペーンを張った昭和60年から。http://kazuyahkd.com/archives/438)。
これから先、朝日新聞社が倒産しそうになったとして、青山先生が指摘するように、どのようにしてチャイナマネーが同社に入り込み、倒産を回避させるのだろうか。
ここらへんの方法論がよくわからないが、新株でも発行するのだろうか。
中国資本が直接に株式を取得するとあからさまなので、ダミーを使うのだろう。朝日新聞社従業員持株会に資金援助すれば済む話かもしれない。
社債を発行して中国資本(またはそのダミー)が買う?
それにしても、チャイナマネーなど気にする意味はあるのだろうか。
朝日新聞は既に人民日報日本版のような反日工作ビラである(ちなみに、ソ連共産党の対日工作員イワン・コワレンコによれば、朝日新聞はソ連共産党の機関紙「プラウダ」と提携関係を結んでいた。上念司「歴史から考える 日本の危機管理は、ここが甘い 「まさか」というシナリオ」(光文社、2012年)151~154ページ)。チャイナマネーが入り込むことによって論調が中国寄りになることを気にする必要などない。問題があるとすれば、朝日新聞社が反日工作をしてきたことを反省して再生する可能性がゼロになることだが、既に反省・再生の可能性はゼロに等しい。それは最近の朝日新聞社の反省せずに居直った態度を見れば明らかである(八木秀次「早くも居直ったか!謝罪から1カ月で驚愕記事が続々」(正論2014年12月号、産経新聞出版)154~159ページ、上念司、倉山満「説教ストロガノフ 「日本の敵」を叩きのめす!」(PHP研究所、2014年)227ページ以下、https://www.youtube.com/watch?v=Hl9qUnzR4xQ)。
また、チャイナマネーが入り込むことによって、日本国民が朝日新聞をたくさん買うようになり、朝日新聞の販売部数が回復するのなら問題ではあるが、こんなことはあり得ない。チャイナマネーが入り込んで、朝日新聞の記事がすばらしく良くなり、国民の信頼を回復し、部数を伸ばすなど、到底考えられない。むしろ、チャイナマネーが入り込んで一息ついたとしても、かえって記事が悪化し、国民の信頼はますます低下し、部数も減り、結局、廃刊なり倒産なりをより確かにするのではなかろうか。そして、配当も出なくなり、朝日新聞社株は紙くずになり、中国の投資家が損をする。朝日新聞社は、新聞の販売部数が年に5%減ると経営難に陥る(上念司「そうだったのか!朝日新聞 財務諸表徹底分析」(WiLL2014年12月号、ワック)46~54ページ)。チャイナマネーもろとも朝日新聞を叩き潰してしまえばよいだけの話だ。
チャイナマネーが入り込むおそれがあるから朝日新聞を延命させるという青山先生の論は、その場の思いつきで奇を衒っただけのように思える。杞憂に過ぎず、中身がある気がしない。「まっすぐ真ん中」ではなく、重箱の隅をつついている感がある。
我々は朝日新聞を容赦なく糾弾し、廃刊に追い込めばよい。葬式を出してやればよい。
下手に朝日新聞を延命させれば、日本国民は朝日新聞を問題視していないと、諸外国に誤解を与えかねないだろう。そうなれば、朝日新聞発で世界中に撒き散らされた反日歴史捏造を払拭するのが難しくなる。
青山先生の言うようにチャイナマネー云々を気にして糾弾を緩める方が問題であり、この青山発言は有害だとさえ思う。
保守派を自認する方々は、青山先生を信頼しがちだが、鵜呑みにするのはいけない(本ブログ関連記事としてhttp://ameblo.jp/bj24649/entry-11829134681.html。倉山満「増税と政局 暗闘50年史」(イースト・プレス、2014年)124~133ページ参照)。
ところで、村山藤子氏に対してクーデターを起こした主犯は、河野一郎と三浦甲子二らしい(http://blogs.yahoo.co.jp/oyosyoka803/39098095.html)。
河野一郎と言えば、河野談話を出した河野洋平の父親である。
河野洋平は朝日新聞の社説を愛読し(http://youtu.be/cdsWyxKXRDM?t=10m10s)、そして官房長官の時に従軍慰安婦強制連行を認める発言をした。
なんとなく”つながった”気がするのは、私だけだろうか(安易につなげてはいけないが)。
朝日新聞批判の論考が載った雑誌は山のように出ていて、一応いくつか買ってはいるが、朝日新聞社の経営権の歴史についての論考はほとんどない。
廃刊だの再生だのチャイナマネーだのを論じるには、一度これを紐解くのが有益ではなかろうか。
◆ 朝日新聞を糾す国民会議
http://www.asahi-tadasukai.jp/