張浩然の『日常の中の社会心理学』(日本人の苗字) | ビズエイジア講師のブログ

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日本語を勉強しはじめた頃、
教科書に出てきた日本人の苗字は大体、
「田中」「鈴木」「高橋」「佐藤」「加藤」
というぐらいでした。
「日本には10万ぐらいの苗字があるというが、
本当にそうなのかなぁ」と、
思うことがありました。

でも、
日本に来て、
日本人の苗字の複雑さにびっくりしました。
まず、
地名と同じ苗字があることです。
例えば、東京の周辺には「千葉」「神奈川」という県がありますが、
同時に「千葉」か「神奈川」を苗字とする方がいるようです。
対して、
中国人の苗字はほとんど1文字なので、
地名と苗字が同じ、ということがありえません。

次に、日本人の苗字の多さにびっくりしました。
確かに「鈴木」や「田中」、「高橋」
という苗字の方が多いようですが、
全人口に占める割合から見れば
中国人の「張」「王」「李」「趙」に及ばないですね。

そして、日本には面白い苗字がたくさんあります。
ネットで調べてみると、
「東西南北(よもひろ)」や「大豆生田(おおまみゅうだ)」、
「春夏秋冬(ひととせ)」といった苗字があることがわかりました。
最近、「鈴木獅子」という名前の男の子がいるそうで、
名前の読み方はなんと…
「すずきライオン」です…
これらは、
日本人でさえ多分読めない名前だろうと思います。

最後、
日本人の苗字の読み方も複雑ですよね。
同じ発音でも違う漢字で書いたり、同じ漢字でも違う発音で読んだり
することがよく起こります。
例えば、
「田北」という苗字は「たきた」とも読めるし、
「たほく」とも読めます。
「はしもと」という発音は「橋元」とも書けるし、
「橋本」または「橋下」とも書けます。
だから日本人は初対面の場合、
名刺を交換した後で、
相手の名前を必ず確認するという習慣があることが、
理解できます。

苗字はただ個人のことだけではなく、
国の文化とも言えるでしょう。
日本人の苗字はなぜこんなに多様なのか、
いろいろ考えました。

まず、漢字は中国から伝来されたものだから、
和語を語源とする苗字にあえてつけると、
必ずある程度の乖離が生じて、バラエティに富んでいます。

また、庶民たちは明治維新初期、
はじめて苗字を権利が与えられたが、
教育は今ほど高いとは言えないので、
彼らはいろいろ悩んだ末、
あえて家の近くにあるものや職業、誕生日を
苗字とすることが多いようです。

このように、
中国人でも、日本人でも、
みんな自国の文化を反映する苗字を持っていると思います。
相手国の言語を勉強する同時に、
相手国の人たちの苗字についての知識をある程度身につければ、
言語の勉強だけでなく、
その国の人とよりコミュニケーションができたり、
文化と社会がより理解できたりすることにもなるでしょう。
そして、非常に面白いですよね。