占領下日本の教訓 | 新書野郎

占領下日本の教訓

占領下日本の教訓 (朝日新書)占領下日本の教訓 (朝日新書)

朝日新聞出版 2009-08-07
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この著者も毎年、終戦商戦新書に顔を出す常連だが、最近は「東京大空襲」と「真珠湾」にも合わせてか年3回ぐらい出してるんじゃないかな。ネタは膨大な蓄積があるから尽きる事はないんだろうけど、半藤一利とは9つしか変わらないのか。もっとも、この時期に9年違うのは同世代とは言えないのだろうが、それでも「敗戦」の記憶を懸命に繋いでる。両親の逸話などはネタっぽい感じもするが、それも「メタフィクション」としては有効である。天皇巡幸の話などは小熊英二の本に挑戦する時期を逸した身には助かる。アメリカ人記者が天皇と握手して記念撮影したがる者が続出して、その不満がGHQに伝えられたとのことだが、最近、論議を呼んだオバマのお辞儀写真などはマッカーサーと昭和天皇の衝撃ツーショットを覚えている者には感慨深いことであろう。オバマのお辞儀の角度からみて、無意識に出たとは到底感じられないのだが、誰か智恵を付けた者がいるのだろう。一方、小沢訪中団の胡錦濤ツーショット順番待ちのあの情けなさを見よ。連中は全身マッサージにも行ったみたいだが、幾ら自費だからといって、アメリカ人が戦後進歩したのに、日本人は退歩したとしか思えん。習近平のルール破りもさることながら、習のお辞儀写真は出ないだろう。反日デモの時、外務省に呼ばれた王毅のお辞儀に見える様な写真が中国で猛烈なバッシングにあったのだが、今回はオバマとの対比を中国はどう考えているかだ。中国がルール破りに動いたのも民主党が智恵を付けたというより、オバマの件があったからではなかろうか。中国の国内的には日本が米国ではなく、中国の属国である事をアピールするチャンスとみたのだろうが、日本国内の思わぬ反撃にあって苦慮しているのかもしれない。とりあえずチャイナスクールにはお説教だろう。本題に戻るが、著者の「記憶」にはアメリカを正義とする教育が鮮明に残っているらしいが、その点を教える側だった槙枝元文に確認したことがあったという。槙枝は戦前は軍国主義教育をやって、戦後はアメリカが正義とする教育が理想だと思ったのだという。腐っても朝日の本なので、その辺の節操のなさを批判するだけで終わっているが、この部分は読者は槙枝が更に性懲りもなく左旋回し、更には皇国史観の朝鮮バージョンであるチュチェ思想に取り込まれるという甚だしき無節操ぶりが容易に想起できるだろう。教師としての反省は墓場にまで持って行くつもりらしいが、他にも政治的な団体に入り、その「信念」から「侵略体験」を話す者がが少なからず存在するなどとするなど、朝日コード抵触スレスレの批判が結構ある。結局,日本は占領下の教訓を生かしていないどころか、他国への隷属という「逆コース」を歩んでいるんじゃないかな。
★★★