世界一ぜいたくな子育て  | 新書野郎

世界一ぜいたくな子育て 




長坂 道子
世界一ぜいたくな子育て 欲張り世代の各国「母親」事情
副題に「欲張り世代の各国母親事情」とある。著者は在スイスのエッセイストということだが、日本では「ヴァンサンカン」の編集をしていたらしい。この出産、育児というテーマは、男性が関与すべきという議論が延々と続いている状況である一方、「母性」という殻に収まる部分では男性を排除した論議もあるので、複雑なところなのだが、前者が「先進性」の名の下に「ヨーロッパ」をお手本としたフェミニスト的議論だとすると、後者は「伝統」の名の下に「アジア」を代表とする文化人類学的議論ということになるのだろうか。男女平等を金科玉条とする人たちにとって、「出産」という不平等は避けられない以上、「育児」で取り返すべきというのは自然な事かと思うが、このヨーロッパ各国の事情を見てみても、どうもそう一筋縄ではいかない様だ。そのひとつに「授乳」という問題があるが、母乳か粉ミルクかということが、かくも重大な論議に発展したのも、そうした不平等性と関係があるらしい、母乳を雌牛的と拒否する文化があるとは大きな発見だったが、その一方で母乳信仰も大きな影響力を保っているらしい。おそらく話題になった「オニババ化する女たち」の関連で企画されたものかと思うが、「オニババ」にしてもこの本にしても、男性と女性では全く受け止め方が違うものになるのであろう。
★★