スペイン巡礼史 | 新書野郎

スペイン巡礼史

関 哲行
スペイン巡礼史―「地の果ての聖地」を辿る
タイトル通りの新書だが、元々この方面の知識は全くないので、勉強になったというほど、理解した訳ではない。サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼に関しては、日本でもかなり知られているのだが、それが四国お遍路と通じるものがあるからというのはどうか。単にヨーロッパ好きの人たちが、ヨーロッパ人が崇拝する聖なる行為という対象に興味を抱いているだけの様な気もする。そこがメッカやカイラスでなくてサンティアゴ・デ・コンポステーラというところに意味があるのであろう。たしかに長年非宗教をやっていると、精神的な歪みが生じてくるのは事実だ。しかし、宗教的な人でも日々、心が満たされている訳ではなかろう。もし満たされているというならそれはそれで怖い。マルクス主義の発生地と現存地を考えると、それが伝統的宗教が力を失った時の、代替宗教であることが分かる。宗教がアヘンならマルクス主義はLSDだ。とりあえず、このまま無宗教でいられるよう神に祈りたい。