以前、テイストを揃えるというお話をしましたが今日はその続きです。



通常、部屋ごとにテイストを変えていくのが一番いい方法なのですが、お金に余裕がある人は、家ごとにテイストを変えていくという人もいる・・・ということを思い出しました。



仲良くしているフランス料理の老舗・箱根のオーベルジュ・オーミラドーの勝又登シェフがまさにそれ。


http://www.mirador.co.jp/



仕事場にしている日本初のオーベルジュスタイルのレストラン、オーミラドーのインテリアは本場フランス仕込のクラッシックテイスト。



自分の家のようにくつろいでもらいたいというシェフの考えから、どっしりとした猫足系の家具に花柄プリントの壁紙、重厚なカーテンに至るまで、フランスの良家をイメージして作られています。



一方、自宅兼料理スタジオはモダンなコンクリートの打ちっぱなし。バリから直輸入したインテリアや李朝家具が並べられています。



猫足クラッシックとコンクリートの打ちっぱなし。



一見するとまったく別のテイストなのですが、シェフの頭の中では、同じように美しいものとして捉えているようです。。



シェフは「時代や文化を超えて美しいものは美しい」と口癖のように語っています。



料理の世界もフランス料理だけ、日本料理だけが美味しいということはないように、インテリアにしても、それぞれの文化が育んできた個別の美しさがあります。



だから、あえてシェフは建物ごとにテーマを変え、テイストを混ぜることなく、その美しさを堪能していきたいとも話していました。




そしてもう一人、アメリカに尊敬しているインテリア関係の仕事をしている女社長さんがいるのですが、彼女も違ったインテリアテイストの家を全米数ヶ所に所有しています。



一つの家はクラッシック、もう一つはZEN、海辺のリゾートはコロニアル風・・・。



それぞれの土地や風土にあわせ、違ったテイストを楽しみたいというのが彼女の考え方。



インテリアのプロでさえ、いくつかのテイストを魅力的だと感じ、違った場所で表現している・・・・


こんな風に考えていくと私たち人間にとって一つのテイストに絞ることがどんなに難しいか、あらためて感じます。


人間にとってテイストの浮気はつきもの。


そう割り切って、家や部屋で少しづつ趣向を変えながら、その浮気心を楽しんでいく・・そのくらいの余裕があってもいいのかもしれませんね。