ピストにはフリーを付けてはいけない!!!
さて、今日のブログ記事はとある衝撃的な研究成果を発表する場となる。
そう、我が連邦が誇る秘密組織、連邦自転車研究所…通称名FBI(Federal Bicycle Institute of Research)では、21世紀型環境保全ビークルであるところの“自転車”に関する研究が日夜行われているのだが、つい先ほど、私のもとへ衝撃的とも思える研究結果レポートが届いた。
もちろん、これは基本的に連邦機密となるので全文をこのブログで公開するわけにはいかないが、研究所長B夫氏の特別許可のもと、その一部抜粋をここで発表できる運びとなった。
というのは、このレポートはこのブログに訪れていただいている方々および全国の“物欲党員”の方々が、今後の投資行動を行うときに是非参考にしていただきたいほどの非常に重要な内容を含んでいるからだ。
この事実を知らずして、21世紀型環境保全ビークルへの投資および運用を行うのはリスクが高すぎる…そう考えたからこその“特別開示許可”だ…ということだけ、ここで申し添えておこう。
あまり前置きが長くなってしまっては、肝心の内容をここに記載する時間がなくなってしまう。
早速、その“衝撃の真実”を見て行くこととしよう。
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今回の研究対象となったのは、“ピスト”と呼ばれる、“固定ギア”付きの自転車だ。
世に言われるところの“シングルスピードバイク”に関してなのだが、まず、“ピスト”とはどういうものなのかを知らない人のためにここで1台例を挙げておく。
たとえば、以下の自転車がピストバイクだ。
ちなみにこれはキャノンデールのカポというモデルだ。よ~く見てもらえるとわかるが変速機(ディレイラー)がついていない。だからギア比は完全固定となる。
つまり、走り始めてから家に帰ってくるまで一度も、そう一度も変速することが許されない…という非常に過酷な状況での運転を余儀なくされるタイプの自転車だ。平地だろうが坂道だろうが変速は一切不可能…ということになる。
だから、人によっては、「あぁ、これはMの人の専用車だなぁ~」と思うかもしれないが、その認識は実はちょっと違う。本当は“M度数”がより高いのは変速機が付いている自転車にお乗りのあなた…かもしれないのだ。(そう思う理由は後で説明する。)
いや、ちょっと話が逸れそうになってしまった。MだとかSだとかという話ではないのだ。純粋に“科学的”なお話なのだ、今回のレポートは…。
で、今回の研究のきっかけになったのは、2名の名人ピスト乗りの方のコメントだ。
T氏「ピストっていうのはですねぇ…、上り坂は意外となんとかなるもんなんですよ。それより怖いのは下りの方ですねぇ…」
C氏「風が強くてもピストなら走れます。ピストは向かい風には強いんです!」
この2つの証言が真実とすると、ピストは実は“Mタイプ向け”ではない…ということになる。思ったよりもラクに走れるようなのだ、状況によっては…。
おかしい…シングルギアしか使えないはずなのに、何故か坂が意外に登れるという…。
シングルギアしかないはずなのに、何故か向かい風の中でもよりラクに走れるという…。
これは一体、ど、ど、どういうことだ????
こんなこともあった。
先日の川崎競輪場での走行の際、参加した4名は入場通路の中を自転車に乗ったまま走った。ここには一部かなりの傾斜がある。距離で言うとたったの数メートルだが斜度はおそらく20%程度はあるだろう。
先行した2台のピストは重いギアのままなんてことなくその坂を“あっさり”と登った。で、その2台に後続する普通のロードバイク2台は実はその“超短い激坂”をあっさりとは登れなかった(!)当然ギアをシフトダウンして、50T×23T程度にまで落とし“よいしょっ!”という感じで登ったのだ。
もちろん先行した2台のピストのギア比は“山岳仕様”などではない。1台は50T×16T、もう1台は48T×17Tだから、普通のロードバイクの感覚で言うと全く坂道などは“登るべきでない”ギア比なのだ。だが彼らは“あっさりと”その坂を登った。
これは一体全体どういうことだ??? おかしいゾ! 何か秘密があるに違いない!?
そもそも、競輪などのトラックレースがピストバイクを使うというのもちょっと解せない。効率良くスピードを上げてライバルをぶっちぎりたいなら変速機付きの自転車(=いわゆるノーマルなロードバイク)で走った方が良いのではないのか……?そう思う人がいても不思議はない。
しかし、実際にはトラック競技に使われる自転車はほとんどがフリーなしのシングルスピード、つまりピストバイクだ。
つまりここである仮説が登場するのだ。
ピストバイクには何か秘密があるに違いない! 何かとんでもないメリットがあるに違いない! 我々の知らないある種の“超”動力メカニズムがあるに違いない!!!
そういった仮説のもとFBIでは連日、夜を徹しての研究が行われたというわけだ。
(さぁどんどん記事が長くなってきたゾ! 今日中に書ききれるか!?)
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で、長くなりそうなので、結論を先に書く。
ひと言で言うとこういうことになる。FBIでの研究の結果判明した衝撃の真実だ!
ピストはお釣りがもらえる!
おわかりだろうか…? 別の表現をするとこういうことになる。
ピストには利息が付く!
さっぱりわけわからないじゃないか…という人のためにゆっくりと説明する。
つまりはこういうことだ。
普通の変速機付きロードバイクには“フリー”と呼ばれるパーツが付いている。
これがあるから、後ろ方向にペダルを空転させることができる。これがあるから下り坂では足を止めることができる。まさにとても便利なパーツだ。
だが、実はこのパーツがもたらすメリットは“利息を受け取らない”ことで成立している……というなんとも皮肉なパーツでもあるのだ。
つまり、本来は受け取れるはずの利息をこのフリーが“受け取り拒否”していることになるのだ。
もっと簡単に書くとこういうことだ。自転車が動くときのメカニズムを順番に示す。
1.ペダルを漕ぐ→2.タイヤが回る→3.自転車が前進する→4.慣性力が付く→5.慣性力がタイヤを通してペダルに戻って来る→6.ペダルが足を押す→7.最初に戻る
このシーケンスは実はフリーなしのピスト車のものだ。この中の5番と6番が“利息”あるいは“お釣り”の部分になる。
ペダリングという“投資”によって得られる“スピード”というのは本来“当然の権利として”受け取れるもの。つまりは“元本”の部分に相当する。
だが、実際には資産を運用すると普通は“利息”が付く。(損益が出るとしたらそれはあなたの自転車が整備不良だからに違いない…ショップへ持ち込むべきだ、きっと。)
そして嬉しいことに、実際に利息が付くのだ。利率は結構高い…ハズ。
あなたの投資が生んだ“スピード”は今度はタイヤを回そうとする。そしてそのタイヤはペダルを回そうとする。(若干の手数料は取られるかもしれないが…)
そしてペダルを前方に押す力として、あなたはその“利息”を遂に受け取ることができるのだ。
だから次に投資(ペダリング)するときには、【あなたのペダリング力】プラス【戻って来た利息】という二重の力でペダルを押すことができる!ということになる。
そうかぁ!これがピスト車の秘密だったというわけなのか!!!
フリー付きのロードバイクではペダリングする力は純粋にあなたの力だけだったのに、フリーなしのピスト車ではそこにプラスアルファの力が加わる(!)というわけだ!
だから坂道も意外に登れるし、向かい風の中でも進む力が大きい…ということになるのだ!
そうかぁ…フリーは“足を休められる”というメリットを得るかわりに“プラスアルファの力”を失っていたわけかぁ…。
シングルギア化する最大のメリットは、むしろフリーなしにすることによって“利息”を受け取れる…というところにある…可能性が高い。
ということは、ピスト車なのにフリーを付けるという一部の街乗り系ピストは、“最も過酷な状況”を自ら選んでいるということになる…。M度数が相当に高い選択肢だ。
それは、たとえて言うなら、せっかくバーガーキングのワッパーを注文したのに、中のハンバーグをまるごと抜いてしまうようなもの…。あるいはチャーシュー麺を頼んだのにチャーシューだけを隣の人に全部あげてしまう…のに等しいということになる。
だから最終的に、今日のブログのタイトル、ピストにはフリーを付けてはいけない!という結論が導き出される…というわけだ。(もちろん、苦しみこそが生きる糧…と思う方には、ピストにフリーを付けるというのは悪い選択肢ではない。それで幸せになれるのだったら、誰にもそれを止める権利などないのだから…)
で、新たな発見をベースにした、M度数基準表を付録として載せるので、今後の生き方の参考にして欲しい。
★付録: M度数基準表(※比較的平坦なルートを短時間走った場合)
【M度数最小】A. フリーなし固定ギア車体(本格派ピスト)
【M度数中】B. 普通のフリー付き変速機付きロードバイク
【M度数最大】C. フリー付きのシングルスピードバイク(なんちゃってピスト)
もちろん、これが長い距離になると状況は変わって来る。フリー付きの自転車は足を休めることができるから、距離が長くなるとAとBのM度数は逆転することだろう。
もちろん山岳コースでは変速できないことは致命的となるので、やはりツール・ド・フランスで固定車体を使う…というのはあり得ない…ということになる。
だが、ピスト車には“利息”というメリットがあったのだ!このメリットがあれば速度維持は楽になるほずだ。だからトラック競技場などの“限定された”状況においては固定ギアを使うのが最も効率が良い…ということになるわけだ。
まさに大発見! FBIのお手柄だ!
(この研究レポートを受けて、私はさらにピストが欲しくなってきたゾ!!!)
(なーんだ、こんなことか…もう知ってたワイ……という方には申し訳ない! だが少なくとも世田谷B地区の一部においてはこれは今年度最大級の大発見であったのだ!!!)
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大げさな研究発表失礼しました!
FBIの研究活動はまだまだ続く。
次回は「ポジション改良プロジェクトさらに…」の予定!
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