あぁ峠の女神様…【ロードバイク走行会 最終回】 | 自転車で糖尿病を克服した!

あぁ峠の女神様…【ロードバイク走行会 最終回】

ピナレロ・アングリル、現在のポジション
これが現在のピナレロ君(Pinarello Angliru 07)のセッティング。実際問題、サドルの高さや、前後位置、ハンドルの高さなどは、かなりちょこちょこと変えてきた。その結果としての現在のベストポジションがコレ。(ちなみにフレームサイズは54。トップチューブ長が芯~芯で550mm、ステム長が110mm。)


特に、前回のブログ記事で書いたように、長距離ライドでの腰痛の問題が発覚してからは、ハンドルの位置を一旦上に上げて、多少ラクなポジションを目指した。(ステムをひっくり返した。あのなんちゃって山岳「ゾンコラン峠」での写真 などはまだステムが上を向いているときのもの。)


その後、腰の慣れ具合を見て段々とハンドルを下げ、一応現在の位置(購入時と同じ)に落ち着いた。

また、サドルの位置も結構試行錯誤した。


1年前は写真のサドル位置よりも約2cm(ミリではない。センチだ)ほどサドルは上にあった!!!

最初はどうやらサドルを高くし過ぎていたようで、現在の位置の方が余裕を持ってペダルを回転させられる感じがする。また、現在の方がより“後ろ乗り”になっている。


だが、ピナレロ君の至高のポジション探求プロジェクトはまだまだ終わった訳ではない。


次はハンドルがターゲットだ。B夫の肩幅から考えて、現在のハンドル(外~外で42cm、芯~芯で40cm)というのはちょっと幅がせまい。(サイクルモードの試乗でわかったのだ。もっと幅が広い方が良いのかも…ということが)なので近いうちに44cmのハンドルに変更してみる予定!


教訓その1: ラクチンでないと速くなど走れないのだ!


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B夫がはじめて参加したロードバイク走行会も最後の山場に差し掛かる。


大垂水峠でのB夫の苦闘はまだまだ続いていた。坂道はまだまだ登っている。


腰痛のせいで…そう、腰痛のせいでこれ以上速く走ることができない!


B夫はそう叫びたかったが、それは真実とは微妙に食い違う。


いや、いくら何を叫んだところで、この状況を改善することなどできない。B夫はとにもかくにも、ここでは我慢して登り続けるしかなかった。


腰が痛いのは確かにB夫をスローダウンさせている要素のひとつではあったが、明らかにそれが唯一の理由ではない。


体重だ…脚力だ…などといろいろな理由は挙げられるが、ここでの一番の理由は疲労だろう。


この日の走行距離はもう100km近い。まだロードバイクが来てからもう5ヵ月も乗り込んでいるとはいえ、言い換えれば、まだたったの5ヵ月だ。そこそこの距離を走ってきてはいるが、1日のロングライドはそれほど多く経験している訳ではない。


しかも、今回の走行会の場合、成り行き上、「絶対にちぎられるものか!」という気合い、いや力みがあったせいで、前半に比較的多く足を使ってしまっている。


その結果としての筋肉疲労が明らかにB夫のパフォーマンスに悪い影響を与えていた。


そう、足に力が入らないのだ。前半のような調子が出ないのだ。


しかも腰が痛いと来ている。


さきほどまでの“うすら笑い”など浮かべている余裕はもちろんない。うつむき加減で必死に歯を食いしばり、なんとかペダルを回している…という状況だった。


スピードはもちろん上がらない。だんだんジョギング並みの速度に近付いてきた。


B夫の横を、フルカーボンフレームを持つTIMEのロードバイクが颯爽と追い越して行く。TIMEに後続するコルナゴも、やはり高いケイデンスを維持しながらB夫の右横を通り過ぎ、先へと向かう。もちろんB夫のことなど気にも留めない。(後半はバラバラにスタートを切るため集団は相当前後に長くなっていたのだ。B夫は比較的早めにスタートしたので前の方にいたのだが…。)


基本的にロードバイク走行会は、少なくとも峠の登りに関しては集団で走るという概念がない。


というのは登りの能力はもちろん人により大きな開きがある。スピードの速い人からしたら、遅い人に合わせるというのはむしろ辛いことだ。だから平地と違い、峠のスピードは各自バラバラになる。


遅い人のことなど誰も気にかけない。あくまで自分との勝負……それがロードバイク走行会の“峠での掟であるようだった。


他の参加メンバーたちは、といえば、もちろん峠を得意としないサイクリストもいるので、まだB夫は最後尾に落ちてしまった訳ではなかったが、普通のペースで登り続ける常連ベテランメンバーからしたら、B夫は容易にパスできるちょっと大きめの障害物でしかなかった。


クロモリフレームのロードバイクがダンシングの姿勢でB夫を抜いていく。その後方からもロードバイクのチェーンの音が聞こえる。


もう何台に抜かされただろうか…。


どうやらB夫はだんだんと最後尾に近付いていることは明らかなようだった。


腰の痛みはそのままだ。ときおりダンシングしたり、姿勢を変えたりしてみるが、一向に改善の気配がない。


B夫の前方にはやはり遅めのロードバイクが一台、上半身を揺らしながらもがいている。速度はそれほどB夫と変わらない。この峠では数少ないB夫と同レベルのサイクリスト(=B夫の“仲間”)なのかもしれない。微妙に親近感を感じたB夫はなんとか彼を目標にペダルを回す。


B夫の後ろにも“カメ組”らしきサイクリストが1人いる。振り返って表情を確認する訳にはいかないが、ずっとB夫を追い越すことができないところを見ると、彼も相当苦しいのだろう…B夫はそう思った。


大垂水峠を相模湖側から登るとつづら折りがよく見える。まだまだ登りは終わらないことが容易に見て取れる。


「まだまだ登ってるなぁ…がんばれるかな…」


B夫はひとり言を言うエネルギーさえも惜しいのか、息だけでそんな言葉をかすかに吐く。


苦しい…。前半も苦しいとは思ったが、こんな苦しさではなかった。もっと余裕があった。がんばろうと思えばがんばれた。だけど、今は…。


“カメ組”であることが明らかな三人組はそれほど距離を置かず峠を登り続ける。苦しいのだが、不思議と誰も休憩のために停車することだけはしない。黙々とペダルを回し続ける。


B夫の前のサイクリストが少しスピードを上げた。B夫にはそう思えた。


いや実際には、むしろB夫のスピードが落ちたのかもしれない。


いずれにしろ、B夫はすぐ前のサイクリストに付いていくことさえもできなくなった。あぁ、徐々に距離が開く。“カメ”だと思ったそのサイクリストは明らかにB夫よりも速いペースで先へと進んで行く。


「これじゃぁ、後ろの人にも追い越されるかもな……」


B夫がはじめて参加したロードバイク走行会。前半は快調だったが、ここに来てB夫は全く別人となってしまった。


大垂水峠“程度”の初心者向けの坂道さえ満足に登ることができない、練習不足の新人サイクリスト……そう思われても仕方のない不調ぶりだった。


その時、後方からチェーンの回転音がした。


相当後ろから聞こえるが、かなり速い。そのスピードや聞こえ方から考えて、B夫のすぐ後ろを走っていた“カメ組のもう一人”ではないことは明らかだ。


また、“”か“うさぎ”に抜かれちまう…いや、それならまだいいけど、もしかしたら“カメ”なのかも…、今の自分は“カメ”ですらない、カメより遅いのって何だろう…あんまりいないな…なんだ…たとえば“ミミズ”か“芋虫”くらいかな…


そんなことを考える間もなく、そのスピードの乗ったロードバイクは颯爽と風を切りながらB夫の横を通り過ぎる。スピードが全然違う


あ、さっき見かけた女性サイクリストだ。確か速いという評判の。


日焼けした肌は日頃の走行距離を物語る。体型的には細くて長身なタイプ。足はスラリと長い。思わず見とれてしまう程だ。まさに山岳でその能力を最高に発揮する体型…


女性版ラスムッセン。


そんな言葉がB夫の頭の中で聞こえてくる。


あの「電動ラスムッセン」なんかラスムッセンじゃない…。この人こそ本当の“女ラスムッセン”だ!


ちょっとした一瞬の心の高揚がB夫の目を見開かせる…


だが、それだけだ。


それだからといってB夫の足や腰が回復する訳じゃない。B夫とすぐ後ろの“カメ組”、いや“芋虫組”の二人は相変わらずのろのろと這うようなスピードで峠を登り続ける。


しかし、その後の展開はB夫の予想を完璧に裏切るものだった!


なんとその“女性版ラスムッセン”はいきなりスピードを落とすと、何度か後ろを振り返りながらB夫の前に降りて来る


そして、ピタリとB夫の前1.5メートルのところへと位置すると、そのまま“芋虫組”の這うようなスピードに合わせて走り出したのだ!


彼女の足がいきなり売り切れてスピードが出せなくなった…???そんなワケはない。


何かのアクシデントが“女性ラスムッセン”を襲い、それまでのスピードを急に維持できなくなった…???そんなハズもないじゃないか…。


ということは…つまり…足に余力を残す“女性ラスムッセン”は何を思ったのか、“芋虫組”の二人を引いてくれるということなのか???つまり“風よけ”になってくれると…。


な、なんとありがたい!


B夫は苦しみのもっともキツイ場面でまさに“女神さま”に会った気分だった。


もしかしたら、峠で苦しむ“芋虫組”を見てあまりに不憫に思い、放っておけなくなったのか…あるいはそれが彼女の峠での“流儀”なのか…とも思ったが、理由はさておき、その親切心は腰痛と疲労で苦しむB夫への、まさに天の助けになることは間違いなかった。


もちろんスピードは大したことはないので、その“女神さま”によるスリップストリーム効果はそれほど大きくはない。(多少はもちろん違う)


だが、少なくとも、その“心理的効果”は抜群だった!


B夫ともう一人の“芋虫組”のスピードは、それまでのダラダラ走りより気持ち速くなり、大垂水峠の頂上が少し近くなったも同然だった。


“女性版ラスムッセン”を先頭にする3人の集団、変則“芋虫組”は、決して快調とは言えないけれど、着実に大垂水峠を登っていく…。


この峠さえ登りきれれば、あとはもう下りだけだ。その後には休憩が待っている。


B夫のはじめてのロードバイク走行会、その長い長い道のりはまだ終わってはいなかったけれど、B夫にはぼんやりとではあったが、ゴールが確かに見えてきた。“女神さま”の後ろ姿だけでなしに…。


ロードバイク走行会レポート【おわり】


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またまたなんだか長くなってしまいましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございます!


この日は、今にして思うと本当にいろんな経験をさせてもらい、結果としてとても楽しかったです。まさに予想外のことばかりの1日でした。

家に帰り着いたときには走行距離計は、約145kmを示してました。1日の走行距離としては、自分史上最長だったことになります!(翌日はやっぱり足に来てました。疲れてました。でも腰は治ってました。)


で、腰の痛みのことですが、結局長距離を乗ると60~70kmくらいから痛くなる…というのはしばらく変わらず、なんとか我慢して乗っていたのですが、それもだんだん感じなくなり、今年の夏くらいからは傷みが出なくなりました。(最初に書いたようにハンドルの高さも徐々に下げていったのでその効果もあったかと…)


最後に、“タバコがあまり好きでない親切な方”のことをちょっと“敵キャラ”チックな表現で書いてしまったかもしれませんが、全然他意はありません。実際にはとても親切にしてくれた方ですので、ここにその親切さと寛大さにお礼をしておきます。ありがとうございました。


次回は何にしよう…まだ未定です。最近登場しないA子の近況などもありかな…


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