J1昇格へ向け首位でターンしたアビスパ | Purely Belter

J1昇格へ向け首位でターンしたアビスパ

昨日は各地でJ2第21節の試合が行われました。長丁場であるJ2もこれが折り返し。これで各クラブは、全21チームと対戦したこととなります。

1年でのJ1復帰を目指すアビスパ福岡は、ホームでFC岐阜と対戦。後半19分のFWウェリントン選手のPKでのゴールを守り切り、見事1-0で勝利しました。これで勝点を43としたアビスパは、湘南ベルマーレと並んで首位で折り返すこととなりました。


■岐阜の粘りに苦しむも"ウノ・ゼロ"で勝利
今節の相手は下位の岐阜が相手でしたが、非常にタフなゲームでした。岐阜は最終ラインから丁寧に繋ぎ、攻撃を組み立てました。また、守備面でも粘り強く、アビスパはなかなかネットを揺らすことができませんでした。それでも、PKで先制し、その後は追加点こそ奪えなかったものの、分厚い攻撃を見せることができました。

大木武監督が就任してスタイルを一新した岐阜は、非常に面白い試合をするチームです。しかし、岐阜は攻守が共に安定することがまだ少なく、それ故ここまで苦しんでいる印象です。シーズンの序盤はパスを繋ぎながらもシュートまで持ち込めない試合が多くありました。最近はゴールを奪うことができていますが、一方で守備も崩壊気味です。

前節はジェフ千葉に4-6と敗れたため、同じく攻撃にタレントを揃えるアビスパ相手に、思い切って崩そうとするシーンが少なかったです。そのため、アビスパとしては、ボールを支配されてはいましたが、そこまで苦しい時間はなかったと思います。

岐阜は2人のスペイン人選手の活躍が印象的でした。GKビクトル・イバニェス選手は、好セーブで何度もピンチを防ぎました。リーガ・エスパニョーラでベンチ入りした経験もある守護神は、J2の舞台でも素晴らしいプレーを披露しています。Jリーグには、ジュビロ磐田所属のクルジストフ・カミンスキー選手、栃木SC所属の元スイス代表GKジョニー・レオーニ選手など、欧州のGKが活躍しています。ビクトル選手も、シーズン終了時にはJリーグ屈指のGKとして挙げられていることでしょう。

また、MFシシーニョ選手も攻撃の中心となっていました。昨季はアビスパとtwitterでコンタクトを取り、入団の噂もありました。U-21スペイン代表でのプレー経験があり、足元の技術が非常に高いです。小柄ですが、体の使い方が巧く、球際も激しくチャレンジできます。交代直前のDF岩下敬輔選手へのプレーはいただけませんでしたが、今後も活躍が楽しみな選手です。

■昇格に向けて大切なのは「悪い内容でも勝つ」こと
アビスパは前半戦を13勝4分4敗で折り返すことができました。J2で最も多くの勝ち点を稼ぎ、順位表の一番上でのターンです。素晴らしい成績ですが、内容的には苦しい試合も多くあったことを忘れてはなりません。敗れた4試合は勿論、勝利した試合でも苦戦がありました。

昨日の岐阜戦、そして前節の愛媛FC戦も、相手のDF陣に苦しみ1点を守り切っての勝利でした。少し遡ると、第14節の湘南ベルマーレ戦も、結果的には0-3の快勝でしたが、前半は相手に圧倒されました。後半戦は、首位であることに慢心せず、チャレンジャーとして試合に臨むことが大切です。

最近でも苦しむ試合は多いですが、そうした試合をモノにできるようになっている点は非常に大きいと思います。個人的な意見ですが、「悪い内容でも勝てるチーム」こそが本当に強いチームだと思います。アレックス・ファーガソン監督が率いていた頃のマンチェスター・ユナイテッドは、内容的に悪くても、相手の一瞬の隙やわずかなチャンスを逃さずにゴールに結びつけて勝点3を獲得する試合が多くありました。悪い内容でも勝利することは、どのチームでもできることではなく、「勝ち方を知っている」チームにしかできないことです。

怒涛の快進撃で昇格を勝ち取った2015年シーズンも、苦しい内容ながらも勝点を積み重ねる試合が多くありました。GK中村航輔選手を中心にピンチを凌ぎ、セットプレーでゴールを奪いました。今季のアビスパも、苦しい時間帯を無失点で耐えることができていますし、攻撃陣はシュートを外しても何度もトライして最終的にゴールに結びつけています。内容が良くて結果も良ければ言うことはありませんが、混戦のJ2で常にそれを実現することは難しい。「悪い内容でも勝つ」ことを今後も続けたいところです。

■まだまだ激戦が続くJ2…昇格争いのライバルは!?
昇格へ向けて良い状態にありますが、まだまだ安心できません。今季のJ2は例年以上に混戦で、昇格争いは終盤戦まで縺れることでしょう。

アビスパのライバル筆頭として挙げられるのは、勝点で並ぶ湘南でしょう。全員が直向きにハードワークするクラブで、チームとしても昇格争いに慣れている点は大きいと思います。また、7月より元セルビア代表FWドラガン・ムルジャ選手が大宮より加入することも決まっています。2015年シーズンにはアビスパを苦しめましたし、個人的には2010年の国際親善試合で岡田ジャパンを沈めたゴールも印象的です。ムルジャ選手の加入は、ライバルにとって大きな脅威になるでしょう。

5位の東京ヴェルディも勢いがあります。若手、ベテラン、外国人選手が上手く融合しており、名門復活へ燃えています。今季からチームを率いるミゲル・アンヘル・ロティーナ監督は、スペインでタイトル獲得経験もある名将です。元イタリア代表FWフランチェスコ・トッティ獲得の噂もありますし、今後ピッチ内外で目が離せないチームです。また、8位の横浜FCもFWイバ・ラーヤブ選手というゴールゲッターがおり、注意が必要です。

これから夏場へ入り、ナイターとはいえ暑い中での試合が続きます。アビスパは攻守両面でハードワークを惜しまず、またベテラン選手の頑張りも目立ちますから、疲労や怪我の心配もあります。前線の層は厚いですが、中盤や最終ラインは主力が欠けると戦力的に厳しくなります。そんな中、元U-19韓国代表DFウォン・ドゥジェ選手の加入は頼もしいですね。今後の井原正巳監督のメンバー選考、フロントの戦力補強にも注目です。

アビスパは次節、ホームでツエーゲン金沢と対戦します。現在17位の金沢ですが、3連勝中と調子は上向き。今節も横浜FCを3-2で破りました。第15節にアウェーで対戦した際は0-5と大勝しましたが、その時とは全く別のチームといって良いでしょう。難しい試合になりそうですが、勝点3を獲得して後半戦を良い形でスタートさせたいところです。


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