鹿島アントラーズの優勝を阻止できず…(その2) | Purely Belter

鹿島アントラーズの優勝を阻止できず…(その2)

■立ち上がりから積極的にゴールを狙ったアビスパ
アビスパは良い形で試合に入ることができました。アビスパは長いボールがウェリントン選手に入り、そのセカンドボールを上手く拾いました。この試合最初のシュートは前半2分、邦本選手のクロスのこぼれ球をダニルソン選手が拾いミドルを放つも、これは枠外となりました。

6分にはアビスパに大きなチャンスが訪れます。金森選手が右サイドからクロスを入れると、中でウェリントン選手がボレー。しかし、これは枠を捉えることができませんでした。中は1枚でしたが、ピンポイントで合わせたボール。大きなチャンスでしたが、ゴールに結びつけることはできませんでした。

また、8分には邦本選手が右サイドを突破してコーナーキックを獲得。末吉選手のキックに古部選手が頭で合わせましたが、これも惜しくも枠を捉えることができませんでした。アビスパは立ち上がりから積極的にゴールへ迫り、鹿島のゴールを脅かしました。

■鹿島の右サイドがゴールをこじ開ける

鹿島は右サイドへボールを送り攻撃を組み立てようとしますが、古部選手がしっかりと対処。1対1で遠藤選手を押さえ、突破を封じていました。

なかなかアビスパのゴールへ迫ることができなかった鹿島でしたが、20分過ぎからは徐々に右サイドの攻撃が機能し始めます。21分には古部選手と堤選手の間を割るパスに抜け出した土居選手がシュートを打つも、これはアビスパDFが対処。26分にも同じようなパスに今度は遠藤選手が抜け出してシュートを放ちましたが、これもGKイ・ボムヨン選手が好セーブを見せました。

試合が動いたのは27分。上記の遠藤選手のシュートで得たコーナーキックを、山本選手が頭で合わせ鹿島が先制ゴールを奪いました。山本選手はこれが今季初ゴール。2014年シーズンに鹿島に加入してから、不動の左サイドバックとして攻守両面でチームに貢献しています。

37分には鹿島に2点目が生まれます。中盤でボールを奪ってからカウンターを仕掛けると、金崎選手→柴崎選手と繋いで中へ。柴崎選手からのボールは流れますが、これを拾った遠藤選手が金崎選手へ送ると、金崎選手が中央の土居選手へパス。これを受けた土居選手が冷静に流し込み、2-0としました。カウンターの直前、ダニルソン選手が中盤でファウルを受けたようにも思えましたが、主審の笛はならず。アビスパとしては少し不運な失点となりました。

前半は2-0で終了。勝てば優勝が決まる鹿島にとっては、大きな2点となりました。一方のアビスパとしては、立ち上がりが良かっただけに痛いビハインドとなりました。

■攻撃的なカードを切るも、鹿島の壁を崩せず
まずは1点を返したいアビスパは、後半8分にチャンスを迎えます。古部選手が左サイドを突破して中へ。これを城後選手が合わせますが、シュートはGK正面となりました。また、20分にはゴール前で得たフリーキックをダニルソン選手が狙いますが、これもGK正面となりゴールには至りませんでした。

ゴールが欲しいアビスパは攻撃的な選手を投入します。22分には末吉選手に代えて坂田選手、金森選手に代えて平井選手が入りました。これにより、ダニルソン選手がアンカーとなり、坂田選手と城後選手が中盤の高い位置に入ることとなりました。さらに32分には邦本選手に代わり為田選手が投入されました。

スピードが持ち味の3選手が入ったアビスパですが、鹿島はしっかりと対処。スペースを与えず、アビスパは前へボールを運ぶことができません。アビスパは低い位置でのパス回しが増え、苦し紛れに前線にロングボールを送っても相手DFに跳ね返されるという展開が続きました。

後半ロスタイムには、この試合を最後に退団するジネイ選手と青木選手を投入し、余裕の采配を見せた鹿島。試合は2-0で終了し、鹿島が第1ステージ優勝を決めました。鹿島にとっては、これが2009年シーズン以来7シーズンぶりのリーグ戦タイトルとなりました。

■大きく響いた攻撃面でのミス
立ち上がりこそペースを握りましたが、前半15分過ぎからは鹿島との実力差が出た試合となりました。固さも見られた鹿島でしたが、修正してゴールへ結び付けるあたりは流石の一言。単純な右サイド攻撃が機能しないと見るや、古部選手と堤選手の間に上手くパスを通し、コーナーキックからのゴールへ繋げました。

2失点を喫したアビスパでしたが、個人的には攻撃面でのミスが気になりました。前半、末吉選手が高い位置でボールを受けた際、金森選手が縦に良い走りを見せた場面がありました。相手DFも金森選手を捕まえ切れておらず、スルーパスが出れば1点の場面でしたが、末吉選手はパスを出すことができず、ボールを奪われてしまいました。末吉選手に対するプレスもそこまで厳しいものではなかったため、非常に勿体無いシーンでした。

1失点目のキッカケとなるパスを通された場面、2失点目の直前にファウルを貰えなかった場面…勝敗を分けた場面は多くあったと思いますが、個人的には、金森選手にスルーパスを通すことのできなかった上記プレーが一番大きかったと思います。鹿島のような強いチームを相手にする際、訪れるチャンスは非常に少ない。アビスパはそうした少ないチャンスを確実にモノにしなければなりません。上記場面は、その少ないチャンスのうちの一つでした。

■リードされた場面でどのように攻めるか…

アビスパは、しっかりとした守備をベースに攻撃へ繋げるスタイルを昨季から継続しています。しかし、第1ステージを終え、なかなか理想通りにはいかないというのが率直な感想です。攻撃面は勿論、守備面でも苦しい試合が続いています。

アビスパのサッカーでは、相手に先制ゴールを奪われると、勝点を獲得することが非常に困難になってしまいます。横浜F・マリノス戦や川崎戦のように早い時間帯にゴールを奪うと、逆転ゴールまでは許さずに勝点を拾えていますが、相手に先制ゴールを許した場合、同点に追いつくことができずに試合終了となっています。

ウェリントン選手の高さは相手の脅威となっています。この試合でも立ち上がりはウェリントン選手にボールが入り、そこからチャンスを作りました。しかし、相手DFも優秀な選手が揃っているため、時間の経過とともにしっかりと対処することができるようになります。思い切ってウェリントン選手に頼らない攻撃にシフトすることも求められることがあると思います。ナビスコカップでは平井選手が相手DFの裏へ抜け出してゴールを決めるシーンがありました。アビスパの選手のスピードを活かした攻撃も見たいところです。

ウェリントン選手の高さを使うにしても、一工夫必要となります。アビスパはキックオフの際、ウェリントン選手が右サイドに張ってボールを受けます。これを継続的に行うことも一つの手だと思います。1998年ワールドカップでブラジル代表を破ったノルウェー代表は、サイドに高さのある選手を置いて攻撃の基点としました。サイドバックの選手はセンターバックの選手より身長が低いため、ウェリントン選手の高さをより活かせます。また、相手サイドバックのオーバーラップを制限することもできますし、センターバックを外へ引っ張り出すことも可能になります。

いずれにせよ、第2ステージからは攻撃面において何らかの変化が必要となるでしょう。横浜FMからMF三門雄大選手が加入することが決まっています。三門選手がアビスパの攻撃にどのようなリズムをもたらしてくれるのかにも注目したいところです。

■第2ステージは全てファイナルのつもりで
第1ステージが終了しましたが、早くも来週から第2ステージが開幕します。井原正巳監督が今季の目標として掲げた勝点は46、アビスパは第1ステージで11しか獲得できなかったため、これに達するためには35の勝ち点を積み重ねなければなりません。

17試合で勝点35という数字は、浦和が第1ステージで獲得した33を上回るため、非常に難しいというのが正直なところです。しかし、第1ステージで最下位に終わったアビスパとしては、第2ステージで多くの勝点を積み上げなければなりません。第1ステージでは、(結果はともかく)内容面で収穫のあった試合も多かったですが、これからは結果を出すことが求められます。次の17試合、全てファイナルのつもりで試合に臨むことが求められます。

第2ステージ第1節の相手は浦和。第1ステージでは浦和のホームで対戦し、2-0で敗れています。スコアは勿論、内容面でも完敗でした。今回はホームでの対戦ですが、日本一熱い浦和サポーターが大勢駆けつけるでしょうから、非常に難しい試合となるでしょう。

上記の通り、アビスパは先制ゴールを奪うことができれば、勝点を獲得することができています。この試合でも早い時間帯に先制ゴールを奪うことができれば、勝利に近づくかもしれません。第2ステージの初戦を白星で飾ることができるか、注目です。

試合開始前に円陣を組むアビスパのイレブン。次節も難敵との試合となる。


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