使命 | 愛しき言葉(ウツクシキコトノハ)

愛しき言葉(ウツクシキコトノハ)

私の心に響いてきた言葉

私の心から紡ぎ出される言葉

s.jpg


総員玉砕せよ!

水木 しげる


昭和二十年三月三日、南太平洋・ニューブリテン島のバイエンを死守する、
日本軍将兵に残された道は何か。
アメリカ軍の上陸を迎えて、五百人の運命は玉砕しかないのか。
聖ジョージ岬の悲劇を、自らの戦争体験に重ねて活写する。
戦争の無意味さ、悲惨さを迫真のタッチで、生々しく訴える。


使命に駆られるのだろうか。
伝えるということに。
特に、人に何かを伝える才能を、手段を持って生まれてきた人は。

妖怪漫画家として名の知られている水木しげるの、
戦争についての漫画を読んでみたいと思ったのはいつ頃だっただろう?

片腕を戦争で失ったと知った時?
その頃は、まだ『ゲゲゲの鬼太郎』しか知らなかったはず。
電車の広告で貼ってある、戦争記念館(?)のイラストを見たときかもしれない。

舌を出した戯けた顔の下に、どんな悲しみを抱えているんだろう。

漫画は映像よりずっと痛い。
もっと直接的に胸に届く。

あの、水木しげる独特のデフォルメされた人間と、
デフォルメされていない、今その場で見たものをデッサンシたんじゃないか
と思うような戦場が、どんどんと心臓を叩く気がした。

表現するって、伝えるって、こういうことなんだ。