中小企業の資金調達 28 取引銀行に融資を断られたら 16 手形割引① | 思うように資金調達ができない方へ

中小企業の資金調達 28 取引銀行に融資を断られたら 16 手形割引①


11月13日

先日の記事で、取引銀行に融資を断られた時の調達の話は仕入資金の調達で最後と書きましたが嘘でした。

手形割引と電子記録債権割引(でんさい割引)の話を忘れていました。

今日は手形割引の話です。

手形割引は融資と比較すれば、取引銀行から謝絶されるケースは少ないと思います。

追加融資はNGでも手形割引はOKと言う状況はよくある状況だと思います。

それでも、急に取引銀行から手形割引を急に断られたので、どこかで割引けないかと言う案件は決して少なくありません。

手形割引の案件は非常にシンプルで審査も短時間で完了しますし、審査に通れば即日でも持ち込み時間によっては即時割引の実行が可能です。

つまり、割引けるまともな手形であれば割引は簡単なのです。

むしろ、割引が可能な手形かどうかが、手形割引案件の場合は重要なのです。

ではどのような手形は割引けない。

もっと言えば受け取ってはいけない手形なのかを説明します。

   

①融通手形

商取引の裏付けなしに発行される手形のことで、一般の手形と比較すると不渡の確立が非常に高い。

受取る前に手形の成因を確認調査することが重要。

   

②訂正箇所のある手形

期日が訂正されている手形や、金額が訂正されている手形はNG。

   

③月商と比較して振出金額の大きい手形

月商の10%を超える手形は要注意。

当たり前ですが、このような手形は不渡の可能性大。

   

④金額が端数がない手形

通常の商取引であれば消費税が加わるはず。

端数がない手形は融通の手形の可能性大。

   

⑤裏書が不連続の手形 懇意先の手形割引会社のサイトの説明を転載します。

『約束手形や為替手形は、振出す場合だけでなく「裏書」という行為を経て複数の企業の間を転々流通するものです。手形が最初の受取人(名宛人)から次の承継取得者に所有権が移るとき、手形の裏面に「裏書」を行います。当初の受取人から最終所持人に到るまで裏書きが途切れることなく続いていれば問題はありません。

このように裏書きが問題なく続いていることを「裏書の連続」といいますが、何かの事情でつながっていない場合があります。これを「裏書の不連続」といって、手形の最終所持者は手形権利者としての推定を受けられなくなり、支払を受けられなくなるおそれがあります。

裏書の不連続で最も多いのが、裏書人の署名が、被裏書人欄にはみ出している場合です。裏書人が自分の名前を裏書したはずのものが、被裏書人欄にはみ出してしまいますと、その手形を自分宛に譲渡することになり、次に裏書する者との矛盾が生じて、裏書が不連続となり、支払を受けられなくなるおそれがあります。』

 

⑥メインバンク以外の銀行の手形用紙で振出された手形

融通手形がばれると融資が止められるため、融資を受けていない銀行の手形は融通手形の可能性が高いので要注意。

 

⑦支払いサイトの長い手形

4ヶ月を超える手形は要注意。

 

⑧盗難手形 懇意先の手形割引会社のサイトの説明を転載します。

『振出人と名宛人の業種が異なり取引の内容が推定できない、または、手形が北海道、九州、関東など全国各地を転々と譲渡されているなどの場合には、盗難された手形ではないかを疑うべきです。盗難手形は除権判決によりその効力が無効となりなすので、支払いを受けることはできません。』

    

実際の案件でよくあるのが、名宛人が空白、収入印紙が貼られていない手形の割引案件です。

良い方は悪いけれど、ふざけるんじゃない!と言いたくなります。

融通手形以外で、こんな手形が流通するはずがありません。

こんな手形が割引けると思っている経営者は、失礼ながら経営者失格です。

もっと笑えるのは、商流を証明するためのエビデンスの内容と手形の内容が違っている場合があります。

例えば、商流のエビデンスとして売買契約書や納品書、契約書の類をいただきますが、振出人と名宛人の商流が逆になっているような、馬鹿馬鹿しい案件もあります。

融通手形は100%NGなので融通手形による資金調達はできないとご認識下さい。

また、自振の手形割引ができるかなどと言う、これまた不思議な案件が時々来ますが、自振の手形が割引けると言う思考回路が理解不能です。

自振手形の割引=無担保融資と思いませんか?

今日は少々怒りを感じながら記事を書いてしまいましたが、それほど手形案件はおかしな案件が多いです。

中には、融通手形を振出すのが業としているのではないかと思われる、手形乱発会社もあります。

最近は来なくなりましたが、女性が代表者の会社で、一時あっちこっちから案件が持ち込まれました。

いったい何をこの女性経営者は考えているのか?????

このような案件が多いのは手形割引案件の特徴です。

先述したように、手形割引の審査は非常にシンプルで明快に結果が出るのに、未だ融通手形で資金調達しようとする経営者がいるのは嘆かわしいの一言です。

私の会社は倒産寸前だ!と言っているようなことですから、絶対に手を出さないようにご注意ください。

次回は手形割引の2回目で、私がアレンジできる手形割引の諸条件や、割引が難しい手形の信用補完について説明します。

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