中小企業の資金調達 10 取引銀行に融資を断られたら 実践編 2 売掛金ファイナンス | 思うように資金調達ができない方へ

中小企業の資金調達 10 取引銀行に融資を断られたら 実践編 2 売掛金ファイナンス


10月22日

取引銀行から融資が受けられなくなった会社にとって、一番、資金調達の可能性が高いのが売掛金ファイナンスです。

飲食業や小売業でBtoBの売掛金がないケースもありますが、通常一番担保になりうる資産と言えば、やはり売掛金が一番身近な存在です。

売掛金がない会社は少ないからです。

   

売掛金のファイナンスには2つの種類があります。

まずは売掛金を担保とする融資と、売掛金を譲渡することによって資金調達するファクタリングです。

この2つのどこが違うのかと言うと、例えば担保にしている売掛金の販売先が融資途中で破綻した場合、大きく違ってきます。

融資は、あくまでも融資ですから、あなたの会社は借りたお金は返済しなければなりませんし、融資額によっては担保不足が生じ、追加担保を入れることを請求される可能性があります。

一方、ファクタリングは一旦売却した売掛金の販売先が支払期日よりも前に破たんしたとしても、

原則、あなたの会社は、言い方を乱暴に言うと「知ったこっちゃない」のです。

つまり売却しているのですから普通は非遡及なのです。

ただ、ファイナンス会社の中には、ファクタリングなのに非遡及でないウィズリコース(遡求権有)ファクタリングもありますので、この点は注意が必要です。

また、融資の場合は、銀行融資ではないとはいえ、例えば税金の滞納や労働債務、つまり人件費や社会保険の支払いが滞っていれば融資はNGになります。

でも、ファクタリングは、売掛金として確定債権になっていれば、売掛先の信用力がOKであれば、あなたの会社の状況、つまり、税金を滞納しているとか、社会保険を滞納しているなどと言ったこととは関係なく実行され得るのです。

このように書くと、あなたは売掛金を巡るファイナンスを考えれば、融資よりもファクタリングの方が良いと思われると思います。

実際、ファイナンスとしては、融資よりはファクタリングの方が、多くの場合コストも低く、あなたの会社の状況に関係なく行われるから、あなたにとっては望ましい資金調達方法です。

アメリカでは普通に行われている資金調達方法ですが、日本ではいまいち広がっていないのは売掛先に債権譲渡承諾をしてもらわねばならないからです。

つまり、売掛先に通知して承諾してもらう必要があるのです。

要は、売掛先に知られてしまうのです。

普通に考えれば、売掛先の支払いのサイトが長いから債権譲渡して資金調達するのですから、何も悪いことをしているのではありません。

でも、多くの中小企業経営者は、売掛先が大手であればあるほど、売掛金を譲渡して資金調達しなければならないほどお金に困っていると思われ、信用不安を招いて取引ができなくなるのではないかと深謀配慮してしまうのです。

確かに、売掛金が発生した元々の売買契約書の中に、売掛金の譲渡を禁止する、いわゆる譲渡禁止条項が記載されていることが、大手であれば大手であるほど多いことも事実ですし、大手の中にはファクタリングの通知をしたことで、取引を打ち切るような後進性がある会社もないことはないので、中小企業の経営者が二の足を踏む気持ちは良く理解できるところです。

でも、この売掛金の譲渡を禁止すること自体を問題視する傾向も出てきていますので、ファクタリングという資金調達の方法が今後広がっていくと思いますし、広がっていく必要性は高いと思っています。

この辺りのことは次の記事をご参照ください。

売掛債権担保融資とファクタリングの違い

金融にもジェネレーションギャップ ファクタリング


今日のポイントは次の通りです。

売掛金ファイナンスには売掛金担保融資とファクタリングがある。

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