上場不動産会社の破綻 | 思うように資金調達ができない方へ

上場不動産会社の破綻

3月21日

日経でもそれほど大きな扱いではないので、

不動産業界に関わりがない方にとってみれば小さな出来事かもしれませんが、

大証ヘラクレスの上場不動産会社であるレイコフ が民事再生法の適用を裁判所に申請して破綻しました。

まずは記事をお読みください。


レイコフグループ、民事再生法申請・負債総額426億円 大証ヘラクレス上場で不動産開発のレイコフと同社の子会社2社は20日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請し、保全命令を受けた。3社合計の負債総額は約426億円。2006年末からホテル開発事業を始めたが、開発後の売却先が確保できず資金繰りが悪化したという。  レイコフと子会社のレイコフインベストメント(大阪市)、ホスピタリティインベストメント(同)が申請した。新規融資が受けられず2月には鳥取県内で計画していたホテル開発を断念していた。  大阪証券取引所は同日、レイコフ株を4月21日で上場廃止にすると発表した。(07:00)

 

ホームページの中のIRニュースを読むと、

ホテル事業への過剰投資が破綻した原因のようですが、

たまたま、この会社の所有している収益物件(レジデンス系が多い)の売却を、

某中堅不動産会社より依頼されていました。 

忌憚なく言って、本当にぱっとする物件が少なく、

おまけに全国に散らばっており、なぜこのような物件を所有しているのかと、

正直なところ疑問を持ちましたね。 

3月末までの決済であれば、相当価格の値引きもできるとのことでしたが、

今から考えると相当資金繰りが厳しかったのだと思います。

 

この会社以外でも、同じような形式で所有する物件の売却の仲介を依頼されている、

東証一部の不動産会社も案件もありますが、

レイコフよりはまだマシとは言え、この会社の所有不動産もイマイチで、

おまけにレイコフ同様、3月末までの決済であれば価格の値引きは大きくできると、

まったく同じような情報が入ってきているので、ここも危ないのかもしれません。



不動産会社の破綻の記事を書いて、

不動産会社の窮状をことさら強調するのは本意ではありませんが、

でもこの3月末までにレイコフだけに終わるとはとても思えないほど、

現在、不動産会社のファイナンスは困難を極めています。

 

不動産会社がおかしくなるのは、必ず金融の引き締めと関係があり、

私が死にそうになった前回のバブルでも同様でした。

このブログでも、何で金融庁は銀行やノンバンクに対して、

不動産に対する融資を過剰なくらい規制するのか不思議だと言う記事を何度も書いてきましたが、

今回のレイコフもそうでしょうし、今月を乗り来るのに四苦八苦している不動産会社も同様で、

平たく言えば、銀行がお金を貸さなくなったので、

不動産会社は本当に回らなくなっています。

 

確かに、不動産の加熱は昨年ピークに達していて、

不動産の収支が合わないくらいその価格も上昇していたから、

金融を冷やすのは理解できます。

でも、この前のバブル時もそうでしたが、

冷やすのが極端で、冷凍するほど冷やすから、

これじゃ、不動産関連企業の破綻が増えるのはあたり前で、

そこまでしなくても、もう少し市場に任せればいいのにと思います。

 

それと、10月25日不動産会社 非上場のすすめ でも書きましたが、

不動産会社の上場は、資金調達上、とても会社にとって大きいのですが、

その半面、売上や利益の水準を落としにくい状況にもなるため、

昨年のように不動産が加熱して価格が上がりすぎて、

本当なら投資しにくい時期でも、決算対策上、投資し続けないといけないジレンマがあり、

今回のレイコフもそうですが、

破綻企業には必ずと言って良い位、投資不適確な物件に投資しているものです。

私が知る上場会社においても、このような物件は本当に多く、

物件自体の問題よりも、ともかく高い価格で取得しているので売却がしにくい状況になっています。

先ほど書いたレイコフよりはマシな物件ですが、

3月末までに在庫物件を売り捲くる東証一部の不動産会社。

とんでもない高掴みをしていて売れないホテル用地を持つ上場企業・・・・・・

ともかく資金繰りがおかしくなっている不動産会社には、

必ずと言っていいほど、高値掴みした物件があって、とても書ききれません。

 

それから不思議なのは、今回のレイコフでもそうですが、

不動産会社って、上場すると不思議にゴルフ場を持ちたがるものです。

覚せい剤所持で創業者が退任した某不動産会社もすでに売却しましたが持っていました。

それからリゾートホテル。

以前のバブル時も同じでしたが、

お金ができるとゴルフ場とリゾート施設を持ちたがるのは、

不動産会社の経営者の好みなのかも知れません。

 

不良在庫と本業とはあまり関連の内ゴルフ場やリゾート施設。

この二つを持っている不動産会社は、破綻懸念のある会社の指標になるかも知れませんね。

 

そして最後に言いたいのは、私の知る限り、

今回破綻したレイコフは仲介手数料の支払いを渋ることでは悪名高い会社でした。

弊社が関わった物件でも、手数料の支払いが汚くて、

もう二度と情報を持ち込もうとは思わなかったですね。

レイコフがろくでもない物件を持っていたのも、この行儀の悪さと無関係とは思えません。

昨年あたりは、先ほどから書いているように、

不動産価格が上がりすぎていたから、仲介手数料を捻出しにくかったのかも知れませんが、

仲介手数料の支払いを渋る⇒優良物件の情報が集まらない⇒不良物件に手を出す

⇒売却もしにくく収入も良くない⇒資金が固定化する⇒経営が傾く 

と言うような悪循環になってしまうから、

仲介手数料の支払い振りは、不動産会社を見る時の重要なポイントかも知れません。
     

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