銀座の百貨店は難しい  大丸松坂屋グループ | 思うように資金調達ができない方へ

銀座の百貨店は難しい  大丸松坂屋グループ

5月26日


以前このブログでも取り上げた、
百貨店の大丸と松坂屋の経営統合の話の続きです。
 
少し長い記事ですが、まずはご一読ください。
経営統合:大丸と松坂屋 本社は銀座、首都圏戦略を強化

 24日、経営統合を正式に決めた大丸と松坂屋ホールディングス(HD)は、共同持ち株会社「J・フロントリテイリング」を設立し、連結売上高で国内最大、営業利益でも有数の百貨店グループを9月に発足させる。共同持ち株会社は本社を東京・銀座に置き、首都圏戦略を強化するが、背景には、人口減による消費市場の縮小の中、最大のマーケットであり情報も集中する首都圏の攻略が、生き残りの条件だとの判断がある。

 「大丸や松坂屋は、全国区と見られていない。首都圏をどう攻略するかが、(両百貨店)共通の課題だ」

 この日、大阪市内で開かれた大丸の株主総会で、持ち株会社の本社を東京・銀座に置く理由を、社長兼最高経営責任者に就く奥田務会長は強調した。

 大丸は東京駅八重洲口、松坂屋は銀座や横浜などに店舗を構えるが、それぞれ関西と名古屋を中心に資金や人材などの経営資源を投入してきた。今回の統合は、ともに人口が集中する首都圏進出の機会をうかがっていた点で一致している。

 売上高を伸ばすには消費人口の流入がある首都圏進出が避けられない。大丸幹部は「首都圏での経営基盤強化が必要不可欠。それには、百貨店というスタイルにこだわらない」と話す。大丸は、3月15日に首都圏で最大級となる横浜市の郊外型ショッピングセンターに食料品店「大丸ららぽーと横浜」を開業。百貨店由来の“デパ地下”にスーパーマーケットの要素を取り入れた新しい試みだ。

 百貨店業界では現在、再編が進みつつある。有名ブランドを集め、店舗経営をテナント任せにしたきたことが凋落(ちょうらく)のきっかけとなり、商業中心地に代わって郊外型大型店舗が消費者の支持を集めるようになったことも百貨店への依存度低下につながった。流通業の頂点に位置づけられてきた時代は去って久しい。

 再編劇は、03年6月にそごうと西武百貨店を傘とする持ち株会社のミレニアムリテイリンググループが発足したことで始まり、阪急百貨店と阪神百貨店の統合による「エイチ・ツー・オー(H2O)リテイリング」、今回の「J・フロントリテイリング」と続いてきた。再編劇はさらに、ミレニアムが昨年6月、セブン&アイ・ホールディングスの完全子会社となるなど、百貨店業界にとどまらず業態を超えて広がりつつある。

 しかし一方で、地元のにぎわいを生み出してきたのも百貨店だ。大丸と松坂屋の株主総会では、本社を東京に移すことへの意見が相次ぎ、長期保有の株主からは不安も聞かれた。大阪では、企業が本社を東京など首都圏に移す動きに依然歯止めがかからない。大丸の70代の男性株主は「商都・大阪をけん引してきた大丸までもが東京の経済圏に移ってしまうとは……」と残念そうだった。

 

今度の合併は、対等合併のようですが、

明らかに規模、収益力とも上位の大丸が松坂屋を吸収合併する構図と私は思っています。

 

東京に住んでいると、大丸は記事にもあるように、

イマイチ、マイナーな存在で、この秋に新しい店舗に移転するので、

その後は、どのような印象の店になるか分かりませんが、

今は東京駅にある一ターミナルデパートの域を超えるものではありません。

 

東京に住んでいる人で、

わざわざ買い物に行く百貨店はどこ?という質問に、

大丸と答える人は、かなり少数派で、

へそ曲がりか、関西に長く住んでいて、外商取引があるくらいの愛好家でないと、

いなんじゃないかと思えるくらいの存在です。

 

しかし、大丸は私の好きな街の神戸編の時にも書いたように、

神戸の大丸は非常に良い店舗ですし、

最近は行っていないから分かりませんが、

大阪心斎橋の店舗も、子供の時の遊び場でした。(^ε^)

かなり昔になりますが、面積は小さいのに、

日本一売上の店舗になったこともあるくらい、

なかなか賑わいのある良い店舗です。

 

さらには福岡の博多大丸や札幌店も良い店で、

こう考えると、

大丸は東京の店舗だけが、

目立たない、ストーリー性も、ファッション性も、ワクワク感も感じられない、

店舗になっていると言えます。

どうやら、大丸は地方都市の地域一番店の店舗を持つことで高い収益を誇り、

発展してきたのだと思います。

 

実は大丸は、特に東京の方はご存じないと言うか、実感が湧かないと思うのですが、

収益力は業界でも最高レベルですし、

確か売上高も前期の決算では三越を抜いて、業界第3位になったのではないかと思います。

 

ですから、記事の中で、大丸の奥田会長が、

大丸は全国区と見られていないという談話は本当に正しい認識で、

吸収する松坂屋も、はっきり行って地方百貨店の域を超えるとは言いがたい百貨店だから、

忌憚なく行って、東京に住んでいる者にとっては、

地方百貨店の合併か、ぐらいで、まったく興味が湧かないし、

このニュース自体知らない人も多いのではないでしょうか。

 

だから、日本で一番売上のある百貨店になると言われても、

ピンと来る人が非常に少ないんじゃないかと思います。

 

だから銀座に本社を置く気持ちは十分に分かります。

また銀座には松坂屋の店舗があって、

今は本当にさえない店舗ですが、

そうそう百貨店の開発できる場所はないから、

この店舗の再開発をまず、大丸松坂屋グループのシンボル的な店舗として、

首都圏攻略の戦略拠点に考えているんじゃないかと思います。

だから、この店舗の成功か否かで、

全国区の百貨店になれるかどうかが決まると言っても過言ではないと思います。

 

しかしながら、銀座の街に良い百貨店ができることは大歓迎なのですが、

銀座の百貨店というのは実は成功しやすそうな立地に見えて、

非常に難しいところのようです。

どの店舗も店舗面積が小さいと言うことが多分一番大きな理由で、

現在ある、銀座の三越も松屋も、もちろん松坂屋も、

店舗面積が小さく、中途半端な品揃えで、

百貨店の店舗としては非常に魅力に欠け、

地方百貨店的なイメージの店舗になっています。 

だから三越は確か店舗面識をかなり拡大するような計画を持っているようです。

 

さらに、百貨店にとって銀座は独特の難しさがあると思います。

確かに、銀座は一等地なので、購買意欲高く、客単価が高額な顧客がいっぱいいます。

でもこのような顧客は、銀座のデパートで、高額な商品は買わないんですね。


なぜなら百貨店が得意とする、高級ブランドや宝飾品などは、

百貨店よりも、もっと専門的かつ高級イメージをもつ専門店がいっぱい銀座にはありますし、

飲食店も百貨店より遥かにブランドイメージの高い店が、

あっちこっちにあるからです。

 

だから、銀座の百貨店にわざわざ、たとえばスーツを買いに行くとか、

宝飾品を買いに行くとか、

今は死語になっているのかもしれませんが、

いわゆる買回り品的な買い物をする人は少なく、

どちらかと言えば地方の観光客のような人が、

原宿の竹下通りで買い物するのと同様、みやげ物的な買い物をするところになっているような気がします。

また飲食も、、

私が松坂屋にとんかつを40年来食べに通っているような感じか、

銀座三越のデパ地下のどこの店のケーキをとか、

松屋の甘味屋で休憩とか、

銀座の他の専門店に買い物に来た時とか、商用で来たときのついでに、

ちょっと軽く利用するような顧客が多いと思います。

 

本当に銀座は難物で、

もう少し銀座の独特な特徴を続けると、

 

街自体がそれこそ、大きな百貨店のようになっていて、

街自体の情報発信力や存在感がとても大きいから、

よほど工夫した店作りをしないと、街に負けてしまいます。

 

この点については、海外ブランド店を考えると理解しやすいと思うのですが、

たとえば銀座以外の街を考えると、

百貨店の中にあるグッチやヴィトンの店舗は、

その街で、そのブランドのオンリーワンショップになって、

もちろん地域一番店となって、集客力もあり、

百貨店の1階の顔とも言うべき場所に配置したり、

高級ブランドを集めた特選街のようなフロアが、

百貨店の魅力の大きな要因となっていますが、

こと銀座に限っては、百貨店の店舗よりも数倍も広く、品揃えも豊富な店舗、

それも日本の本店的な店舗があっちこっちにあるため、

ブランドさえ揃えればOKのような、簡単な店作りができません。

 

たとえば、高級メンズのゼニアなんか、

松屋にも店舗がありますが、

まったく存在感がなく、ここで買う人は、やはり奇特で、

よほど店員と親しいとか、松屋の関係者とか、外商取引のあるような人しか買わないと思います。

海外ブランドの店舗が集積している銀座5丁目に旗艦店舗があるし、

つい最近は、銀座と隣接する丸の内に、銀座店よりも広い店舗ができたので、

大丸、松坂屋の銀座の新店舗にゼニアを入れても、

本店的な店をしのぐような店舗にしないと売れないし集客もできません。

しかし実際問題として、これは難しく、

銀座は海外の高級ブランドにとっても日本の顔と言うべき場所なので、

それぞれのブランドが社運をかけて旗艦店舗を展開していて、

百貨店としては海外ブランド中心の店作りをしようとしても、

魅力ある店舗にならないのです。

だから、銀座の百貨店の店作りは非常に難しいのではないかと思います。

  

それこそ店舗全体を高感度なセレクトショップ的な感じにするほかないかと、

私なんか思いますが、

これは伊勢丹ならできそうですが、松屋が関係の深い伊勢丹になり、銀座伊勢丹になったら脅威だと思います。

大丸や松坂屋には、そこまでのノウハウも人材もないと思うので、

銀座店を大丸松坂屋グループのシンボル的な店舗にするのは良いけれど、

並大抵のことではないので、まさにお手並み拝見と思っています。

 

大丸も松坂屋も、地方都市での地域一番店的な店作りで成功してきた百貨店なので、

忌憚なく言って、首都圏での成功はかなり難しいのではないでしょうか。

 

百貨店のブランドイメージは、何十年と言う期間が必要だと思うので、

ただ銀座の松坂屋の店舗を再開発したとしても、

確かにその存在の宣伝効果は多少あるでしょうが、

このグループが全国区になるシンボル的店舗となるのは、やはり????ですね。

 

だから、私は今回の合併で日本一の売上の百貨店になるといっても、

それは一時的なことで、

このグループは、日本の百貨店業界の中心にはならないようと思っていて、

別に若い頃高島屋に勤務していたから贔屓をするのではありませんが、

早晩、売上では高島屋が1位になるか、 高島屋と三越の経営統合なんてあり得るんじゃないでしょうか・・・・

どこかと経営統合をした伊勢丹グループが1位になうような気がしてなりません。

東急百貨店や阪急阪神百貨店グループと経営統合したらすごい会社になるな・・・・

 

悪いけど、大丸松坂屋グループが業界を代表する会社にはなりえないと思っています。

セブン&アイホールディングスに入った、そごう西武のミレニアムリテイリングも

百貨店のリーディングカンパニーとしての発展はしないな・・・


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