上場基準が厳しくなっている | 思うように資金調達ができない方へ

上場基準が厳しくなっている

5月10日

 

                

 

会社が上場することは、社会的な信用を得ることはもちろんですが、

何よりも大きな資金調達の手段です。

また上場によって将来にわたり資金調達が楽になることも事実です。

その上場が、ライブドアの件以降上場基準が厳しくなり、

カネボウなど粉飾事件から、監査法人の監査も厳しくなっています。

 

一昨日打合せをした証券系のIPOコンサル会社の話では、 

一時は東証のマザーズ、大証のヘラクレスなどでは、

以前はザックリ言えば、 将来性があれば、利益の額などがマイナスであっても、

上場が可能な場合があったが、

現在、特にライブドア事件以降非常に厳しくなっているとのことです。

 

物凄くシンプルに言えば、

売上高が20億円、利益額が2~4億円の状態の会社であれば、

なんとかお手伝いできると言う状況のようです。

 

またもう一つ、このことは以前から特に変わったことではないと言うことですが、

一つの時流のみに乗ったようなビジネスモデルの会社は上場が難しいとのことで、

少なくとも違った二つ以上のコンセプトによる事業があることが望ましいとも、

打合せをしたコンサル会社の役員は言っていました。

 

また上場するためには2期分の監査法人の監査証明が必要です。

実際弊社がお手伝いをしている会社でもあったことなのですが、

以前なら直前期1期分の監査をすれば、

前々期の監査証明も出してくれることがあったそうで、

実際大手の監査法人からこの線で話があったのに、

いざ直前期の監査が終わって2期分の監査証明を出す直前になって、

実際に監査をした期の監査証明しか出せないと言って来たそうです。

 

確かに監査していない時の監査証明を出すこと自体、

おかしいことであることは間違いありませんが、

今回の中央青山の件からも、より厳格化されることは必至ですので、

この意味でも上場は以前より厳しくなっていると言えます。

 

ただ、最近の不動産の活況から、

不動産会社の上場が非常に多くなっています。

弊社の顧客も今期で売上が100億円を超え、利益もしっかり確保しているので、

現在、上記市場より、より上場基準の高い市場を狙っています。

 

しかしながら、不動産会社の上場にはもう一つの大きな問題があります。

それは、不動産特に大型の案件を扱っていると、

どうしても反社会的勢力との接点ができることです。

 

実際この問題で、売上は数百億円あって、利益も売上に応じた高い水準の会社でも、

この反社会的勢力との密接な関係が理由に上場できない会社もあります。

 

今回社長が逮捕された東証2部上場の菱和ライフクリエイトの問題でも、

反社会的勢力との密接な関係が明らかですので、

この意味での審査も厳しくなっていくものと思われます。

 

今日上場基準の話を書いたのは、

ただ厳しくなっていると言うことを書きたかったわけではなく、

むしろ以前のような上場が比較的安易にできるイメージのまま、

まだ上場の基準に達していないのに、上場できるもと勘違いをしていただきたくないと思ったからです。

 

悪質な上場コンサルにかかると、

全く時期ではない会社に対しても、いかにも上場ができるような話をして、

高額なフィーを取っているケースを良く見るからです。

 

また実際上場を前提に監査法人の監査を受け始めると、

上場できれば別に問題はないのでしょうが、

内部管理体制の充実とか言われて、

かなり監査料以外にコストがかかりますし、

経理処理でも監査法人の基準と会社の基準が大きく食い違い、

赤字決算どころか、瞬間的なことでしたが、債務超過の決算を余儀なくされた、

弊社の顧客の会社もありました。

 

また実際、私の知る会社でも、上場準備をして上場できず、

この時の余計な経費負担で会社自体がおかしくなった実例もあります。

 

時々上場原理主義的な社長もいらっしゃって、

上場後の資本政策なども、かなり課題が出てくる上、

上場準備をするにはかなり時期尚早なのに

まず上場をしないと意味がないので、すぐにでも準備すると言うようなケースがありますが、

これは、かなりリスクのあることなので、お気をつけいただきたいと思います。

 

昨日も書いた未公開株による詐欺事件も、

時々はこのようにまだ上場基準に達したいない会社なのに

上場する、上場すると言いまくっている会社が対象となっていることもありますので、

この意味でも気をつけて行きたいと思います。

 

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