固定資産に対する認識違い | 思うように資金調達ができない方へ

固定資産に対する認識違い

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【社長の錯覚② 固定資産に対する認識違い】
銀行の格付けをアップする方法ですが、いくつかのポイントがあり、まずお話をしたいのが、自己資本比率です。
自己資本比率とは貸借対照表の(資本の部÷総資本)で算出する数字ですが、この数字が高ければ高いほど、会社の安全性が高いと判断される重要な数字で、できれば15%以上、悪くても10%は確保したいところです。

この数字を高くする方法は、二つあります。
当然のことですが資本の部を増やすか、総資本を減額するかの二つの選択肢になります。

まず資本の部を増やすには、資本金を大きくするか、儲けて内部留保された剰余金を増やすことです。剰余金を増やすことは、よく儲けましょうと言うことですので当然なことですが、資本金を増やすこと、これがまず融資成功への第1ステップです。

お客様の貸借対照表を拝見すると、社長からの借入金が返済をされないまま、長期間にわたって借入金計上されていることが良くあります。もっと悪い場合は、借入金でも短期借入金計上をしている場合も良く見受けられます。
このような場合は税金が新たに発生するリスクがありますが、デッド・エクイティ・スワップと呼ばれる債務の資本金化をお薦めしています。
特に債務超過(資本の部がマイナスの状態)のような場合や繰損(当期未処理損失)があるような場合は、納税が圧縮できるので、ぜひおやりになれば良いと思います。
最低でも短期借入金計上だけは絶対に避けるべきですので、顧問の税理士の先生とご相談になられたらいかがでしょうか。
これは社長からの借入金だけではなく、身内の方や、役員など親しい方からの借入金も、可能な限り返済の目処がしばらく立たない借入金については、資本金にし、短期借入金の場合は長期借入金処理が大切です。
このことだけで、債務超過で銀行から門前払いされた会社が、急に優良会社に変身し、融資を受けられた例はけっこうありますので、ご検討されたらどうでしょうか?

融資成功への第2ステップとしては、総資本を減額することで、これも自己資本比率をアップする重要なポイントになります。債務の資本金化より簡単に行えることも多いのでぜひご検討をされたらいかがでしょうか。
具体的には、余計な資産は可能な限り貸借対照表(バランスシート)からはずすことで、たとえば社長の自宅を会社の固定資産計上している場合は、社長個人の所有にするか、別会社を設立してこの会社に所有権を移します。
時々見受けるのですが、社長の趣味がゴルフで、ゴルフ会員権を会社の資産にしている場合です。これなどは全く論外で、大企業ならともかく、中小企業で、余程ゴルフの関連事業でもされていない限り、事業にとっては不要な資産ですから、これは社長個人に移します。
現在は、ゴルフの会員権が複数必要以上に計上されているだけで、銀行の担当者は融資をしたくなくなるといった逸話がある位ですから、お気をつけ下さい。

要するに事業に直接関係のない資産は早々に処分するか、所有権を移します。

しかし、これだけでは総資本を圧縮するのに十分でない場合は、事業に必要な資産の中で、資産から外す方法がないかどうかを検討します。
たとえば機械設備や自動車を購入する場合、購入ではなくリースを利用するとか、固定資産の中でも高額な所有不動産、たとえば自社ビルや社員寮などをノンリコースローンでオフバランス化(バランスシートから外すこと)する方法があり、総資本を減額する重要な手段になります。

(※ノンリコースローンについては後日詳しくご案内いたしますが、要するに返済義務が不動産に出資した出資金のみに限定されたローンで、出資金や特定目的会社の設立費用が用意できるのであれば、これほど安全なローンはありません。特に地震の多い日本ではとても有効で、地震でつぶれたビルのローンを払い続けるようなことを避けることが可能になります。)

以上のように、債務の資本金化や不要資産の処分や不動産のオフバランス化を徹底してやれば、自己資本比率が高くなり、融資の確立も飛躍的に高くなり、その条件も好転しますので、ぜひ実施していただければと思います。

要するに、自社ビルなど資産が一杯あることを誇る経営から、少ない資本で効率よく稼ぐ経営にシフトしないと銀行の評価が上がらない時代になったということをご認識いただきたいと思います。

次回は、流動資産の内容で融資の確率が変わる話とノンリコースローンについてお話をしたいと思います。
また良ければ覗いてくださいね。


tomtom(bhycom)