本日は『PSVT』についてです。

まずはPSVTをまとめている下記のサイトをご覧ください。

http://heppokosamurai.rakurakuhp.net/i_628102.htm

一口にPSVTといってもいくつもの病態を含んでいます。

発作性心房頻拍(異所性自動能亢進) PAT
房室結節回帰性(リエントリー)頻拍 AV junction tachycardia AVNRT
房室回帰性(リエントリー)頻拍 AVRT
洞結節回帰性頻拍 SNRT
心房内回帰性頻拍 IART

ACLSに準じたnarrow complex tachycardiaのアプローチhttp://resqed.com/jim//pdfs/chapter4.pdf をすれば救急室の対応としては問題ないのですが、もう少し踏み込んでみてみると心電図を読むのも楽しくなります。

このうち特にわかりずらい、『AVRT』と『AVNRT』を克服してしまいましょう。

次の2つの動画をご覧ください。

最初の動画はAV Re-entrant Tachycardiaについて、2番目の動画はAV Nodal Re-entrant Tachycardiaについてです。

この2つの動画をみてAVRTとAVNRTの理解を深めてください。

AVRTでは副伝導路が関与しPACやPVCによって誘発されてリエントリー回路を作ります。

AVNRTではAV nodeにいたる伝導路が2つあって、脱分極と再分極の速度が正常の伝導路と異なるために、PACが発生したときにリエントリー回路を作ってしまうのですね。

AVNRTでは通常HRが140回/min以上になるのに対して、自動能が亢進したjunctional tachycardiaは100-140回/minまでが多いようです。

Pseudo S wave』を見抜き『RP間隔』をみてこの2つを区別します。
AVNRTはshort RP intervalに、AVRTはlong RP intervalになります。

分からないことがほとんどだと思いますが、rate dependent ST depressionに隠れているP波を見逃さないことです。

AVNRTではP波がQRSに重なってみえないことも約半数あると言われています。








順行伝導性(心房から心室への伝導)のKent束があり、安静時心電図にデルタ波が出現するものをWPW症候群と呼びます。

Kent束は、順行性に興奮を伝導するのみであり、房室結節よりも早期に心室側へのメッセージを伝えます。

これに対して、Kent束が逆伝導性(心室から心房にのみ伝導する)であるものを潜在性WPW症候群(concealed WPW syndrome)といい、上室頻拍の原因となるものです。


$救急医の挑戦 in 宮崎

この場合、安静時において、興奮は正常伝導系を通り、Kent束を通らないため、心電図波形にデルタ波は出現せず、正常波形を示します。

しかし、潜在性WPW症候群において、心室側に早期興奮が起こると、心室側での早期興奮(期外収縮)は、心室から心房へと逆向きに早く伝わる。心室の興奮がKent束を逆伝導し、心房に戻り、それが旋回するようになり、頻拍発作を誘発することがある(AVNRT:房室回帰性頻拍)。