急性膵炎と重症度判定基準
テーマ:消化器疾患以前にも急性膵炎について記事にしましたがhttp://ameblo.jp/bfgkh628/entry-11113849449.html 、
先日も重症急性膵炎の患者さんを熊本までヘリ搬送する症例があったので本日はガイドラインを復習してみようと思います。
急性膵炎の予後は重症度を反映する2つの指標、『臓器不全』と『膵壊死』により決定されます。日本では厚生労働省研究班が重症度判定基準(2008)を定めており、9つの予後因子に造影CTによる造影CT gradeを加えた2つの指標を柱としています。
この重症度判定基準では9つの予後因子のみでCTを撮影しなくとも重症度を判定できる特徴があり、さらに造影CTによるCT gradeでも重症とされるものは、より致命率が高いことが判明してます。
CT gradeの参考画像です
http://minds.jcqhc.or.jp/n/medical_user_main.php
重症度判定基準としては①予後因子が3点以上または、②造影CT grade2以上の場合を重症とします。
2003年全国調査で予後因子9項目中5項目以上測定された1337例での全体の死亡率は2.9%、軽症例での死亡率は0.83%、重症例での死亡率は19.5%でした。
下表は2003年の全国調査における改定重症度判定基準における重症スコアと致命率を示します
3点で11%、5点で25%、6点を超えると致命率50%を超えています。
また、改定基準の妥当性に関してプロスペクティブな検証が行われ156例全体の死亡率は2.6%でスコア2点以下には死亡例はなく、3点以上の死亡率は19.1%でありました。造影CT grade別の死亡率はgrade1が0%、grade2が14.3%、grade3が15.4%でした
下表は改定重症度判定基準における重症度予後因子スコアと造影CT grade別にみた症例数と致命率の検証です。
他の重症度評価としてRansonスコアやAPACHEⅡスコアなどもありますが、この厚生労働省の重症度判定基準(2008)はだいぶ普及してきていると思われます。各施設毎に臨床的検討はされているようであり小規模studyは散見します。今後大規模studyが実施されてこの重症度判定基準の再評価、より正確なスコアリングシステムの構築など期待されています。
しかしながら大事なことは初診時のスコアリングで予後因子2点以下でもモニタリングを慎重に行い経過観察が必要なことです。
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同期で船医をしたものがいますhttp://book.akahoshitakuya.com/b/4897068444
当時彼はまだ3年目の駆け出しで船医になり、知識も臨床経験も乏しい中で、また、簡易血液検査くらいしかできない過酷な環境でこの『急性膵炎』の診断をし、ヘリ搬送につなげました。
どんな状況であったのかあまり想像したくないですね(笑)。きっとお腹を一晩中痛がっていますが、補液と鎮痛薬と『励まし』のみで対応するしかありません。そしてPerforationやAAA rupture(切迫破裂)、disectionなど様々な緊急疾患に思いを巡らせ、ヘリ搬送するという判断を下さなければなりませんね(勿論、病歴や血液検査から容易に推定できたのかもしれませんが)。
普段からCTに頼っているとこんな時に無力になってしまいます。鑑別疾患を挙げるだけでなく、各疾患がそれぞれどのような症状、所見、経過を呈するのか、感度や特異度を考慮してProbabilityを高めていく訓練が必要です。
本日は以上です。









