本日は『好酸球増加症』についてです。
血液検査で偶然に『好酸球が高いな』と気づくことってありますよね。そのほとんどはアレルギーなどで問題ないものですが、中には『好酸球が高い』ことがきっかけになって診断できることもあります。
数ある鑑別疾患の中で何を注意すればいいのでしょうか?
好酸球増加は末梢血の好酸球が>500μlに増加したものをいいます。(450μlとするものもありますが、覚えやすいように500としています)
軽度: 500-1500/ul、中等度: 1500-5000/ ul、重度: >5000/ulと分類して考えるといいでしょう。特に1500μl以上に上昇していると通常のアレルギー性鼻炎や皮膚炎、喘息、食物アレルギーといった疾患としては高いなという感覚をもつといいでしょう。
原因には病態でわけて、
①感染症:寄生虫、アスペルギローシス(侵襲性アスペルギルス症)、結核
②腫瘍性疾患:好酸球性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ腫、菌状息肉腫、固形癌
③自己免疫疾患:関節リウマチ、結節性多発動脈炎、Churg-Strauss症候群
⑥アレルギー:喘息、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)
⑤医原性:薬剤アレルギー、コレステロール塞栓
⑥特発性:特発性好酸球増加症、好酸球性肺炎、好酸球性血管浮腫
とても多いですね。最も多い原因はアレルギー性疾患ですが、軽度の好酸球増加症の原因として漢方薬、生薬、健康食品などが見逃されていることが多いです。血算からだけでは鑑別できません。病歴と身体所見、他の検査所見が重要になります。
なかでも、中等度以上の好酸球増加症(>1500μl)を呈して診断にしばしば苦慮する疾患として次の4つを覚えておくといいかもしれません。
①好酸球性血管浮腫
②好酸球増加症候群(HES:hypereosinophilic syndrome)
③アレルギー性肉芽腫性血管炎(CSS:Churg-Strauss Syndrome)
④慢性好酸球性白血病(CEL:chronic eosinophilic leukemia)
喘息では通常1500μl以上になることは稀ですから、喘息の患者さんで好酸球が中等度以上に上昇していればCSSやABPAが頭によぎるといいでしょう。ABPAの診断はしばしば困難なことがありますが、まずは疑うところから始まります。
好酸球性血管性浮腫は若い女性(平均28歳)の急激な四肢遠位の著名なnon-pitting edemaで発症し、初診時から著名な好酸球増加を認め、ほとんど無治療もしくは少量のステロイドで軽快します。浮腫は2-3週目がピークで以後改善し好酸球は3-4週目がピークで減少していきます。
好酸球増加症候群は高度の好酸球増加の持続、他の好酸球増加をきたす疾患の否定、好酸球浸潤による症状や徴候などがあることで診断します。アレルギー性肉芽腫性血管炎との鑑別が重要ですが、CSSは気管支喘息と好酸球増加が先行して血管炎を発症する疾患です。(皮膚生検で血管炎の所見をみたり、末梢神経伝道速度で末梢神経障害の有無をみることで鑑別していきます)
骨髄芽球が増加していれば慢性好酸急性白血病を疑い骨髄検査や染色体分析をして診断します。
本日は以上です。
血液検査で偶然に『好酸球が高いな』と気づくことってありますよね。そのほとんどはアレルギーなどで問題ないものですが、中には『好酸球が高い』ことがきっかけになって診断できることもあります。
数ある鑑別疾患の中で何を注意すればいいのでしょうか?
好酸球増加は末梢血の好酸球が>500μlに増加したものをいいます。(450μlとするものもありますが、覚えやすいように500としています)
軽度: 500-1500/ul、中等度: 1500-5000/ ul、重度: >5000/ulと分類して考えるといいでしょう。特に1500μl以上に上昇していると通常のアレルギー性鼻炎や皮膚炎、喘息、食物アレルギーといった疾患としては高いなという感覚をもつといいでしょう。
原因には病態でわけて、
①感染症:寄生虫、アスペルギローシス(侵襲性アスペルギルス症)、結核
②腫瘍性疾患:好酸球性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ腫、菌状息肉腫、固形癌
③自己免疫疾患:関節リウマチ、結節性多発動脈炎、Churg-Strauss症候群
⑥アレルギー:喘息、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)
⑤医原性:薬剤アレルギー、コレステロール塞栓
⑥特発性:特発性好酸球増加症、好酸球性肺炎、好酸球性血管浮腫
とても多いですね。最も多い原因はアレルギー性疾患ですが、軽度の好酸球増加症の原因として漢方薬、生薬、健康食品などが見逃されていることが多いです。血算からだけでは鑑別できません。病歴と身体所見、他の検査所見が重要になります。
なかでも、中等度以上の好酸球増加症(>1500μl)を呈して診断にしばしば苦慮する疾患として次の4つを覚えておくといいかもしれません。
①好酸球性血管浮腫
②好酸球増加症候群(HES:hypereosinophilic syndrome)
③アレルギー性肉芽腫性血管炎(CSS:Churg-Strauss Syndrome)
④慢性好酸球性白血病(CEL:chronic eosinophilic leukemia)
喘息では通常1500μl以上になることは稀ですから、喘息の患者さんで好酸球が中等度以上に上昇していればCSSやABPAが頭によぎるといいでしょう。ABPAの診断はしばしば困難なことがありますが、まずは疑うところから始まります。
好酸球性血管性浮腫は若い女性(平均28歳)の急激な四肢遠位の著名なnon-pitting edemaで発症し、初診時から著名な好酸球増加を認め、ほとんど無治療もしくは少量のステロイドで軽快します。浮腫は2-3週目がピークで以後改善し好酸球は3-4週目がピークで減少していきます。
好酸球増加症候群は高度の好酸球増加の持続、他の好酸球増加をきたす疾患の否定、好酸球浸潤による症状や徴候などがあることで診断します。アレルギー性肉芽腫性血管炎との鑑別が重要ですが、CSSは気管支喘息と好酸球増加が先行して血管炎を発症する疾患です。(皮膚生検で血管炎の所見をみたり、末梢神経伝道速度で末梢神経障害の有無をみることで鑑別していきます)
骨髄芽球が増加していれば慢性好酸急性白血病を疑い骨髄検査や染色体分析をして診断します。
本日は以上です。