前回は『緊張性気胸』の対応から見える救急事情をお話をさせて頂きました。折角なので『気胸』ついてのマネージメントについて簡単にお話させて頂こうと思います。


①外傷性か自然気胸か 自然気胸でも1次性か2次性か・・・気胸を分類する


②気胸の大きさはどうか 気胸率が15~20%をこえていないか・・・経過観察or穿刺吸引or胸腔チューブの判断


③胸腔チューブ挿入の仕方


④chest drainage bagの見方、管理・・・・・ここのサイトにすばらしく丁寧に説明してあります。(http://tnagao.sblo.jp/category/1122686-1.html


⑤water sealと持続吸引



⑥胸腔チューブ抜去と手術のタイミング



①としてまず、気胸を分類することが大事になります。気胸は原因により自然気胸と外傷性気胸、医源性気胸に分かれ、自然気胸も1次性と結核後やCOPD、喘息、サルコイドーシスなど肺に基礎疾患をもっている場合の2次性に分類されます。外傷性や医源性、2次性の自然気胸の場合は基本的には穿刺吸引でなく胸腔チューブ挿入を第一選択とする。


②1次性自然気胸で小さい気胸(臓側胸膜~壁側胸膜間距離が2cm未満、肺尖から3cm以内、気胸率15~20%以下)の場合は経過観察(救急室で3-6時間様子をみて悪化しないことを確認)で良い。しかし増悪するようであれば穿刺吸引や胸腔チューブ挿入を考慮する


大きい一次性自然気胸は従来胸腔チューブ挿入を第一選択としていましたが、実をいうと穿刺吸引は試す価値があるのです。穿刺吸引も胸腔チューブ挿入も治療成績は殆ど変わらないだけでなく、痛みや入院期間も考慮すると穿刺吸引もまず試してみてもよいと言われています。しかしながら①3-4L引いても肺が広がらない場合や②2回穿刺しても広がらない場合は胸腔チューブにしたほうが良いでしょう。


③百聞は一見にしかずです。(医療関係者以外の方は見ないほうが良いかもしれません)(http://player.video.search.yahoo.co.jp/video/55b990281e98bd3b3ba2ae289026d63c?p=chest%20drainage&b=1&dr=&pd=&st=&s=&ma=&of=&from=srp&rkf=1&r=3


・肋間動脈の損傷、再膨張に伴う肺実質からの出血、再膨張性肺水腫(後述)などの合併症もきちんと説明できるようにしましょう。(私は呼吸器の先生が肝臓に胸腔チューブをつっこんでいるのを見たことがあります。挿入にはかなり抵抗があり、出血もしていました。腹腔内臓器損傷の可能性もきちんと説明しましょう)


④chest drainage bagの管理は重要です。ここを知らずして気胸の治療は語れません。しっかり理解しましょう。


自然気胸の場合はまずはwater sealをし、その後24~48時間経過しても再膨張が得られなければ持続吸引することを勧めています。これは再膨張性肺水腫という肺が膨らみ血流が増え血管透過性が亢進することにより生じる肺水腫を防止するためでもあります。発症から経過が長く(24時間以上)、気胸率の大きい(30歳以上)場合は要注意です。多くは24時間以内に発生します。



⑥胸腔チューブは1週間程度して完全に肺の再膨張が得られれば抜去も可能ですが、air leakageの有無の確認のためにクランプテストをすることもあります。もしair leakageが続いていればクランプすることにより緊張性気胸を作っ手しまう可能性もありクランプテストに関してはcontrovertialです。


一次自然気胸なら4日、二次性自然気胸なら5日間様子みてもair leakageが持続する場合は手術の適応となります。


以上です。