【インタビュー】創業10周年のグーグル、エンタープライズ事業への注力をあらためて明言
9月9日11時59分配信 Computerworld.jp
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080909-00000000-cwj-sci


インターネット検索のノウハウを企業内検索に適用した「Google Search Appliance」

 今月で創業10周年を迎える米国Google。同社の屋台骨を支えているのはオンライン広告だ。しかし同社エンタープライズ部門の製品管理ディレクター、マシュー・グロツバック(Matthew Glotzbach)氏は、今後も継続してエンタープライズ事業にも注力していくと明言する。「エンタープライズ市場でMicrosoftやIBMなどと徹底的に戦う方針だ」と語るグロツバック氏に、その戦略を聞いた。

――Googleは検索エンジンでの広告やユーザー獲得で、世界最大手の地位を確立している。なぜ企業向けのコラボレーション/コミュニケーション・ソフトウェアという困難な市場を、ホスティング型アプリケーション・スイートの「Google Apps Premier Edition」で攻めようとしているのか。

グロツバック氏:検索サービスでスタートしたGoogleは、さまざまなオンライン・アプリケーションを提供し続ける中で、「いかにしてすぐれたユーザー体験を提供するか」という根本的な視点を追求している。その姿勢は将来もまったく揺るぎない。

 われわれはコンシューマーに提供しているすぐれた体験を、企業にも提供することを目指している。より多くのコンシューマー向けの技術が企業に定着するとともに、この傾向をさらに促進させ、そのすぐれた使い勝手や機能をビジネス環境に応用するチャンスも増えると考えている。

――Google Apps Premier Editionやエンタープライズ検索の「Google Search Appliance」といった製品は、エンタープライズ製品市場でライバル・ベンダーと競うことになる。どのくらいのビジネス・チャンスがあると見ているか。

グロツバック氏:ビジネス環境で使われるITは、非常に大きな市場だ。われわれが手がけているコミュニケーション、コラボレーション、検索といった分野の市場規模は、数十億ドルに上る。われわれはこれらの市場向け次世代技術のリーダーだと自負している。


 クラウド・コンピューティング・モデルにおけるわれわれのアプローチは、コンピューティング方法に次の一大変革をもたらすものだ。われわれはクラウド・コンピューティング・モデルをベースに、Googleにとって2番目に大きなビジネスを構築する莫大なチャンスがあると考えている。

――エンタープライズ分野の製品を継続的に開発するためには、長期的な投資が必要だ。Googleの経営陣はエンタープライズ事業にどの程度コミットしているのか。

グロツバック氏:経営陣はエンタープライズ分野に全面的にコミットしていると断言できる。2007年7月にメール・セキュリティ・ベンダーの米国Postiniを6億2,500万ドルで買収したのが、その好例だ。これはGoogleの過去3番目の大規模買収であり、われわれのコミットを具体的に証明している。

――エンタープライズ市場には、MicrosoftやIBM、Cisco Systems、Salesforce.comなど、同分野に長く取り組んできた競合ベンダーが存在する。さらにYahoo傘下のZimbraや、AdventNetが提供するZohoなども規模は異なるがライバルとなる。これらのベンダーとどのように戦っていくのか。

グロツバック氏:確かにわれわれは同市場で比較的新参だ。しかし、実績あるGoogleのインフラを利用してすばらしい基盤を構築しており、クラウド・コンピューティングの主要な推進企業として10年の歴史を持っている。あなたが挙げたエンタープライズ・ベンダーの多くも、それほど“しにせ”とは言えない。Microsoftも“しにせ”と呼ぶには無理があるだろう。

(Juan Carlos Perez/IDG News Serviceマイアミ支局)