「桃の木」御田町 & ワインで楽しむシノワ & 嬉しいガッカリ | KISHO director's blog

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人生のほとんどを広告マンとしての「食」に特化して考えてきた。愛食家として、これからは新しい観点で日本の「食」を考えていきたい。
もう一つ、人生とクラブライフ「ゴルフ」だ、太平洋クラブと富士カントリークラブの日常、箱根御殿場ライフを綴る。

人から色々な意見を聞かれたり、店の品格や美味さ具合を知らして来る店に、この「桃の木」がある。先日も三田に引っ越したのなら、是非行かれたらと言う話も頂いている。

これ好日と、気の向くままに行って来た。イタリア大使館から綱坂を下って、そのまま魚藍坂方向へ、慶応の女子を右に見て中の橋方向に右に曲がる。通りを入って直ぐの右側マンションの一階「桃の木」。
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中国イメージと言うよりも、シノワズリーといった雰囲気の店内、中国料理としては狭いながらカウンターキッチンをしているが、何となくイタリアンぽい気楽な雰囲気。係りの女性が、早速飛んできて、色々とこの店なりの話を聞かされた。話によると台湾系の食材を効果的に使っているそうだ。

まずは、ビールに松の実を素揚げした物。

目の前には、中国料理とは思えないワインのボトルが並ぶ、しかし、洗ってあるとはいえ所詮・・・・空瓶。
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続いて前菜が二品・・・・かぼちゃと乾燥肉を会えたものと、塩玉子を揚げゆばの様な物と甘酢で絡めてビールにヨークあう。恵比寿麦酒をお換わりしてしまった。
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注文の時に、冷凍物なら「いらないよ」と、言っておいた「小籠包」・・・・皮はもっちりしていて美味しい、肉も適度な甘さが有って大きく中々の物、しかし、ぬるいのだ・・・・熱々ではない。この魅力は、ハフハフしながら舌を火傷するくらいで食べるもの。蓮華に載せた肉汁が、もう一つの楽しみとなる。
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色々野菜の炒めもの。最近入り出したイタリアの野菜や洋野菜をからめている。この野菜の選びかたに、何処となく新しい中国料理のセンスを感じる。塩肉とスープを上手く使っての炒め物で恐れいった一品・・・・美味い。
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上海焼きそばとは言っているが、黄ニラとネギの相性は抜群だ、XOジャンで仕上げている。ただ麺は細い方が私好みだが台湾風か、太い。
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乳度の高いアイスクリームと、最近流行りの持ちのいいブドウ。段々普及してきて、一般の店でもお目にかかることがしばしだ。チョッと苦みの強い鐡観音で食べるデザートは、久々に納得。マンゴプリンでないのが、今を時めく名声の店である由縁かもしれない。
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最後の仕上げに老酒を貰った。何を持ってくるか楽しみにして、持ってきてからブランドを聞いたが「古越龍山」とのこと、ちょっとがっかりだった。永昌源と言うブランドだが、何年か前にキリンが買収してしまった。それは中国料理店でビールのシェアーを増やすための物。もう一つ、永昌源の場合は日本製だからエグミ、臭みが消えていること。魯迅の愛した・・・・紹興酒ではないのが残念。
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オープンキッチンで鍋一つ。何処の中国料理店でもありえない厨房の設え。どう言うことかと言うと、一人のシェフしか鍋の前で活躍く出来ない。つまりは小林料理長専用と言うこと。

蒸し、揚げ、コールドなどバラエティーに富んで料理を出すと言う意味のこともあるが、鍋前にしては目が届かない。気心の知れた、いいスタッフが居ると言うことでもある。
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「三田」を「御田」と読ませる。とは言っても過去には実在した町名。そんな拘りが、料理や店の細かい設えや拵えに出てくる。料理のベースは台湾料理だと思うが、上海料理など名料理をかなり一生懸命に学んでいる。しかし、どこか家庭料理の風情を残した料理癖の様なものは・・・・台湾だ。


だからと言って、この料理の美味しさを云々と語るのは難しい。それは、中国料理の技法を使っているが、中国料理ではないからだ。かつて、スパイスや香辛料の使い方は似ているが限界に挑戦した男がいる。

曾兆明だ・・・・横浜駅前の「嘉宮」の総料理長。その後、蓬莱倶楽部、兆明と手がけたが、若くして亡くなってしまった。


「古越龍山」は純粋な日本製・・・・紹興酒とは呼びにくい。しかし、この酒の様に、中国料理も日本ならではの料理として定着することは嬉しい事だ。日本人の感性で作る新しい中国料理、日本ならではの「物作りの精神」が今時の料理界に警鐘を与えているようだ。



トラディショナルではない、オーセンティックでもない。

ジャパネスク シノワ・・・・という新しいジャンル。