●多読で語彙は増えるのか?
私はインプットを増やすのに多読を
すすめていますが、今回は
第二言語習得研究の見地から
とくに語彙増強にどう影響するか、に関してです。
Krasshen(クラッシェン)はアメリカでの母国語教育
研究で本をたくさんよむことで、読解力、表現力、
語彙や文法が身につく、と主張しています。
第二言語でもそれがあてはまるのでしょうか。
辞書などで意味を確認しないで、読んだあと
新出単語についてテストした場合、
Pitts(ピッツ)の研究では6.4%しかそれらの単語を
覚えていませんでした。これは納得できます。
一回読んだだけで、テストされても
「なんだっけなーそんな単語でてきたっけ?」
と生徒はなったに違いありません。
しかしParry(パリー)の研究では、
4人の被験者に新出単語を推測させて読ませた場合
新出単語の12%-33%を学習できたそうです。
その他Horst(ホースト)やKnight(ナイト)も20-30%の
間で学習できたそうです。ですから何も考えないで
読むよりも知らない単語を推測しながら読むと、3,4倍の
割合で多くの単語を学習できることになります。
またWaringの研究では読んだ直後では18.4%の単語を
類推することができましたが、3か月後には平均3.6%しか
覚えていませんでした。これもわかります。読みっぱなしで、
3か月後に覚えていられるか?と考えたら私自身、覚えてられない
と思います。ですから目にしただけでは、覚えられません、という
結果が出ています。
ではどうしたらいいか。
語彙力をつけるには多読だけをすればいいのでは
ないのだと思います。初心者の方はとくに
多読と併用しながらノートを
作って新出単語を書きだしたりしてください。
そして繰り返しそのノートを見て復習しないと、なかなか
新出単語は記憶に残りません。読みながら作っていくと
その後何回も同じ新出単語に出くわす可能性が
高まりますから有効です。
先生がいるならその先生にフォローアップのテストを
してもらったりしてもいいでしょう。
通常は内容にフォーカスして読むのが多読の基本です。
また多読をしていくことにより、英語の感覚が磨かれます。
自分が楽しめる英語の本をたのしくたくさん読むのが
いいのです。
ですが語彙増強にフォーカスするなら
エクストラな作業が必要だと思います。
なぜなら語彙力は記憶力と深く関連しているからです。
まとめ:語彙を増やすには単語を推測しながら読む。
ノートづくりをするなど単語を覚えるためには
多読と併用した作業が必要である。
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(Today's オマケ dialog)
A: I thought that you lived on the 4th floor.
(君は4階に住んでるとおもったけど?)
B: No, on the 5th floor.
(違うわ、誤解よ)