Re: Ecm : Ricardo Villalobos & Max Loderbauer | Yokohama Beat Junkie

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Re: Ecm : Ricardo Villalobos & Max Loderbauer

僕はジャズに全く明るくないんですが、ドイツにECMという老舗ジャズレーベルがあるらしい。このレーベルはジャズ専門ではなく、クラシックや現代音楽などの分野も手がけているとのこと。そのECMから「Re:ECM」というリミックス盤がリリースされた。対象となる音源は、過去にECMからリリースされた様々なアーティストの音源。

リミックスを手がけるのは何と、Ricardo VillalobosとMax Loderbauerという面子。前者は言うまでもなく現代ミニマルテクノにおける最重要アーティスト。後者も言うまでもなく、古くはSun Electricとして、最近はMvOTの一員として活躍しているジャーマン・エレクトリック・シーンの生き証人的存在。そんな二人がタッグを組んで、ジャズ~現代音楽をリミックスしたら一筋縄で行くわけがない。

この組み合わせから想起されるのは、かつてクラシック名門レーベルのグラモフォンからリリースされた、Carl CraigとMoritz von Oswaldのカラヤン再構築盤(過去レビュー)。あの作品も相当キまくっていたけど、本作の組み合わせも正気の沙汰とは思えないもの。聴いてみたら、やはりとんでもなくエクスペリメンタルで哲学的で難解なシロモノだった。いや、肩肘張らずにソファーに腰掛けてゆっくりと聴いてほしい。静謐な空間の中に佇んでいる狂気、粘り気があって有機的な重低音、断片的に切り刻まれていくリズムと陰鬱に漂っていく持続音。ECM音源に最大限の敬意を払ったであろうと推察されるリミックスは、これまでに味わったことのないエクスペリエンスを提供してくれる。また、彼ら二人にリミックスを委ねたECMの英断もプログレッシヴだ。静かな部屋で、大音響で聴くべきヘッドミュージックです。