2010/09/18 Theater: precious | **コティの在庫部屋**

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「プレシャス」

Precious


大変にヘビーな内容であること、母親役のモニークの虐待がオスカーGETの破壊力を持つことなど、

話題には事欠く事ない作品だったので、一瞬見るのを躊躇したが、

どうしてどうして、決してウェットになる事なくこのストーリーを描き切っていた辺り、さすがアメリカ映画。

そう、この作品の救いは、そこはかとないおかしみを感じさせるユーモアあるシーンの多さと、

主人公プレシャスの、「そこまでかよ!」といいたくなる程の誇大妄想癖ww

と書くとなんだか誤解されそうだけど、とにかく、そのくらい妄想でもしなけりゃ生きていけない程に、

彼女の背負わされた現実は過酷この上ないのだ。

妄想の中での彼女自身のセレブっぷりが板についていればいる程、運命の残酷さを思い知る事となる。


が、今も書いたように、とにかく重い話を重くは描いていないため、見るのが辛いという事もない。

確かに、母親の虐待、というか仕打ちは見るに耐えかねるところもあるけど、

まあ、それは、逆に、アカデミーものなんで。

それより、スッピンというかスッピン以上にやつれた感出しまくりでよくやったマライア・キャリーや、

素敵でイケてる助産師役のレニクラ、そして美しくて優しくて芯の通った教師役のポーラ・パットン、

こっちに注目して欲しいと思う。


現実の美しさに気付き、妄想の象徴だった赤いスカーフを手放した瞬間から彼女を待ち受ける運命は、

決してお話の世界ではなく、今起こり得ている事実なのだろうけれど、

それすらも受け入れ、人を愛し、人に愛される存在となった彼女にもう恐れるものはない。


そんな彼女に、障害も不義もヘッタクレもないのだ。

自分がここに生きている。生きる意志を持って。それだけで十分だ。