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2013年06月24日(月)

九死に一生Ⅵ

テーマ:過去の想い出

お姉ちゃん、着いたよ。


妹の声にハッと我に返った。


そこは10時間前、パパと一緒に救急車に乗り込んだ

マンションの車寄せ。



部屋まで一緒に行こうか?



ううん大丈夫・・・。ありがとう。もう大丈夫だから・・・。






大丈夫な訳はない・・・大丈夫なんかじゃない!


でも、パパの口癖の言葉・・・「大丈夫」を唱えてないと


前が見えない・・・。



深呼吸して玄関のドアを開ける。


いつになく重たく感じた。



毛深い息子がドアの先端で鼻先をくっつけて私の帰りを待っていた。


正確には私とパパの二人が帰ってくるのを待っていたのだろう。



私の後ろを覗きこむようにしてパパを探してる。


そしていない事を確認すると、今まで聴いた事のない遠吠えをして泣き叫んでいる。




ウォーーーーン  ウォン ウォン ウォン 


ウォーーーーーーン


クゥーーーーン  クゥーン クゥーン クゥーン クゥーーーーーン


 

ウォーーーーーン    ウォーーーーーーーン 



上手く表せないが、文字にするとこんな感じだったと思う。


私にはわかる。毛深い息子ドンも私と同じ淋しさ、哀しさを感じている事を・・・



パパはどうしたんだよ!何があったんだよ!なんで帰ってこないんだよ!



ドンがそう言っているのが良くわかった。



私は、ドンの大きな体を抱きしめた。


ドンは私の肩に顔をのせて身じろぎもしない。


それを良いことに私はドンの首すじに顔をうずめて

泣いた。


そして溢れ出る私の涙を一生懸命舐めて拭ってくれた。



ママ!大丈夫だよ!パパは必ず帰ってくる!!



臆病なドンとおっちょこちょいの私はパパにいっつも

大丈夫だよ!と励まされた。 


自分だって散々さっきまで泣き叫んでいたのに、


私が泣いてるとちゃんとパパに


代わって私を励ましてくれる。


これ以上の心強い事はなかった。



ドンちゃん、少し寝なさい。



ドンをベッドに誘導して少しの間添い寝をしたら、


安心したのかあっと言う間にイビキをかきはじめた。



この間に入院の準備をしなくちゃ・・・



通常入院の準備となれば、パジャマに下着に・・・となるが病院からはそれらの指示は当然ながら一切ない。


まずは48時間、パパが生きていられるかどうか・・・


話はそこからだ。



私がバッグに入れたのはパパの健康保険証1枚

だけ・・・。




結局一睡もせず朝11時にパパの家族と病院に向かう。



ICUに入ると、女医(主治医)が既にパパのそばにいた。




Kちゃん! きんちゃん! ビビ!(家族の中でのあだ名)


皆で代わる代わる各々の呼び名でパパを呼びかける。


返事などないことは百も承知だ。


ただ、誰よりも淋しがりやで病院嫌いな臆病なパパに

 

「一人じゃないんだぞ!心配すんな!大丈夫だぞ!」


そう伝えたかっただけだった。



その皆の思いが最初の奇跡を起こした!


パパがわずかに反応したのだ。



私もパパに呼びかけた。


Kちゃん!わかる?わかったらこの手を握って!


パパはかすかだが確実に私の手を握ってくれた。


私はすかさず先生!と声をかけた。



一番驚いていたのは主治医の方だった。



奇跡です!考えられません!これなら闘えます!



否定的な話しかしなかった主治医が初めて前向きな言葉を言ってくれた。



これなら闘えます!




しかしこの闘いが安易な道のりでない事を私たちはまだ気づいていなかった・・・。



続く・・・。































 






 



















 























ICUに歓声があがった!
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