去年の今頃、ドラえもんの鉄人兵団を観たんですよ旧劇場版を。当時ダビングしてなかったので多分幼稚園か小学生の時に一回観ただけの記憶で。
もうクッソ泣いたので逆に怖いもの見たさでリメイク版も借りてみようとしたらビデオ屋に置いてなくて。
旧作は5本ぐらい並べてあるのにリメイク版は置いてないという事実に「そんなもんか」と関心無くなって1年後、今日行ったら1本だけあったのでレンタルしてみました。
◯ジュ、ジュドが・・・
ザンダクロスの頭脳がヒヨコになっちまっただー!!
予告編観た時点でひっくり返りそうになった。あの原作で恐怖の対象だったジュドをヒヨコにするなんてよくもまあそんな発想が・・・でも見続けてるとこれはこれでありと思えてきた。
◯ドラえもんのキャラが違う
俺は新ドラえもんはたまにフレッツのCMで目にするぐらいで全然知らなくて、今回初めてまともに観たんですけど、冒頭暑くてイライラしてるとはいえあまりのそっけなさにビックリした。
のび太「ドラえもーん」
ドラ「暑い、離れて」
のび太「大きくて歩いてミサイルも出るロボットがほしーい!」
ドラ「そんなの、もう持ってるだろ」
のび太「え、どこに?」
ドラ「ここ」
のび太「ヤダヤダヤダヤダー!こんなのヤダー!大きいのがほしーい!」
ドラ「やかましーい!!ボクというロボットがありながら何という言い草!だいたいそんなでかいロボットがいったいいくらすると思ってんだ!この暑いのにワガママばっかりギャーギャーギャーギャー!」
旧作では・・
ドラ「え!ビルみたいな大きなのを出せ!?」
のび太「スネ夫やジャイアンをギャフンと言わせたいんだよー」
ドラ「もう、気軽に言ってくれるなあ・・いいかい!そんなでっかいロボットをどこに置くんだ!それにタダじゃないんだぞ!いくらすると思ってるんだ!」
のび太「ケチー!」
ドラ「ケチとはなんだ!」
のび太「ケチ猫!」
ドラ「ああ、それをいっちゃあおしまいだ!」
と常識的な返答をしています。
以前どっかで大山のぶ代御大は「ドラえもんはのび太くんの保護者のように思ってる」みたいな発言を目にしましたが、この新ドラえもんは「のび太のツレ、友人」ポジションになってますね。
中盤でのび太が「釣り堀の話はしないで!」とキレた後、「釣り堀・・鏡・・もしや!」と感づくドラえもんの顔がやけに怖く感じた。原作や旧作では驚愕してる感じだったのに。
つかリメイク版では「釣り堀・・鏡・・」といいながら飯を食い続けており全然リアクション違いましたね。
裏山で後をつけてきた時も、
原作「さあこうなったら何もかも打ち明けてもらおう」
旧作「のび太くん、君の知ってること全部話してくれるね?」
新作「さあ何もかも打ち明けてもらおうか!!!(半ギレ)」
ドラちゃん、何もそこまで怒らんでもええやねんの。
◯ザンダクロスの武器が変わってた
しずかちゃんが誤ってビルを破壊する兵器が胸のビーム砲から目からのレーザーに変更されてました。
◯ビルが崩れるのに無音
ここはショック系のBGM流すほうがよかったんじゃあ・・
◯総司令官の声に驚愕
副官みたいなのが龍田直樹氏というのはすぐにわかったけど、この総司令官はずっと誰かわからずED見てびっくり。極楽の加藤だった。
素晴らしい演技だったな。
◯台詞のカットにひっかかる
総司令官が攻撃していたのが鏡の世界と気づくシーンで、
「ここは巧妙に作られた偽の世界だ!!おのれー目にもの見せてくれる!」
と言うんですが、ここは「ここへ来る時に湖へ飛び込んだ!あの外に本当の地球があるんだ!」ときちんと説明すべきでは。
「きさまら4人だけか?我ら鉄人兵団相手によくぞ戦った!だがついに最後の時がきたのだ!」や
しずかの「たったの4人で何万という鉄人を相手に・・」がカットされたのも残念。
◯リルルがしずかを殺そうとするシーンもカット
やはりハードだからか?
町に金属探知チョークひくのもカットだったな。
◯湖で信号を送るのがスピーカーになってた
「ザンダクロス!信号を止めろ!!」
という旧作のシーンがカッコ良かっただけに残念。
◯即席落とし穴で闘う第1ラウンドがカット
鉄人兵団はいきなり森を焼き払っていきます。
ってちょっと待て。
なんでいきなり焼き払うんだ?この時点ではまだ湖付近に敵がいるとは知らないはず。
ドラえもんたちの待ち伏せ攻撃&山びこ山での反射攻撃を受けて「大部隊の待ち伏せだ!降下!」と降りて行って、ジュドの思わぬ攻撃を受けて海外の主力部隊が戻るまで引き上げたのに。
そもそも鉄人兵団が森を焼き払ったのは森に潜んでいる地球人からの攻撃に備えて「見通しをよくするため」であって・・・
原作&旧作では鉄人兵団は「地球人の大部隊が待ち伏せしている」と思っているから当然の行動だと思います。山びこ山の効果で「一筋縄ではいかんぞ!」とまで言わしめましたからね。
しかしリメイク版ではいきなり焼き払う理由がよくわからない。動機って大事よ動機。
◯でもクライマックスは盛り上がった
ザンダクロスの闘いが凄絶。
旧作で物足りなかった人には溜飲を下げる演出だったのでは。俺もその一人。
まさか両腕両足が破壊されるほどの闘いをみせてくれるとは・・
しかし原作と旧作では目立った武器が胸のビームだけでしたけど、リメイク版では目からレーザーキャノンが出るわ、両肩からミサイルの16連射は飛び出すわ、これ絶対工作用ロボットじゃないやろと。
むしろお前ら鉄人兵団の中でも最強を誇る兵器じゃないのかと。これを「ゴミ」と罵る鉄人兵団を小一時間問い正したい。
これでダイヤモンドコーティングやプラズマグレネイドでもあればほぼGフォースの兵器。
◯博士が死んだ
ゲェーッ!
脇役とはいえ、ドラえもんでキャラが死ぬって極めて異例じゃないか?
馴染みのある声だなあと思ってたらナイトライダーのデボンの中村正氏でした。
◯あまり泣けなかった
なんでだろう、と思ったら何の事はない。
しずかの「リルル~!」という涙の絶叫がなかったからでした。
これはオリジナルに勝るものはないと思う。
でもリメイク版も目頭熱くなりました。
◯総評
思ってたよりはだいぶ良かった。
予告編でヒヨコ観た時はもう観ないで返そうかと思ったりしましたが、いざ観てみるとあの「ピッポ」というキャラがちゃんとたってたため、違和感なく世界観には溶け込んでいたなとは思います。
この「ピッポ」が好きになれるかどうかでかなり評価変わるだろうなあ。
あ、終盤タイムマシンで3万年に行く云々の時点で初めてミクロスがいないことに気づきました。
そりゃあんだけピッポが出張ってたらミクロスの出る幕ないわな。
◯ついでに旧作観たときの「なう」をまとめておく
俺 は こ ん な 凄 絶 感 動 な 作 品 を 小 学 生 で 観 て い た の か
一言でいうとクソ泣いた。そしてやはり古い作品のほうがテンポが良い。ねじ巻きも内容は良かったが「長いなあ」とは感じた。しかし鉄人兵団や前作小宇宙戦争には冗長さを感じさせないテンポの良さがある。
東京、ニューヨーク、パリ、イギリスを壊滅させる鉄人兵団の兵力はハンパじゃない。
切り札のザンダクロスが倒された時のあの絶望感もハンパなかった。アニメではカットされていたが原作にはしずかのこんな台詞がある。「たった4人で何万という鉄人を相手に・・」
そしてやはり聞こえてきた兵団:広瀬正志氏の御声。映画ドラえもんでは高確率で出演されている。
ドラ悪役声優といえば、内海賢二御大(主にラスボス)、屋良有作氏(ドラコルル等)、郷里大輔氏、家弓家正氏、柴田秀勝氏(ギラーミン)、そして広瀬正志氏だ。
リルル消滅時のしずかちゃんの涙の叫びと号泣の演技は凄い。ええ年こいたおっさんが泣いてしまうぐらい。これと比較されるのは二代目の人がかわいそうなくらい凄い。文句のない神作品でした。