何を好きこのんで、俺みたいなエロゲオタに惚れたんだか。
今でも信じられん。
まあ、きっと|麻疹《はしか》みたいなもんだろう。
そのうち熱も引いて飽きてくれる。
それまで、綾女が何をしてくるのか……それはわからんけど、終わるまで耐えるしかない。
……終わるまで引きこもりになりたい。親が許してくれないだろうけど。
「はぁ……」
深い溜息が出た。
幸せ、ひとつ、逃げてった。
ティファニー
少し早めに登校して、俺は心の準備をする。
クラスメイトたちも、まだ半分程度しか来ていない。|外崎《とざき》もまだいなかった。
どうせ、綾女が来るのは本鈴間際だ。
それまで少しでも、この閉じられた学校という空間で、何が起こっても対応できるように、イメージトレーニングをする。
ガラッ、扉を開けて綾女がやってきて。
「おはよう、|新宮《あらみや》」
そして、こんな感じで俺に挨拶――って、イメージじゃなくて、本物じゃねーか!
なんでこんなに早いんだよ! 今日に限って!
「お、おはよう……。きょ、今日は、早いな……?」
心の準備ができないまま、戦線へと投入された。
まだ覚悟もできていないのに!
僅かにいるクラスメイトたちの視線が肌に刺さる。
「あ、ああ。聞きたいことがあってな」
「な、なに?」
「プリンセス?ウィークデイで、リティってキャラいるだろ? あれ、どうやって攻略するんだ?」
………。
……………。
…………………ティファニー ハート ネックレス。
はっ!?
「おい、新宮、聞いてるか? リティってキャラを――」
「うわおおおおおおおおあおおあああああああああああああおおおおおおおおおおおおあおおああおおおおおおおおおおおおあおおあああああああああああああおおおおおおおおおおおおあおおあああああああああああああおおおおおおおおおおあ!!!!!!」
昨日の綾女がどうとか、綾女が不良などという些事は一瞬でふっとんだ。
「な、なんだよ?」
席から立ち上がる。
次に綾女の腕を掴んだ。
「えっ」
驚く綾女に構わず、俺は彼女を強引に連れて教室を出る。
そして、まったくと言っていいほど人の来ない階段の踊り場へ向かった。
到着し、誰も人がいないことを確認して――。
「あ、あ、あ、あ、あ、アホかああああああああああああああああああ!!!!!!」
「ど、どうしてだよ!テファニー 意味わかんねぇよ!」
綾女はまるでわかってなかった。
「プリンセス?ウィ