ソフトバンクは倒産するのか? | OVERNIGHT SUCCESS

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ソフトバンクは倒産するのか?しないのか?


投資資金の調達コストが20%の利息。


かなり厳しいのでは???




倒産???生き残り??ここクリック!びっくりした?








解体されるソフトバンク



山本一郎(イレギュラーズ アンド パートナーズ代表取締役)




自転車操業を続ける通信会社


http://voiceplus-php.jp/archive/detail.jsp?id=140






 IT業界も他のあらゆる業界と同じく、栄枯盛衰や成熟カーブの呪縛からは逃れられない宿命をもっている。一時期は情報革命は永遠に続くなどといわれたものの、日本経済の失調とともに、IT業界にも不況の波が押し寄せている。本来なら再編待ったなしの状況だが、茹で蛙の逸話どおりに、保有株式や不動産を切り崩しながらリストラ策をせっせと組み立てている不振企業が多いのも実情だ。



 IT業界といっても、経済の「へそ」のようなもので、いまやデジタルに関連しない業界など見当たらないというほど、社会全体に影響力が広がっている。かつて日本経済を戦国時代に例え、鉄砲の普及が合戦の様式を変えた逸話になぞらえる言説が目立ったが、狭義のIT業界で考えるならばそれほどバラ色の業界ではなく、成長率自体は大きく鈍化しはじめている。



 ネット広告業界は毎年2割以上の伸びを示したが、ここにきて伸び率自体は8%台に低迷。売り上げの急成長を前提に投資家の人気を集めてきたIT関連銘柄は、他業種と同じく不振に陥った。



 デジカメや液晶ディスプレイなどIT周辺のハイテク関連や部品においても、不況で在庫が積み上がり、「デジタルだから」良いのではなく「デジタル関連は手掛けて当たり前」の状況となった。成長率の低下で誰もが成長できる状況ではなくなり、不況下日本での勝ち組IT企業と、負け組で文字どおり倒産や身売りの危機に瀕する企業とに、くっきり明暗が分かれる状況になっている。鉄砲だけあれば戦争に勝てるというわけではないのだ。



 大まかに分けて、IT業界自体はいくつかのセグメントに分かれる。「サービス層」「プラットフォーム層」「ネットワーク(インフラ)層」「物理(端末)層」の4つに分けるのが一般的だが、どのレイヤーでも生き残っている企業は「市場を寡占しうる勝ち組企業」と、「専門性に特化して特定の嗜好の顧客をがっちり掴んで高収益を誇る企業」とに大別される。



 このあたりは、経済の成熟とともに小売業の業態が変わっていく現象ときわめて似ている。IT業界が未熟で一部の好事家がネットに没頭している市場であるうちは、コンテンツもインフラも決済もポータルもすべて取り扱うオールインワンのプロバイダー会社やケーブルテレビ会社が支持された。駅前の百貨店が流行の先端だった時代に等しい。



 やがて、ケータイからのネット通信が当たり前になり、自宅でのブロードバンド人口も7000万人に近づき市場が成熟化すると、ネット通販専門の楽天、ポータル専門のヤフージャパン、コミュニティサービスのミクシィなど、そのカテゴリーに特化したメガサイトが人気を集めるようになる。まさに車1人1台時代にともない客の流れが変わり、街道沿いの大型店や駐車場付きの家電量販店が百貨店から客をかっさらうようなものだ。



 規模の経済という点では、多大な投資が必要となるネットワーク層において市場原理が働きすぎたことで結局、従来の電電公社と新電電の二社体制のような先祖返りに向かいつつあるのも特徴だ。とりわけ、携帯電話ビジネスではドコモ、au、ソフトバンクモバイル、イーモバイル、ウィルコムなどが割拠しているものの、十分な利益体質はおろか全力で自転車操業を続けているソフトバンクほか通信中堅は、いつ競争から脱落し事業再編の対象となってもおかしくないところまで追い込まれている。



 通信キャリアが潰れるのは経済に対するインパクトも大きいが、いつまでも膨大な有利子負債を抱えたまま、暗い将来しか見えない経営を続けるわけにもいかない。グループ全体で2兆4000億円を超える負債に喘ぎ、手元キャッシュも頼りないソフトバンクなどは、折からの市況下落で資金の外部調達の道もなかなか険しいものがある。携帯事業を含む既存事業の不振から、株価は1600円台から一時700円台にまで下落。






さらに、将来の業績不安定を機関投資家に嫌気され、CP(コマーシャルペーパー)500億円分を前倒しで全額償還するよう求められた。仕方なく子会社をヤフーに切り売りするなどして償還資金を捻出する始末で、まさにダイエーの最期にも似た風雲児の切なさだ。



 一方、デジタル技術の進展でIT業界が経済全体の構造を一変させた影響で、いままでまったく関連のなかった業界同士が再編に追い込まれるという事態に直面しつつある。



 その最たる例が新聞社や出版社、テレビ局などメディア関連産業だ。日本国内に限らず、多くの国で新聞社の倒産や廃業が相次いでいるが、日本市場ではポータルサイトのヤフーが、ケータイではミクシィやモバゲータウンなどに代表されるコミュニティサイトがニュース発信の拠点となり、芸能やスポーツ、社会問題などあらゆるニュース記事を無料で配信するサービスが人気を集めている。



 その結果、パッケージとしての宅配新聞や駅売りの雑誌などにお金を払って情報を摂取する消費者の割合が減り、なし崩し的にビジネスモデルの崩壊に直面しているのがメディア関連産業の構造的な問題となっている。細やかなニーズが発生したぶん、顧客がより高い費用を負担してくれるのであれば企業も成り立つが、問題はネットの情報は原則無料が定着してしまっていることにある。これでは年間1000万円以上払って雇っている新聞記者やテレビマン、広告代理店社員を養えなくなるのも道理だろう。



ヤフー独り勝ちの国内再編



 一方で、それだけのインパクトを与える無料のビジネスモデルを支えているのは株式市場とコンピュータ技術である。IT企業は財閥系などの縛りの少ない独立系が多いため、市場を通じて投資家から自在に資金を集めることのできる時期があった。これをネットバブルというが、主に無料でネットから顧客を掻き集めて、そこに広告や物販を置いて現金化したり、顧客情報を集めてマーケティングに使ったりすることで収益を上げる計画であった。



 いまでこそこれらのネットバブルは崩壊し、無原則な資金調達を市場から行なうことはできなくなったが、ヤフーや楽天、カカクコムなどネットで大手とされるまでに成長したサービスの多くはいまだに情報は無料で提供している。



 ヤフーは、日本市場においてはユーザーのじつに95%が日常的に利用するサービスにまで成長し、利用頻度や利用回数では日本のネットサービスで上位5つを独占。時価総額1兆5000億円は、日産やソニーなど日本を代表する企業と並びつつある。まさに独り勝ち状態で、押しも押されぬ勝ち組企業へと成長した。



 日本に限らず、世界のIT業界の特徴は、サービス層やネットワーク層それぞれに圧倒的な勝者が1社ないし若干社存在し、これらの寡占企業がそこで発生する収益の大半をもっていく構造になっている点にある。逆に、椅子取りゲームに敗れた企業を待っているのはかなり容赦のない再編や身売り、撤退である。



 NEC系のビッグローブ、富士通系のニフティなど、健闘していても親会社による株式売却が噂される企業もある一方、ソニーのパソコン向け動画サイト「ブランコ」は不振により撤退に追い込まれた。テレビ局系でも、日本テレビの携帯電話向け動画サービス「第2日テレ」が迷走の果てに無料化にシフトして事業の収益性よりまずは利用者の確保に乗り出したり、フジテレビも動画系サイト「ワッチミー!TV」を華々しく打ち出したものの顧客を集められず、苦戦が続いている。








システム開発事業でも、NEC、日本IBM、NTTデータ、富士通、日立など大プレイヤーが乱立し、携帯端末でも撤退した三洋電機も加えると9社も参入している。携帯キャリアでも、十分な利益を出しているのはドコモとKDDIだけで、ソフトバンク以下は惨憺たる状況だ。規制の緩和が行なわれ、新しい事業者がIT業界やその周辺に参入している状況ではあるが、経済が右肩上がりの成長曲線を描いているときは各社利益を出すことができても、マイナス成長の局面となると、それほど多くの企業が存在できるほど日本市場は大きくなく、競争も甘くないという現実が降り掛かる。



 したがって脱成長路線の経済下では、大幅な規制緩和によって徹底した競争を促すよりも、適正な利益を上げうる管理された業界秩序をどう維持するか、という方向へ着眼する必要があるのかもしれない。それほど大きくなく増えもしないパイに多くの企業がぶら下がった結果、イノベーションに対する投資が十全に行なわれず、結果として国際的な競争に敗北するケースが相次いでいるのである。



 かつての自動車業界や製鉄業界、製薬業界なども経験したことであるが、日本土着の大企業が日本市場でだけ競争を繰り広げた結果、日本独特の市場風土に順応しすぎて規模の経済が利かず、世界的な多国籍企業との競争に勝てない現象がある。日本はたしかに携帯電話文化では先進国であるが、そこで流通している携帯電話端末は高機能方面に進化しすぎ、国際的にはまるで存在感のないシェアしか各社が取れていない現状がある。



 携帯電話市場では、ノキアやモトローラなどの欧米企業に加え、サムソン、LGなどの韓国企業が上位をめぐって激しく争っているのに対し、日本勢はソニーとの合弁のソニー・エリクソンが4%でようやく5位、日本市場では強いはずのパナソニックや富士通などは世界ではほとんど誤差の範囲でしか顧客を獲得できていない。参入各社ごとに研究開発を進め、小口の投資に留まった結果、大きな資本を投下し、大口のビジネスを手掛ける海外勢に各個撃破されたも同然の状況だ。



 同じく、日の丸半導体と高らかに謳ったはいいが、エルピーダメモリや富士通など各社各様に投資を小口で行なった結果、資本力で圧倒する他国企業に価格支配力を奪われ、日本各社が全社赤字に転落するといった事例もある。



 ソフトウェアの分野でいうならば、日本で大企業とされ大規模システムの開発では有数と称されるNECや富士通、NTTデータなどシステム関連企業が、世界的な汎用ソフトウェアでデファクト基準に採用されたという話をあまり聞いたことがない。開発外注をインドや中国に振り分けることがニュースになっても、海外から大規模な開発案件を獲得して収益を上げたという事例もとくになく、相変わらず売り上げの大半は国内に依存している。比較的元気なウェブサービスの分野でも、楽天がアメリカ進出を志して失敗したり、日本独自のサービスが海外では見向きもされないのが現実だ。



 日本のIT業界の再編話で、どちらかというと後ろ向きな事例ばかりが目に付くのは、縮小する日本経済の動向に合わせて、社内の最適化を図って利益を出すための縮小均衡に経営判断が傾きがちだからである。経費削減や解雇、賃金引き下げなどの利益捻出はもちろん必要であるが、パイの縮小速度に見合った企業の「間引き」や売上高に占める海外比率引き上げのための積極的な進出計画というものが見当たらないのは、非常に残念なことでもある。何らかの動きが起きはじめるのは、日本人なら誰でも知っているような大手IT企業がどこか破綻に追い込まれてからだろう。どこかが大きな仕掛けを打ち、再編がブームになることも考えられるが、しばらくは蛙のどこかが茹で上がってしまうまでは静観するしかないのかもしれない。それがどんな結果に繋がったとしても、結果が出ないで待ちつづけるよりはマシなのだ。