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小学3年が危険物取扱者に合格 最年少、愛知・豊橋

2012年5月16日 17時47分

 化学工場やガソリンスタンドで指定された化学薬品を取り扱うのに必要な危険物取扱者試験で、愛知県豊橋市立富士見小3年の丸田佳奈さん(8)が乙種第6類に合格した。既に乙種1~5類に合格しており、乙種全類の全国最年少の合格者になった。

 母親の実家は戦後から今年3月までガソリンスタンドを営んできた。父親の公務員芳雄さん(46)は「理科が大好きで、化学物質に対する好奇心が旺盛だった。本人が好きなことを伸ばしてあげたい」と喜びを語った。

 これまでの最年少は2006年、当時小学4年生だった福岡市の女児。

(共同)
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中心なきユーロはもはや維持不可能――ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授

東洋経済オンライン 5月16日(水)10時58分配信

 スペインやギリシャのようなユーロ圏の国では若者の失業率が50%に達している。1世代が、維持困難に陥っている単一通貨の犠牲になっているのだろうか。もしそうであれば、ユーロ加盟を拡大することは、欧州の目標──必ずしも完全な政治的統合を達成することなく、経済統合を最大化する──に本当に寄与するのだろうか。

 経済調査によって、少なくとも大きな国にとっては、通貨圏は国境に従わないかぎり、非常に不安定になるということが徐々に明らかになってきている。通貨統合には、課税やその他の政策に関して、欧州の指導者たちがイメージしているよりもずっと中央集権的な権限を持った連合が必要になる。

 ノーベル賞受賞者の経済学者、ロバート・マンデルが1961年に示した「国境と通貨の境界は大きく重なる必要はない」という有名な推論がある。彼は、労働者が通貨圏内において、雇用のある場所に移動できるのであれば、為替レートを調整する平衡メカニズムはなくてもよいと論じた。

 マンデルは、金融危機を強調しなかったが、労働移動性は今日、これまで以上に重要だと思われる。労働者がユーロ圏の危機状態の国々を去っているのは意外なことではないが、必ずしも、より経済力のある北部地域に向かっていない。

 ではどこかといえば、ポルトガルの労働者はブラジル、マカオなどの好景気の旧植民地に逃れ、アイルランドの労働者はカナダ、オーストラリア、米国などに押し寄せている。そして、スペインの労働者は、最近まで同国の農業労働の主要な供給源だったルーマニアに流入している。

 しかしなお、もしユーロ圏内の労働移動性がマンデルの理想に少しでも近いものであったならば、スペインの失業率が25%である一方、ドイツは7%を下回るといったことにはならなかったはずだ。

 後に続いた著述家たちは、通貨統合の成功に不可欠な基準がほかにもいくつか存在し、それらの基準は強い政治統合なしには達成することが難しいと認識するようになった。経済学者のピーター・ケネンは60年代後半、ショック吸収装置としての為替の変動相場がなければ、通貨統合にはリスク分担の手段として財政的な転移が必要であると論じた。

■2010年代終わりまでユーロがもたない可能性

 標準的な国では、国の所得税制が各地域をカバーする巨大な自動安定装置となっている。米国では、石油価格が上昇すると、テキサスとモンタナ両州における所得が増加し、両州はより多くの税収を連邦予算にもたらし、ほかの地域を助けることになる。欧州にはまともな中央集権的徴税当局がないので、この自動安定装置が本質的に欠けている。

 欧州の学者の一部は、米国のような財政移転は必要なく、どの程度であれ望んだだけのリスク分担は金融市場を通して理論上達成可能であると論じようとしている。この主張はたいへんな見当違いだ。金融市場は脆弱になる可能性があり、労働所得に関するリスクを分担する機能をほとんど持たない。先進国であればどの国でも労働所得が収入の最大部分を成している。

 ケネンの主要な関心は、景気循環の浮き沈みをならすための短期的な財政移転にあった。しかし、加盟国の歳入と経済発展の水準に大きな差がある通貨統合においては、短期的な財政移転が非常に長期に及ぶことがありうる。

 今日、ドイツ人の多くは、財政移転のシステムは永遠に外れない栄養チューブになってしまうと感じているが、それはちょうどイタリア北部が過去100年にわたってイタリア南部を支えてきたようなものだ。実際、東西ドイツ統合から20年以上経つが、旧西独の人々には、統合にかかわる費用請求の終わりがまだ見えていない。

 その後、経済学者のモーリス・オブストフェルドは、通貨統合には財政移転に加えて、最後の貸手についての明確に定義されたルールが必要だと指摘した。そうでなければ、銀行の取り付け騒ぎや債券市場のパニックが広がってしまう。彼は銀行の救済メカニズムを考えていたが、今明らかなのは、最後の貸手や州や市の破産メカニズムも必要であるということだ。

 ケネンとオブストフェルドが示した基準とマンデルの労働移動性基準が導く論理的帰結は、通貨統合は政治的正当性なしには持続不可能だ、ということである。欧州の指導者たちは、筋の通った政治的枠組みなしに、国家間で大規模な財政移転を無際限に実行することはできない。


 欧州の政策担当者たちは、米国の金融危機がなければユーロ圏は問題なくやっていただろう、と不平を言う。おそらく正しい言い分だ。だが、どんな金融システムであっても、ショック(大きなものも含めて)に耐えられなければならない。

 欧州はいかなる基準から見ても、「最適の」通貨圏には決してならないかもしれない。政治的かつ経済的な統合をさらに深めなければ──その場合、今のユーロ加盟国すべてがユーロ圏にとどまっていない可能性もある──ユーロは2010年代の終わりまでもたないかもしれない。

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Kenneuh Rogoff

1953年生まれ。80年マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。99年よりハーバード大学経済学部教授。国際金融分野の権威。2001~03年までIMFの経済担当顧問兼調査局長を務めた。チェスの天才としても名を馳せる。
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(週刊東洋経済2012年5月12日号)

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公取委への期待と不安/ドクターZ

現代ビジネス 4月22日(日)7時5分配信

 東京電力の料金値上げに対して山梨県のスーパーマーケットなど25社と8消費者団体が3月22日、東電側の一方的な値上げは独占禁止法(不公正な取引方法)の優越的地位の濫用に当たるとして、公正取引委員会に是正措置を求めた。この問題については古賀茂明氏が本誌前号の『官々愕々』で取り上げている(「いまこそ公取委の出番だ」)が、興味深い話なので、当欄でも考えてみたい。

 周知のように山梨県は東京都、神奈川県、埼玉県、静岡県、長野県に囲まれている。電力供給については東京電力の管轄内だが、隣接する静岡、長野両県は中部電力の管轄だ。もし中部電力とも交渉できるのであれば、東電の料金値上げにも対抗できるが、現実にはできない。また県内には大口需要家向けの特定規模電気事業者(PPS)も存在するが、全国の原発停止で需要が一気に増えて新規の電力調達が困難なため、PPSには供給余力がない。

 そんな山梨に先日、出かけてきた。地元の中小企業は値上げが実施されれば経営が大変になると訴え、スーパーの利益の40%が失われると分析している。デフレ下では価格転嫁は難しいし、もし転嫁できたとしても中部電力から安く電力供給を受ける隣接の長野、静岡の競合者には勝てないという。そこで、公正取引委員会を使うという窮余の一策に出たわけだ。

 では、公取委はどこまで庶民の味方になるのか。これが、実に心許ないのだ。

 山梨のような規模の地域経済では巨大企業・東京電力が役所にも匹敵するパワーを持っている。加えて、経産省は電力業界の擁護者で電力会社への天下りも多い。政治家も業界の利益誘導につながるので、電力会社の味方をする。他方、独禁法案件の担当大臣は従来、官房長官が務めることが多く、官房長官は他の雑事で忙殺される。こうしたことから、日本では公取委が活躍することは残念ながらあまりなかった。

 電力に関しては、'00年から大口需要家を対象に電力の小売り自由化が開始されたが、とても活発な競争があるとは言えないし、'07年には一般家庭を含む全面自由化の実施の是非が議論されたが、実施は先送りされた。公取委にもっと影響力があれば、自由化によってPPSはもっと多くなっていたはずで、東電が値上げしても、PPSに乗り換えることもできただろう。

 霞が関の役所であるが故の弱点も指摘できる。例えば、公取委の競争政策は経産省の産業政策とは相容れないはずだが、公取委には経産省からの出向者もいる。経産省が出している今の総理秘書官も公取委に出向経験がある。かつては幹部クラスのポストも経産省に握られていた。経産省の影響力を削ぐために、財務省からの幹部出向者を受け入れて「毒をもって毒を制する」ことも行われていた。

 公取委への経産省の抱きつき作戦もある。大口需要家への小売り自由化直前の'99年12月、公取委と経産省は「適正な電力取引についての指針」を作成している。独禁法の運用指針を共同で策定したと言えば聞こえはいいが、実は公取委が直接電力会社に立ち入り検査に入ることを経産省がクッションになって防ぐというのが本当の趣旨だった。

 とはいえ、今回の動きには期待したい。東電のような地域独占の企業が、半ば脅しのように値上げを迫るのは優越的地位の濫用そのものだ。'10年1月施行の改正独禁法で優越的地位の濫用は課徴金の対象になった。公取委がどんな判断をするのか、興味津々である。

「週刊現代」2012年4月28日号より

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中国における自動車事業に関して、多くの人が誤解、あるいはイルージョンに陥っている。

日産の地域別の業績

 こうしたイルージョンが生じるのには、理由がある。過去において実際そうしたイルージョンを支持する事実があったからだ。しかし、中国の市場は急速に変化しつつある。数年前の成功例さえ、もう役に立たない。それにもかかわらず、いまだに過去の成功事例に囚われて事業展開を考えている企業が多いのではないかと考えられる。

 これは自動車に限ったことでなく、さまざまな分野の事業について言えることだ。したがって、自動車の場合のケーススタディは、他の事業を中国で展開する際にも有益な情報となるだろう。

 第1のイルージョンは、「中国における自動車の製造販売事業は、参入が規制されているので、利益が確保できる」というものだ。

 外資の参入が規制されているのは、事実である。外資が中国における自動車事業を行おうとすれば、中国企業との合弁でなければならないからだ。これは、参入にまったく規制がなく、そのため激烈な競争が展開されているエレクトロニクス産業とは非常に違う状況だ。

 だから、「エレクトロニクス産業に見られるような価格破壊はないだろう」と考えられても不思議はない。さらに、「中国では政府の権限が強いから、中国政府と良好な関係を築ければ、その保護下で独占的な地位を享受できる」と考えられるかもしれない。

 ある時点まで、中国の自動車産業は確かにこのような状態だったのである。

 中国は1978年に改革開放路線に転換し、80年代になってからは、積極的に外資の導入を進めた。この当時は、社会主義経済のなごりがあり、熾烈な競争はなかった。そのため、進出した外国メーカーは十分な利益を確保することができた。

 とりわけ、85年に第一汽車、上海汽車と合弁企業を設立したフォルクスワーゲン(VW)の成功は目覚ましかった。他のメーカーが不案内な中国市場で苦戦するのを尻目に、それまでの事業活動のノウハウを活かして、大きく先行した。2002年における販売台数のシェアは、上海VWが23.8%、第一VWが16.4%であり、合計で4割を超えていた。他のメーカーのシェアは1ケタだったから、圧倒的に強かったわけだ。政府からの庇護を受けたことも大きかった。たとえばタクシーなどの業務用乗用車の生産は、VWに対してのみ許可された独占事業だった。

■巨大さがもたらす「量のイルージョン」

 しかし、こうした状況は永続きしなかった。GMが99年に上海汽車との合弁会社を設立し、生産・販売を開始した。そして、生産・販売台数でVWを抜いた。

 さらに00年頃以降は、状況が大きく変わった。前回見たように、新興の民族系メーカーが登場したからだ。外資の参入は政府がコントロールできても、国内民族系メーカーの参入は、コントロールできない。このような状況では寡占的な地位を維持できない。われわれは、「外資規制があるために、中国の自動車産業は規制産業である」という錯覚に陥っている(これは、われわれが、中国企業の実力を無意識のうちに過小評価しているためである。この点は後で述べる)。しかし、中国で生じていることは、まったく異なるのだ。
 第2のイルージョンは、「量のイルージョン」だ。

 そもそも中国は巨大なので、どんなことに関しても、中国の量的な比重は大きくなる。自動車の場合、これに加え、経済危機後の条件が大きく作用した。アメリカをはじめとする先進国で需要が急減した反面、中国政府がとった需要喚起策の影響で、中国の需要が急増したからである。

 中国にシフトすれば利益の絶対額が減少

 09年に、VWが生産台数でトヨタ自動車を抜いて世界最大の自動車メーカーになったが、これは、VWの小型車の販売台数が、中国の景気刺激策に後押しされて伸びたからである。結果、同社の海外事業で、中国は最大の比重を占めるようになった。

 GMの場合もそうである。09年は同社が経営破綻に追い込まれた年だが、このとき、同社の中国販売はVWを抜いて過去最高の182万台に達した。アメリカの販売が30%落ち込む一方で、中国では66%の伸びとなった。「GMを救済したのは中国の消費者であり、中国という存在がなければGMは生き残れない」と言われたほどだ。

 いまや自動車の最大の市場は中国だ。だから、日本の自動車メーカーの場合も、「これからは中国」ということになる。

 しかし、それは、中国でのビジネス展開が望ましいことを意味するわけでは必ずしもないのだ。量的に拡大できても、利益があがらなければ意味がない。

 この点に関して、中国の状況は、00年頃以降、大きく変わっている。民族系メーカーが登場し、さらに、購入者層が広がるにつれて、低価格車の重要性が増したからである。車種も変化した。GMは当初はビュイックだったが、いまはシボレーだ。これからは、低価格の消耗戦がますます激しくなるだろう。過剰生産によって価格が低下していることは、前回述べたとおりである。今後の中国の自動車事業で利益を確保できるかどうかは、まったく不確定だ。

 「量のイルージョン」は、日本企業ではかなり一般的だ。この点に関して、もう少し数字を見てみよう。

 表は、日産自動車の事業状況の地域別比較である。アジアの比重は、売上高で16.7%、営業利益で32.9%と、かなりの大きさになっている。しかも、売上高営業利益率は、アジアでは9・2%と高い。これらを見ると、アジアこそ将来の事業展開地であるように思われる。

 しかし、もう少し慎重に考える必要がある。なぜなら、販売台数に対する比率で見ると、売上高でも営業利益でも、アジアの状況は見劣りするからだ。表に示すように、1台当たりの売上高では、アジアは北米の半分程度でしかない。つまり、中国で売れる車は北米で売れる車とは異質の低価格車なのだ。1台当たりの営業利益では、アジアは北米の7割未満にしかならない。

 中国における売上高営業利益率が高い数字になるのは、アジアでの人件費が安いからであろう。だから、多数の台数を売っても、利益の絶対額は、さほど増えないのだ。簡単に言えば、アジアでの事業は、「薄利多売」にならざるをえないのである。

 これが、日本国内から見て望ましいかどうかは疑問だ。全世界事業展開における日本国内での活動の意義は、研究開発、基本的営業戦略策定等になるべきだからだ。その利益率を高めるには、全世界の利益の絶対額が増加する必要がある。

 しかし、アジアでは低価格車しか売れないので、そこに経営資源をシフトさせていけば、全世界的な利益の絶対額は減ってしまう。それは、日本国内の事業活動の利益率が低下することを意味するのだ。つまり、売上高や営業利益でのウエイトの大きさだけでなく、売上高営業利益率の高さも、ある意味での「幻影」なのである。

(週刊東洋経済2012年5月12日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

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野口悠紀雄(のぐち・ゆきお) 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授

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東京製鉄の主力工場、年産2.4倍の85万トンに、薄板鋼板など、フル稼働に近づく。
2012/05/15 日経産業新聞

東南アなど需要増
 電炉大手の東京製鉄は、主力の田原工場(愛知県田原市)で薄板鋼板などの生産を拡大する。2013年3月期の年間生産量を前の期の35万トンから約2・4倍の85万トンまで引き上げる計画だ。東南アジアや中東向けに建設分野で需要が伸びているほか、日本の自動車メーカーなどの海外での増産の動きに対応する。同社は09年に操業を始めた田原工場の稼働率の低迷が響き、営業赤字が続いてきたが、今期からの生産拡大で収益改善につなげる。
 東京製鉄は国内に4工場があり、このうち1770億円を投じた田原工場は高品質の薄板鋼板などの主力拠点となっている。海外から建設用鋼板などの引き合いが増えているために増産する。田原工場では現在の設備能力から年間100万トンの生産を目標にしてきたが、今期は輸出を軸にフル稼働に近づく。今年4~6月は同工場で生産した鋼材の約半分を輸出に振り向ける計画だ。
 同社は自動車や家電などの部品に使われる主要鋼板「酸洗コイル」の生産も増やす。酸洗コイルは鋼板の表面が非常に平たんなため、塗装などがしやすいことが特徴。日本の自動車大手などが進出するタイでは同製品に関する工業規格をこのほど取得しており、現地での販売拡大を狙う。
 同社の12年3月期の連結業績は売上高が前の期と比べて12%増の1667億円で、営業損益は112億円の損失となった。営業ベースでは3期連続の赤字となったが、それは田原工場の稼働率の低迷が響いている。リーマン・ショック後に需要が大幅に減退しただけでなく、生産設備のトラブルも多く、予定した能力を下回る状況が続いてきた。
 同社は、為替が円高になることで輸出採算が悪化する可能性があるとしているが、当面はアジアなどへの供給を増やすことにした。田原工場の稼働率の向上を急ぎ、13年3月期に営業損益でトントンという収益改善見通しを確実に達成したい考えだ。
 ▼酸洗コイル 熱間圧延工程で製造した薄板の表面の酸化物を塩酸で洗い落とし、さらに冷間圧延した鋼板。薄板の表面は油処理がされており、平たんで、手触りも滑らかなことが特徴になっている。塗装などがしやすい。自動車だけでなく、家電製品や産業機械などの部品用鋼材としてプレス加工して使われることが多い。


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印刷、ネット事業に活路、凸版・大日本、高機能素材も強化――半導体向け製品不振で。
2012/05/15 日経産業新聞



 印刷大手の大日本印刷と凸版印刷が、新たな成長分野の育成を急いでいる。出版市場の縮小に加えて、利益の源泉だった液晶テレビや半導体向けのエレクトロニクス製品事業が不振に陥ったためだ。産業資材事業とネットサービス事業を次の収益源として強化する。
 今週にかけ相次ぎ決算を発表した両社の業績を見ると、液晶テレビなどのパネルに使う「カラーフィルター」や、半導体ウエハーに回路を転写するための「フォトマスク」などを製造するエレクトロニクス事業が、そろって不振に陥っている。
 大日本印刷は液晶ディスプレー関連製品事業について生産設備を減損処理した結果、247億円の損失を計上した。凸版印刷は、半導体フォトマスクを納めていたエルピーダメモリの破綻で、貸倒引当金繰入額32億円を計上。営業損益が29億円の赤字となった。
 両社が次の成長の柱と期待する事業の一つは、産業資材事業。食品や日用品向けの機能性フィルム、リチウムイオン電池の外装材、太陽電池のバックシートなどだ。
 大日本印刷の素材や産業資材事業については、部門としては減収減益となったものの、環境配慮型の次世代都市「スマートシティ」などによる需要拡大を期待。2013年3月期については売上高で8・3%、営業利益で16・2%増を見込む。
 事業強化に向け京都に新工場を建設。さらに同分野の海外事業拡大に向けて、ベトナムに日用品や食品向けの包装材を生産する工場を40億円で新設することを発表した。
 凸版印刷も、リチウムイオン電池の外装材や、アルミ箔と同等の品質保持力を持ったフィルム素材などを拡販する。
 もう一つの成長の柱として両社が期待するのはネット関連事業だ。
 凸版印刷が注力するのが、スマホなどに配信する電子チラシサービス「Shufoo!」。昨年11月に顧客企業向けの課金を開始した。ネットスーパーなどと連動させ、パソコンやスマホ上で特売のチラシを見た後にネットで食材を購入するなど、実際の生活と同じ行動ができるようになり、利用が増えてきた。
 大日本印刷もICカードの技術を応用した企業向けクラウドサービスに力を入れる。企業が従業員に配布するスマホのセキュリティー管理サービスなど、新たな事業分野に注力している。
 だが、両事業ともエレクトロニクス事業の不振を補うに至っていない。「孝行息子」の不振は印刷大手の将来に暗い影を落としている。



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ヤフー再建、ファンド主導、学歴詐称問題で辞任――CEO交代、5年で5回。
2012/05/15 日経産業新聞

提携や特許問題、課題山積
 【シリコンバレー=岡田信行】米ヤフーがスコット・トンプソン最高経営責任者(CEO)の学歴詐称問題で生じた混乱の収拾に乗り出した。トンプソン氏が辞任し社内から暫定CEOを選任。学歴詐称を指摘し解任を要求していた大株主のヘッジファンドから3人の取締役を迎え、経営再建を急ぐ。ただ、CEO交代はこの5年で5回目。入った人がとどまらず立ち去る「回転ドア」と揶揄(やゆ)される同社が失った時間は大きい。
 米国が「母の日」でお祝いムードの13日、米ヤフーはトンプソンCEOの辞任を発表した。米ヤフーは理由を明らかにしていないが、大学でコンピューター科学の学位を取ったように履歴書に記してきた学歴詐称問題で責任をとったとみられる。トンプソン氏が病気にかかったことが辞任の一因との情報もある。
 トンプソン氏と入れ替わるように、米ヤフーは大株主の米ヘッジファンド、サードポイントのダニエル・ローブ代表ら3人を16日付で取締役に起用する。ローブ氏らは今年半ばに予定される株主総会に向けて独自の取締役候補4人を立てトンプソンCEOと対立。委任状争奪戦を繰り広げる構えだったほか、トンプソン氏の学歴詐称を指摘し、取締役会に解任を要求していた。
 トンプソン氏は電子決算大手の米ペイパルの社長として事業拡大を主導した実績を買われ、今年1月に就任したばかり。業績悪化の責任をとって、昨年9月にキャロル・バーツCEOが解任された後、ヤフー再建を託された。就任後、社員の約14%にあたる大規模人員削減と組織変更を打ち出し、今年1~3月期の四半期決算はコスト削減効果もあって、回復の兆しがでていた。
 検索サービスシェアで米グーグルに抜かれ、サイトへの集客でも米フェイスブックに抜かれたヤフーが置かれた状況は厳しい。ネット広告を主な収益源とするだけに、シェアや集客というネット企業の生命線を脅かされているためだ。
 約3億人の利用者を抱えるメールサービスや、金融情報サービスなどでは、ヤフーはいまだに強みを持っている。ネット関連の特許も「老舗」だけに多く抱えている。だがトンプソンCEOの辞任により、すべてが振り出しに戻った格好だ。
 ヤフーは当面、グローバル・メディア部門を統括するロス・レビンソンEVP(エグゼクティブ・バイスプレジデント)が暫定CEOとなり、サードポイント出身の取締役らと協力して経営再建を急ぐことになる。
 ただ、長期的な課題は手つかずだ。中国の電子商取引大手アリババ・グループや日本のヤフーの株式の売却問題は未解決のまま。検索事業で提携するマイクロソフトとの関係を今後どうするのかも見えない。フェイスブック経由でヤフーのサイトを訪問する利用客が多いことから、トンプソン時代に特許侵害で訴えたフェイスブックとの関係改善も必要だ。
 こうした課題に速やかに解決への道筋を付けられなければ回転ドアが再び動き、再建の道のりはさらに遠くなる。相次ぐCEOの交代で貴重な時間を浪費したヤフー。残された時間は少ない。


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工作機械、外需比率7割、目は海外に(マザーインダストリーの挑戦)

2011/10/27 日経産業新聞



国内は高性能機磨く


 日本のマザーインダストリーの中でも、看板だった工作機械業界。一部大手を除くと国内生産が中心で、最近の円高で経営環境が悪化している。国内には100社超の企業があるが、大半は中堅・中小企業だ。受注に占める外需比率は今年は7割近くまで上昇する見通し。海外生産などグローバル化に本格的に取り組まなければ、日本の地盤沈下が進みかねない。


 工作機械中堅のOKKは9月末、タイ工場の操業を始めた。バンコク市郊外にあるが、今回の洪水で影響を受けなかったのは幸運だった。創業1934年の老舗メーカーだが、海外生産は初めて。連結売上高181億円、2011年3月期まで3期連続で最終赤字の企業にとって、タイ進出は賭けだった。
 「国内生産だけで成長するのは難しい」と、井関博文社長は自らに言い聞かせるように語る。切削性能が高い同社のマシニングセンター(MC)は技術力が評価されても、「(アジア市場では)コスト面で太刀打ちできない」からだ。タイ進出による部品の現地調達や人件費の抑制で、日本製よりも販売価格を2割ほど抑えた。現在製造するのは1機種だけだが、軌道に乗れば生産機種や輸出先を増やす方針だ。
 日本の工作機械業界では年間売上高が1000億円を上回るのは、ヤマザキマザックや森精機製作所、オークマなどほんの一握りにすぎない。大半が数十億~数百億円の中堅企業で、経営的にもリスクが高い海外生産に二の足を踏んできた。ほんの数年前まで受注は内需が旺盛で、海外進出の必要性も小さかった。


 日本の工作機械メーカーの多くは町工場からスタートした。多額の開発資金が必要なコンピューター数値制御(NC)装置をファナックなどから購入し加工性能などを高めて80年代に成長した。
 90年代はバブル景気の崩壊やアジア危機などで一時的には厳しかった。そんな不況期でも歯を食いしばって耐えれば、数年後に国内大手が設備投資を増やし、生き抜くことができた。
 だが、こうした状況は過去5年間で劇的に変わった。工作機械受注額に占める外需比率の急激な上昇だ。日本工作機械工業会によると、日本の受注額は11年見通しで外需が7割近くを占める。90年代初めまでは内需が7~8割程度。外需が内需を超えたのはまだ4年前の07年。日本の製造業が海外進出を加速しているためだ。


 牧野フライス製作所の牧野二郎社長は「(内需は)もう元には戻らないだろう」と話す。加工精度の高いマシニングセンターで金型や航空機向けに屈指の技術力とブランド力を誇る同社ですら、危機意識を隠せない。同社は今期、シンガポール工場を中心に海外生産を4割増やす。このほど鋳物など部品の調達先の見直しを始めた。
 ただ、工作機械業界は海外シフトだけでは成長できない。工作機械は「外国為替及び外国貿易法(外為法)」と関連する政省令によって、事実上、高性能機の海外生産が制限されている。87年に日米摩擦の火種となった東芝機械のココム規制違反事件ではないが、兵器生産など軍事利用される恐れがあるからだ。


 日本企業にとっては収益の柱の高性能機は国内で生産し、輸出する必要がある。現在の円高でも採算性を確保するには国内の合理化も急務だ。
 例えば、ハードディスク駆動装置(HDD)向けの小型旋盤などを得意とするツガミは最近数年間、中国浙江省の工場増強に注力し、現地子会社の中国人トップを日本の本社の経営陣に据えるほどグローバル化を進めてきた。中国では11月に、競合他社を大幅に上回る月産1000台の体制を確立する。
 ただ、同社の西嶋尚生社長は「13年3月期の設備投資は大半が国内になる」と明かす。来秋までに国内拠点を新潟県内に集約し、価格競争力や製品開発力の強化に取り組むためだ。
 西嶋社長は「海外勢に対する優位性があるうちに、国内の(ハイエンド機の)競争力を一段と高める必要がある」と指摘する。中国などに進出してボリューム機の事業拡大するだけでは国内が空洞化し、最終的に窮地に追い込まれかねない。
 日本の工作機械業界はトヨタ自動車グループなど国内大手顧客との取引関係によって成長してきた。そんな「勝利の方程式」が崩れつつある中、いかに世界で戦える競争力を身に付けていくのか。かつてない難しい問いを突きつけられている。
 (佐藤浩実、名古屋支社=浅沼直樹、中戸川誠)



工作機械各社 海外を中心とする成長戦略   
(カッコ内は工作機械の売上高。2011年3月期)   
OKK   タイで9月にマシニングセンターの生産を開始。2012年3月期は4期ぶりに最終損益の黒字転換を目指す(158億円)


ツガミ   国内拠点の再編で、自動旋盤の生産を効率化。中国は今秋に月1000台の生産体制に(359億円)


松浦機械製作所   高級機種に強み。大型マシニングセンターの新機種投入で、成長見込む航空機部品用への展開を強化


中村留精密工業   主力はマシニングセンターと旋盤の「複合加工機」。医療用人工骨やレンズ加工など精密加工に強み。三菱商事に中国で複合加工機の販売権を付与


オーエム製作所   7月にダイワボウホールディングスの完全子会社となり、財務体質を強化。発電用タービンが加工できる大型旋盤をアジアで販売拡大


豊和工業   トヨタ自動車グループの創始者、豊田佐吉氏の動力織機製造から創業。11月から中国・天津で自動車部品を加工する工作機械を生産〓(87億円)


浜井産業   ラップ盤、ポリッシュ盤と呼ばれる研磨加工機を日本で最初に製造。小型の歯車製造機械も手掛け、12月にも上海に販売サービス会社を設置(82億円)


高松機械工業   主要取引先が自動車部品メーカー。台湾の機械メーカー「友嘉実業」との合弁会社が2012年2月をめどに中国・杭州の工場を移転、拡張(109億円)


和井田製作所   超硬工具関連の研削盤で国内シェアが9割、金型研削盤では5割。海外販売体制も強化。シチズンホールディングスが大株主で提携関係も(60億円、11年6月期)


太陽工機   2001年に池貝の民事再生法適用で、森精機製作所の傘下に。立型研削盤で国内シェア9割。自動車部品、建設機械、風力発電機メーカーが主要取引先(41億円)


シチズンHD   傘下の工作機械2社を合併し、4月にシチズンマシナリーミヤノとして発足。競合のスター精密と中国専用機を共同開発〓(377億円)


スター精密   中国・大連に加えて、来秋にはタイで自動旋盤の製造を開始。2017年度までに世界で月500台体制に〓(192億円、11年2月期)


ブラザー工業   CNCタッピングセンターと呼ばれる小型工作機械を日中で生産。生産規模はファナックに次ぐ(産業機器は423億円)


ジェイテクト   トヨタ自動車グループ主要企業の一角。2006年に光洋精工と豊田工機が合併。エンジンなど自動車部品加工向けの工作機械が得意。三井精機工業、光洋機械工業との連携を強化(1265億円)


コマツNTC   自動車のエンジン部品などを加工する専用工作機械に強み。太陽電池のシリコンインゴットを薄く切るワイヤソーも高シェア〓(1190億円)


三菱重工業   自動車や建設機械の歯車(ギア)を加工する歯車機械が主力。今春に中国でのノックダウン生産を始めたのに続き、インド生産も検討


東芝機械   プラスチック射出成型機や金属を成型するダイカストマシンに軸足。上海に続いてタイでの生産を計画。工作機械は大型機や特注機に強み(236億円)


ソディック   放電加工機の世界大手。ワイヤーやNC装置、リニアモーターといった部品や消耗品を内製し、競合と差別化。1980年代からタイに製造拠点を置く(357億円)


富士機械製造   電子部品組み立て機でトップクラスのシェアを握り、スマートフォン向けなどで急成長。工作機械は自動車向けが主力でトヨタ自動車グループが主要取引先(59億円)


タケダ機械   「形鋼」と呼ぶ鋼材加工機が主力。国内市場の低迷で海外の販売網強化。工作機械はアマダから輸出限定でOEM(相手先ブランドによる生産)を受託(20億円、11年5月期)

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