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父毅さんの手記
 大好きな駿へ

 あなたが天国に旅立ってから早いもので3年が経(た)ちました。
 3年という月日が流れたにもかかわらず、私たちの中には4歳の恥ずかしそうにはにかんだ君と、生きていればだいぶお兄ちゃんらしくなっている7歳の君が同居しています。このよく理解できない、時に強い空(むな)しさを伴う感覚は一生続くのだと思います。
 大好きなあなたの命を奪った加害者は今15歳になっています。この加害者とその両親に対する怒り・憎しみの感情はずっと変わっていません。でも、今のところ、加害者やその両親のことを考える時間はそう多くありません。加害者やその両親のことを考えることは、大好きなあなたの命を突然奪われて消えることの無い痛みや傷を負うことになった私たち家族にとって、今の時点ではプラスにはならない、耐え難いことなのです。先日、加害者が犯した殺人という行為の責任を認めさせ一生償うという約束をさせることはできました。でも、この約束が果たされたかどうかの確認は長い時間が経たなければできないし、約束が果たされたからといって、あなたの笑顔を見ることはもうできないのです。
 あなたの尊い未来を奪った加害者がどのような生活をしてどのような状態にあるのか、みんなに知ってもらいたいと思いませんか。私たち家族だけでなく多くの人は何も知らないのです。残された私たちは、加害者が誰かを特定できる情報を除いた多くの情報はみんなに知ってもらうべきだと思います。そうすることで、同じような事件を未然に防いだり、不幸にして事件が起こったときに加害者側にしょく罪意識を持たせることにつながったり、被害者側の精神的苦痛を和らげることにつながると思います。加害者がどうして人を殺したり傷つけたりするような状況に至ったのか、その事実についてどのように向き合っているのか、向き合うためにどのような処遇を受けているのか、また再び人を殺したり傷つけたりするような恐れがないのか、このようなことを、加害者が特定できる情報を削除した形で多くの人がどうして知ることができないのか、いまだに理解できません。社会にとって有益な情報は還元され共有されるべきだと思いませんか。
 駿、お地蔵さまのところには今でも多くの方がおもちゃやお花をお供えしてくださって、いつもきれいにしていただいています。このことを私たち残された家族は今でも心強く思い、心より感謝しております。
 平成18年6月30日
 種元毅
(毎日新聞) - 6月30日19時14分更新
・・ことばをなくす・・・。