海外ホール体験 第9回 ウィーン・コンツェルトハウス(ウィーン) | ベイのコンサート日記

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音楽評論家、長谷川京介のブログです。クラシックのコンサートやオペラなどの感想をつづっています。


ウィーンのホテルは「レジーナ」。リンクの外だが300年の歴史を持つ由緒あるホテル。



最初はウィーン・コンツェルトハウスでのコンサートだったが、これがちょっと変わっていた。ゲルト・アルブレヒト指揮のウィーン交響楽団によるリストの交響詩ばかりを演奏するというプログラム。アルブレヒトが曲ごとに解説するがドイツ語なので分からない。曲は初めて聴くようなものばかり。「レ・プレリュード」ならわかるのだが、これは取り上げられなかった。たぶん「山上で聞きしこと」「タッソ、悲哀と勝利」「オルフェウス」「マゼッパ」「プロメテウス」あたりだったと思う。


コンツェルトハウスは1913年完成のホール。大ホールは1865席。(室内楽用のモーツァルトホールは704席、シューベルトホールは366席。)

最初の印象は学校の大きな講堂のように感じた。床と座席は木でできており、大きな空間にゆったりと座席が配置されている。支柱が並ぶ教会のドーム状のステージも広々としている。

オーケストラの演奏が始まると、床を通してずんずんといった振動とともに心地よく音が伝わってくる。ミュンヘンのキュビリエ劇場で感じた音に近いが、会場が大きい分、開放感がある。天井が高くステージも高いので音が上を通り過ぎていくような感じもなくはないが、聴きやすい音であることは確かだ。

ホワイエは広々としていているが、装飾に豪華さはない。



コンツェルトハウスではもう一度1999年にバレンボイムの指揮とピアノで、モーツァルトのピアノ協奏曲第22番とR.シュトラウスの「英雄の生涯」を聴いたが、このとき音響の良さを再確認した。オーケストラはウィーン・フィル。

そのときの座席は1階やや後ろ、前から25列目くらいだったと思うが、バレンボイムのピアノが眼前いっぱいに広がり、ファゴットのソロも目の前で吹かれているようなリアル感があった。「英雄の生涯」も音が混濁せずクリア。キュッヒルのヴァイオリン・ソロも艶やかに響き、オーケストラの響きに身体全体が包まれるような心地よさがあった。



今回の旅では、このほかウィーン国立歌劇場でプッチーニ「蝶々夫人」とチャイコフスキーのバレエ「白鳥の湖」を観た。「蝶々夫人」は伝統的な舞台と演出。ウィーンで見る日本の風景には多少違和感はあったが、主役のソプラノは力演で満足できる出来だった。座席は前から5列目くらい中央やや右寄りの最高の席だった。

バレエはボックス席で観たが、バレエの楽しみ方を自分はよく理解できておらず、良さがわからなかった。踊り手の動きにイマジネーションを重ね合わせて観ることが大切なようだ。