「イラスト親族法劇場 第754条その2」 | ハードボイルド民法

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「第754条その2」

「Dance」

<夫婦間における契約の取消 その2>
Q)A(夫)とB(妻)は不仲となり、夫Aは家を飛び出して愛人のもとへいった。その後、AはBが不在の間に家に荷物をとりに戻り、その際、書面で「自宅はBに贈与する」旨の書面と離婚届けをおいていった。その後、Aは自宅をBに贈与することが惜しくなった。このケースで、AはBと結んだ自宅贈与契約を取り消すことができるのでしょうか?

図1)
A(夫)→甲建物贈与 B(妻)
↑(ABは別居中で、離婚寸前である)
取り消すことができるか?

<解説>
夫婦の間でなされた契約は、婚姻中なら、いつでも取り消すことができます(民法754条)。

しかし、この自由な取消しを認めたのは<夫婦円満な場合>の話です。

本件のように<夫婦が離婚寸前>のような場合には、夫婦間での自由な契約取消しを認めた民法の規定は適用されません。

よって、本件Aは、Bと締結した自宅贈与契約を取り消すことはできません。

民法754条「夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。」