馬券負けたヤツの発言はどれだけすさまじいか?の考察~一部ご紹介編~ | 新・バスコの人生考察

馬券負けたヤツの発言はどれだけすさまじいか?の考察~一部ご紹介編~

 最近、競馬場とウインズに寄るのが日課になりました。


 平日は帰宅の道すがらにある、地方競馬場に寄ります。休日出勤のときは大阪のウインズに、休日に仕事がないときも地元の阪神競馬場に行くなどして、「あるもの」を徹底的にリサーチしたのです。


 そう、「ロストシャウト」です。


 僕は競馬場の野次、罵声、嘆息など、ひっくるめてロストシャウトと定義しています。最近では調べるのが日課になり、「ロストシャウト帳」なるネタ帳を常時、携行するようになったのです。


 人間は、お金が絡むと本性が出ます。馬券をはずした怒りで我を忘れ、とんでもない言葉をシャウトするのです。


 なかでも、地方競馬のロストシャウター。


 本当にこいつらだけは、常軌を逸してますよ。キャラも濃く、毎日開催されていることから人生を賭けた猛者ばかりで、キレっぷりが尋常ではないのです。


 そこで今回は、「馬券負けたヤツの発言はどれだけすさまじいか?」の考察~一部ご紹介編~です。


 以下、拙著『野次るファン』に掲載されている野次を、10個抜粋してご紹介します。


●「絶対に当たる新聞よこさんかい!」 50代・男性
 むちゃ言うなよ、お前!そんな新聞ないねん、この世の中に!


 このオッサンは新聞を指で叩きながら、予想する記者のダメっぷりを仲間に説明しています。「野○はクズ、宮○もクズ」とのきなみクズ呼ばわりし、小○という記者に至っては、「小○はクズ中のクズ。クズすぎて、クズ以外に言葉が見つからへん」って言ったんですよ。


 言いすぎやろ、お前!なんも悪いことしてへんのにクズ中のクズて!


 「浜○は戦後最大のクズ」


 戦後最大なん!?なみいる犯罪者を押しのけて、この競馬記者が戦後最大のクズなんや!?


 ですが、このオッサンもクズです。なにしろこのオッサン、競馬場にパジャマのまま来ますから。


●「逃げるんやったら、ひと声かけろや!」 40代・男性
 できるか、そんなこと!なんでレース前に客に作戦言いに来ないとあかんねん!


 「俺に連絡せいや!」


 どうやって連絡すんねん!騎手はお前の携帯番号知らんわ!伝書鳩も持ってへんやろうしよ!


 こいつは、ある新人ジョッキーに腹を立てています。大方の予想に反して逃げたことに怒り、この発言のあとに「○○、ブログ荒らすぞ!」と叫んだのです。


 地味やねん、お前!キレっぷりと行動が合ってないねん!


 「そもそも新人のくせにジョッキーになんなよ!」


 意味わからん!新人の段階ですでにジョッキーやろ!ジョッキーになったからこそ新人で、新人のジョッキーに新人のくせにって、ようわからんわ!この言葉の意味を俺にひと声かけてくれ!


 この人は、場内にキャンプ用のイスを持ち込んでいます。ですがイスが小さすぎて、5分に1回、後ろにこけてました。


●「何度も言わせるな、武!」 60代・男性
 いやいや、聞こえてないから!お前が何回忠告したか知らんけど武豊には1度も聞こえてないから!


 「いつになったらわかるんやお前は!?」


 お前もいつになったらわかんねん!お前も自分のアホさにいつ気づくねん!


 「わしはお前を見捨てへん!でもお前はわしを見捨てよる!」


 知るかいや、騎手はそんなこと!そろそろ自分のアホさに気づけよ、お前!何度も言わせるな!


 このオッサンは、武豊を追いかけているのでしょう。ですが武さんからしたら知ったことではなく、ていうかこの人はたぶん、見捨ててますからね。変にかっこをつけているだけで、こういうヤツにかぎってすぐに浮気するのです。


●「(券売機の行列で)ジジイは来世にせいや!」 20代・男性
 むちゃ言うなよ、お前!現世で買わしたれよ!


 「老いぼれに金はいらんやろ!」 


 いるわ!そこそこいるわ!食費もそこそこかかるし、そこそこのお年玉を孫にやりたいねん!


 締め切り直前の券売機には行列ができ、前の客が遅いと、後ろの客が暴言を吐いてきます。僕も一度、真後ろの怖そうなオッサンに、めちゃくちゃ低い声で「急げや、てめえ」と言われたのです。


 怖すぎるわ、お前!ていうかそのわりにはあんた、手に1000円しか持ってへんねんけど!?ドスきかすわりには買い方は相当ショボいねんけど!?


 券売機に並ぶ人は、全員がイライラしています。くれぐれも、早く買うようにしましょう。


●「おえー!俺、いつになったらソファー買えんねん!」 20代・男性
 買えよ、ソファーぐらい!買えるやろソファーぐらいやったら!


 「ソファーないと冬越せんぞ!」


 意味わからん!もしかして掛け布団なんソファーが!?あれぐらいの厚みがないと寒いんや!?


 しかも何がおかしいかって、こいつはこのレースに、9000円も使っているのです。


 買えるやろ、その金で!いつになったらって今買えるわソファー!


 「せっかく招き猫買ったのに、招いたん災いやんけ!」


 ソファー買えや先に!そんなオカルトに手出す暇あったら先にソファー買えや!そりゃ災いの1つも招くわ、お前がアホすぎて!


 こいつはこのあと、クレープを買いました。ただ皮が薄すぎて中身がほとんどこぼれるなど、ここでも災いを招きまくっていました。


●「JRAは、こんな老いぼれから年金までをもしぼり取んのか!」 70代・男性
 知らんがな、そんなもん!お前が自分の意思で買ってんやろが!


 「この国はいつから老いぼれにこんな冷たくなった!」


 勝手なこと言うな、お前!博打の負債に補償してくれる国なんてあるかボケ!咳込んでも背中さすってくれるヤツおらんのが鉄火場やねん!
 

 「傘地蔵でも来てくれんと年越せんぞ、わし!」


 だから知らんねんそんなこと言われても!冬越せんヤツとか年越せんヤツとかどうなってんねんこの競馬場!


 この老人は、壁をガンガンに殴っています。警備員に連行されても止まらず、体を引きずられながら、「お前らは老い先短いわしの自由まで奪うというのか!」とブチギレていました。


●「ここの競馬場って、腎臓買い取ってくれる窓口とかないの?」 40代・男性
 あるか、お前!そんな裏ビジネスやってるか、こんな公衆の面前で!


 「あったら売るで俺!」


 「俺も売る!」


 「俺は2個とも売っていい!」


 ナンボ負けてん、お前ら!ナンボ負けたら臓器売買なんかに手出そうと思うの!?


 「俺は金玉でも売る覚悟やで!」


 需要ないわ!「生体玉移植」とか聞いたことないわ!なんのドナーやねんそれ!


 「帰りにブックオフよろうや!」


 買い取ってくれるか、ブックオフ!「♪臓器売るならブックオフ!」とか聞いたことないわ!どんなヘビーユーザーやねんそれ!違う意味でヘビーやんけ!


 作業着姿の集団が、当たり前のようにこんな会話をしています。冗談に聞こえないところがすごく、僕は怖すぎて場所を移動しましたから。


●「負けるんわかってるから、先にやけ酒飲んできた!」 50代・男性
 意味わからん!普通の酒やろ、それ!まだ負けてないんやから荒れたくても荒れようないやろ!


 「飲みすぎたわ!」


 「今日のお前、いつになく荒れてたぞ!」


 なんで荒れんねん、お前!荒れようあるか、そんなもん!


 「飲みすぎてもう一銭もないわ!」


 家いとけや、じゃあ!家で母ちゃんの夜の相手でもしたれやたまには!そこでは荒れてもええからよ!荒れたほうがむしろ母ちゃん喜ぶからよ!


 このオッサンは、ベロンベロンです。足元がフラフラで柱にぶつかったのですが、その柱に「ごめん」と謝ってました。


●「あかん、差し歯買う金なくなった!」 50代・男性
 ギャンブルなんてすんなよ、お前!まず差し歯を買って金に余裕があったらギャンブルせいや!


 「(直線で)差せ!差せ!」


 お前がまず差せ!馬に差してもらうんはお前の歯を差してからや!


 「抜け!抜け!」


 歯抜けとるやろ、お前!これ以上抜けたらますます金足らんようなるやろ!


 このオッサンは、僕の近所でたこ焼き屋をやっています。競馬場でたまに会うのですが、その日は度重なる原料の値上げにともない、値上げするかどうかで悩んでいました。


 たこ焼きは、8個200円です。「お客さんに悪いから!」と言ってなかなか値上げしなかったのですが、差し歯を買うお金をなくした翌週、10個400円になってました。


●「ハア。キョウモ、オケラデスワ……」 30代・外国人
 外人やんな?おけらとか言ってるけど、自分、外人やんな!?


 「モウイヤ、オケラハ……」


 どこで覚えてん、そんな日本語!なあ教えてくれ、どんな文化交流をしたらオケラなんて言葉を覚えんの!?


 こいつは要注意キャラとしてマークしていたのですが、まあ強烈でしたよ。競馬新聞を流暢に読み、「テンノウショウノヨンチャクハ、ダテジャナイヨ!」「コノウマハ、アガリサンハロンガキョウレツダナ!」などと、めちゃくちゃ専門的なことを言っているのです。


 外人が天皇賞ですよ、天皇賞!?100歩譲って天皇賞はまだ理解できたとしても、上がり3ハロンですよ、上がり3ハロン!?


 「コノウマ、ハイペリオンケイカ」


 あかん、体震えてきた、俺!ハイペリオン系とか言う外人と出会って体震えてきた!今やったら俺、河童に遭遇した人の気持ちわかる!


 これは、プロ野球を観にきたダライ・ラマが「オエー、フィルダースチョイスカヨ!」と叫ぶぐらいのことです。立ち食いそば屋でデヴィ夫人と出くわすぐらい、ありえないことでしょう。


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