Japan Hand Drip Championship 予選に参加して -- Part 2 | BAR14Nの憂鬱なラテアート

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エスプレッソやラテアート、コーヒーの話

Part1の続き

いよいよ本番
ジャパン・ハンドドリップ・チャンピオンシップ(JHDC)予選は、同じ開催日時(例えばぼくなら8月2日東京予選午前)の選手は大会主催側が用意してくれる同じコーヒー豆を使い、スポンサー企業の指定器具を使用して競技が行われる。本番の競技時間は10分。準備時間はなし。

その本番、最初からつまずく。
ほんと、些細なことで、時間をとられてしまったと今更ながら思う。
リハーサル中とは違う、コーヒー豆をすくうためのスプーンの置き場所。コーヒー豆を入れてるタッパーの蓋の開け閉めが上手くできなかったこと。微妙にロスしていく、1秒、2秒。
ただコーヒーを淹れることに一生懸命になってしまって、タイムマネジメントを思い切り疎かにしてしまった。

時間を全く気にせずにコーヒーを淹れ続けていて、時間のチェッカーが残り3分を告げた時、ふと我に返った。決勝では1つのコーヒーサーバーごとにコーヒーを淹れて行こうとしていて、2つ目のサーバー用のコーヒー豆を挽こうとしていた時のチェッカーによるコール。抽出時間は2分半のつもりだったので、ギリギリ間に合うかどうかっていうところ。挽いたコーヒーをドリッパーに入れるまでの間に、蒸らしの時間を少なくしようか?とか何かが頭の中を駆け巡ったが、結局違うことをするのは止めた。
残り時間1分のコール。まだぼくはお湯を注ぎ続けていて、思い切り腕がブレた。お湯の注いでいる点は、対岸から対岸へと言って良いくらい、一直線に反対側へと突き進んだ。ドリッパーの外にお湯を注がなかったことがまだ救い。ただ、もうドリップポットを持っていることさえ、ぼくにはやっとだった。
お湯を注ぐのを止めたのは、9分30秒は過ぎていたと思う。それでも、ドリッパーにはまだお湯が残っていて、サーバーに落ちきらない。タイムオーバーによる減点を防ぐために途中でドリッパーを降ろして、コーヒー提供台に置いても良いが、そうすると抽出量の違いによる点数減が待っている。
時間内にコーヒー提供台にサーバーを置けないと、ジャッジ一人につき5点減点(つまり3人のジャッジがいるので合計マイナス15点)される。また、競技者が抽出した2つのサーバーの差が0~3gだと、「均一性・量」の項目で10点付くが、その差が大きいほど点数が少なくなって行く。抽出量の上限はないが、1つのサーバーの抽出量が250g未満だと、ジャッジ一人につき5点の減点になる。

コーヒー提供台にサーバーを置いて、タイムを確認すると10分を2秒過ぎていた。実際にはチェッカーの計測しているタイムによって判断されるので、間に合わなかったかもしれないなとは思った。
実際にも間に合ってなくて、タイムオーバーにより減点されていました。

スコアシート
競技者は、ジャッジに提供して残ったコーヒーを飲むことができる。ジャッジは、2つのサーバーのコーヒーのうち、質の劣っていると判断したものを選び、フレーバーや後味などの点数を付けていく。ジャッジ、競技者の飲むデミタスカップには、赤マーク、黒マークが付けられているので、競技者が自分の淹れたコーヒーを飲むことで、どちらをジャッジは選んだのか、どういう判断がされたのか、競技者が今後に活かせる素材になる。
ぼくも飲みはしたけど、手が震えてしまって、それでも口に入れようと、カップを唇に押し付けて何とか飲んだくらい。熱いってことくらいしか分からなかった。

スコアシートが返って来たのを見返してみると、2つのサーバーのうち、一方を選んだジャッジが二人、もう一方は一人。つまり、味の優劣では、それほど差がなかったのだと思う(質が同じであることと、味の優劣は違う)。気にしていた「後味の印象度」は、さすがにぼくの点数の中では良いほうで、7点、7.5点、7点という評価。
ちなみに、評価項目は以下の6項目。
1. 均一性・量(計測によるもの)
2. 均一性・質
3. フレーバー
4. 後味の印象度
5. バランス
6. 総合評価
各項目10点満点での評価。(10点×6項目×ジャッジ3人=180点満点)

注目されていた均一性
競技会の会場でも、友だちと話したりした感じだと、均一性の項目についての注目が高かったように思う。量による点数だけでも10点もらえるし、質でも10点。全得点の1/3を占める高い割合。
予選時の勝者発表の時も、抽出量による点数について触れられることも多かった。ぼくはといえば、300gと301gの抽出量で、「均一性・量」では10点をとっていました。「均一性・質」は、6.5点、5点、7点。
さすがに、質の点では、異なるものに感じたジャッジが多かったみたい。
プロだと、どうしても味の再現性は求められるものなんだろうなと思う。お客さんの求める「あの味」 こないだ飲んだあの味わいが良いのと言われても、同じ味のものが提供できないことって、きっとあるんだろうと思う。例え、同じコーヒーを使っていたとしても。
同じ味のコーヒーじゃないとしても、更に美味しいコーヒーを淹れて差し上げれば、あの味じゃないってがっかりされることはないんじゃないだろうか。もし「あの味」が大切な思い出になっているものでなければ、だけど。
常に、もっと美味しいコーヒーを。
そして、そのコーヒーがお客さんの思い出になってくれれば。

終わりに
2014年からは、新たにブリューワーズチャンピオンシップというのが開催される予定だそうだ。
すでに世界大会が行われているWorld Brewers Cup(WBrC)の日本大会。まだ公式なアナウンスがされていないので何とも言えないけど、ブリュワーズチャンピオンシップ開催となれば、JHDCの開催は来年もあるのかどうか…。
どちらにしても、ぼくが来年もJHDCまたは、ブリュワーズチャンピオンシップに参加することは間違いない。まだ挑戦は始まったばかり。