ところで、ブログで小説を書き続ける先輩方はすごいですね。
何人か交流(読者)した中、今も書いて(漫画は除く)いらっしゃるのは
葉菜さんや、Radishさんくらいです。大ファンです。あと、公認会話士さんは別格で感動しています。
書きかけてはお休みになっていく方があり、「最後まで書いてくれよ!」と叫びたい。
でも自分で書くと分かる。ほんとエネルギーが要るんですね。
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研修会以来の、”すっぴん”の真美を見つめる。
ほっぺが丸く均整が取れてつやつやで健康的。
そして歯並びもきれいで笑顔の見ごたえがある。
唇もきれいでみずみずしいから、口紅はのせない方がいいなあ。今日のルージュは濃いんじゃないか…とか思ったが、本人と彼氏のどちらかが赤いのが好きなんだろうと、黙っておくことにする。
布団を敷いた。そこに彼女を寝てもらうことにした。俺はベッドに入る。
しばらく眠れるような気がしない。
「これからどうするんだい?」
「ケージ? ん…わかんない…よ…」
「また。泣いてばっかりだ。真美は笑顔がいいのに」
「えへへ。ごめんなさい。ダメだなあ、私」
「よく頑張ってると思うよ…」
伏し目がちにふっと真美は笑う。
小さな手で彼を支えている彼女。その緊張の糸が切れてしまったらどうなるんだろう。
「さわにい、鋭いのに優しいよね」
「なにそれ」
「手紙、いつも感心するよ。分かりやすいのに深いの。だから楽しみなの。こんな返事もらえるんだったら思い切って手紙出してよかった」
「ハードル上げないでくれよ…」
「ねえ、さっきの話だけど」
「ん?」
「もし彼女さんとまた会えたら、どうする? どんな顔する?」
「ええ~、一番嫌な質問じゃん!」
試されているのか。しかし、正直に答えなければなるまい。判定するのは質問者だけだ。
「顔を合わせられないなあ。でも、あの時はごめんって、さらっというだけかな」
「あは、それがいいね…戻れないよね」
「いろいろ思うんだけどね…そのシチュエーションで言っていい言葉は本当に限られてると思う」
別れた彼女のことを真美に話して、しかも受け入れられている。こんなこと予想できなかった。俺は人として最低な奴ではなかったのか。重荷は少し軽くなった。
「そろそろ明かり消すよ…おやすみ」
俺はベッドに上がる。目を閉じてみる。
そこにいるのは彼氏のいる女。
誰か(俺の知らない)人と愛し合っているひと。
誰かのために心を尽くしている人だから、こんなに素敵なんだろうか。
研修の夜が浮かんでくる、最後の夜、差し出された手を。
握り返した手。
そう思いつき、はっと思う。
真美の小さな手が好きだ。
俺は、あの手を望んでいるのだ。
手。
「手を出す」って慣用句。
連想が横滑りする。
いけないことだ。
彼氏のことで悩んでいる彼女が応えるはずがない。
でも――そんなことは彼女が決めることではないか。
ベッドから俺の手が、垂れ下がる。
果たして、それをきゅっと握る手があった。
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この物語はフィクションです。