私が大ファンのWEB漫画家さん、水曜更新で作品を上げ続けておられます。

本業があるので、毎週更新は厳しいようです。

それでも、「FA(ファンアート)がもらえたら頑張れる」とよく言われます。

私も、「いいね」を思いのほかもらえており、背中を押されています。やばい。

モチベーションがやばい、だが生活がやばい。

手書きのタイムマシン 14.秘密告白から。

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怒り。

腹の底から理不尽なものへの怒りがわいてきた。

凛は自分が罪の子だと、考えている。

手紙の告白には書いてはいないが、周囲にそう扱われたからそうなったということだ。

生まれによって差別され、子供らしく育ってこなかった少女。

彼女の状況を放置してきた大人たちにこそ、罪がある。

 

それでも彼女は、生きたい、生きる実感が欲しいともがいている。

出口を探しているではないか。

そして、俺に光を見出したのか。

(大いに勘違いじゃないのか?)

責任を肩にずっしり感じる。

勘違いだったらどうする?ってか勘違いだと思う。

でも構うもんか。

受け入れる大人を、一人でも多く。その手始めが俺でもいいじゃないか。

返事を、直ちに書くんだ。

 

「仏像があるとします。お地蔵様でもいい。

 大伽藍があるから人は祈るのでしょうか。

 大勢お祈りする仏が尊いのでしょうか。

 悪党が彫った仏は、苔むしたお地蔵さんは、無価値ですか?

 

 例えばあなたに救いや安らぎを求めるものがいるかもしれません。

 (そんなのいないって言わずに続き読んでください)

 たった一人かもしれない。たくさんいるかもしれない。

 それに気づいたら、あなたはどうしたいですか?

 いちいち相手に許可を求めますか?

 それともお父様に許可を求めますか?

 あなたはあなたでいればいいじゃないですか。

 お父様と関係なく世界に向かい合っていいのです。

 大事なのは自分が世界にどう向かい合うかだと思います。

 

 翻って私が仏像で、あなたに向かい合うとしますと。

 私は「あなたが私にとって何であるか」を問題にしているわけではありません。

 あなたが何者であるかを考慮して手紙をだすのをやめるわけではありません。

 ただあなたが受け取った時どんな顔をしてくれるかを想像して、一生懸命書いています。

 その思いが、いわば報酬です。

 お返事をいただけることは、おまけです。

 おまけなので、ご褒美だと思って喜んで受け取ります。

 あなたのお返事は、楽しみです。

 

 これからもよろしくお願いします」

 

うっ…いまいち支離滅裂だ。

でも、俺が何か思いをぶつけようとしていることだけ伝われと願い、このまま出すことにした。

どう書いても、彼女の感じていることに直ちに影響を及ぼすことは難しかろう。

俺はただ、凛の存在を受け入れるのみだ。

それだけ伝えたい。

本当は彼女のご両親とやらに、文句をぶつけてやりたい。

 

返事が届いた。

「ありがとうございます!

 ありがとうございます。

 そして…ありがとうございます。

 涙がこぼれてしまいましたがそのままにします…

 私なんかのために…とは決して言いません。以後、歯を食いしばります。

 これからもよろしくお願いいたします」

とあった。

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この物語はフィクションです。